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第523話

「校長先生、私ハーレー=ポーター、卒業制作の内容が決まりました。つきましては申請書の提出と制作許可を頂きたく参上いたしました」



うわ、マジモードのハーレー=ポーターさんだ。たまに発動するのに遭遇するけど、自発的な本気モードは初めて目にするよ。



「おや、最近手掛けていたパラパラポンチ絵や馬車に変型(トランスフォーム)するコタツは卒業制作ではなかったと」


「はい校長先生。先程そこにいるミーシャ=ニイトラックバーグよりヒントを頂きまして、それを制作する事が今後の指針となる事に気付かされました。よって職校にての最終制作としたいと思います」


「うむ。先ずは卒業制作を見つけた事に対し、おめでとうと言おうではないか」


「ありがとうございます。やっと見つけました」


「いやはや、君の場合は長かったからね。どれだけ()()()くれるのかと職員一同心配していたのだよ」



えっ……、なにこのマジモード。俺、ここに同席していていいの?



「それで先程、ほんの十分ほど前に卒業制作内容が決まりましたので正式な仕様書ではないのですが、真っ先に校長先生にお知らせしたくてメモ書きレベルなのですが持参致しました」


「どれ、拝見しよう」



そう言うと校長先生は俺がさっきネタにしたスケルトン・ゴーレムこと【透けとるんゴーレム】の仕様書に食い入る様に目を通す。こんなネタにマジになっちゃってどうするの?



「どうでしょう? 正式な書類はもう数日待っていただければお持ちできます」


「いや、これでも十分伝わるよ。この内部観察用の透明ゴーレム、発想が実に素晴らしい。我々はゴーレム制作にばかり気を向けていて、啓蒙活動や観察行為を疎かにしていたという事に改めて気付かされたよ。この【透けとるんゴーレム】は構造の説明は勿論のこと、試作段階での不具合の発見、教材としてなど、多岐に渡り利用法が見出だせるではないか」


「そうなんです、校長先生。私が目標としていたゴーレム工房やゴーレム学校の教材にこれほど迄まで適した物はありますでしょうか?」



いやない。カッコ反語、カッコ閉じる。


いかん、つい脳が反応してしまった。癖で続けちゃうんだよなぁ……カッコ反語、カッコ閉じるって。



「確かに殆どのゴーレムは内部情報は公開されている故に、中心部以外を透明素材で構成させても何ら問題もない、むしろ公開する事への肯定の意志と判断できる」


「はい。ひいてはゴーレムの改良や内部構造の小型化に繋がるのではないかと考えております」


「それではハーレー=ポーターがこの【透けとるんゴーレム】を卒業制作とすることを認めよう」


「ありがとうございます」


「ハーレー先輩、おめでとうございます」


「ミーシャのお陰だよ。ミーシャが色々とゴーレム案を出してくれたから決めることが出来たから」


「ん? 色々とはどういう事かね?」



そこから湯守ゴーレムやらホムンクルス構想やら目覚ましベッドやらを根掘り葉掘り聞かれてしまった訳で。




「しかしミーシャ=ニイトラックバーグの発想力は凄まじいものだ」


「いえ、ボクはハーレー先輩みたいに製造も開発出来ませんし、フッと思い付いたネタをお伝えすることぐらいしか出来なくて」


「いや、それで皆がどれだけ助けられたか。例の【伸縮環(エラスリング)】も新仕様になって生産が進んでいると報告が入っているよ」


「でもボクの場合は本当に閃きだけですよ」


「閃きで街一つを大きくするかね?」


「凄いよねぇ、私も郊外開発の話を聞いたから土地を買ってゴーレム学校を開設したくなったくらいだし」


「そしてその【透けとるんゴーレム】を使って次世代のゴーレム製作者を育てるという訳だね」


「はい。新興開発地区の九時の辺りを考えています。学園や錬金術ギルドの邪魔をせず新規にゴーレム工房及びゴーレム学校を建設するならそこがベストだと思うので」


「買ったのかね?」


「昨日まで躊躇しておりましたが、購入すべきと心に決めました。まだ大丈夫ですよね?」


「流石にまだ誰も手を付けていないだろう。職校を通して関係者各位に通達しておこう」


「校長先生、ありがとうございます。決まり次第、全額即金でお支払いします。敷地面積は広めでお願いします」


「私としては卒業制作にかかる費用を全額持ってもらいたいぐらいだがね」


「それはご無体な。そもそも卒業制作は費用の半額を職校が持つ決まりですよね」


「ああ。だから頭が痛いのだ。しかしその【透けとるんゴーレム】はゴーレム史に名を残すだろうから、職校としても手を貸さないわけにはいかないという事だ」


「それで、ゴーレムの区分としては『観察用ゴーレム』でお願いします。全てのゴーレムを対象とする特殊カテゴリーになります」




ハーレー=ポーターさんが卒業する為の準備が進んだということは喜ばしいな。それと卒業後の進路は意外とマトモだった事も分かったし。やっぱり郊外エリアの土地を狙ってたんだな……って、ちょっと待て、ゴーレム学校(仮)の建設地って俺の薬味園の予定地に近いんじゃないのか? 取り敢えずハーレー=ポーターさんには薬味園の事は秘密にしておこう。



「でも、やっぱりミーシャは凄いよねぇ、私の卒業制作を決めてくれたし、卒業後の施設の場所も作ってくれたし」


「ボク、そんな事は……」


「だってほら、『スワロー』の新興地区って別名『スワロー・ニート地区』でしょ?」



『スワロー・ニート地区』って、響きがとっても “ 嫌・す・ぎ・る!! ” なにその住人が全員引き籠ってそうな名前。学園都市っていうか、学園も職校もある都市名にニートを付けたらダメだろ。せめてニイト、ニイトって発音してください。ニートじゃないですから!!

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>『スワロー・ニート地区』って、響きがとっても “ 嫌・す・ぎ・る!! ” なにその住人が全員引き籠ってそうな名前。学園都市っていうか、学園も職校もある都市名にニートを付けたらダメだろ。  その上で…
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