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第522話

よし、スケルトン仕様のゴーレムネタを振ってみよう。スケルトンと伝えたらアンデッドと混乱されそうだから……呼び名はシースルー・ゴーレムかな。全てが透明(クリア)ではなくて中の構造が見える方だからシースルーが妥当だろう。



「んん〜? 何か思いついたぁ?」


「え、はい。分かります?」


「うん。ミーシャの動きが止まった。後は独特の表情かなぁ? ミーシャのは分かりやすいよお。気を付けた方がいいかもねぇ……」


「あ…やっぱり分かるんですね」


「自覚してたのお?」


「いえ、よく言われるので」


「んふふふ……だよねぇ〜」



何処に出てるのか俺には全く分からないんだけど!!



「あの、透明ゴーレムってどうでしょう? 全てが透明ではなくて、外側だけ透明なゴーレムです」


「ぷっ……んぷぷ……、何それ面白いんですけどお」



ハーレー=ポーターさんがいきなり笑い出した。止まらなくなってるし。俺、そんなに可笑しい事を言ったか?



「ハーレー先輩、大丈夫ですか?」


「大丈夫、大丈夫だけどお……透明。何故に透明?」


「それは、ゴーレム機構の観察のためです」


「ゴーレム 機構の、観察……の、ため?」


「はい。コア等のゴーレムを動かす為に必要なパーツは通常の物を使います。そしてその構造や内部動作を目視する為に外殻や骨格を透明な素材、魔導ガラスで作り上げます」


「それで透明!?」


「はい。観察の為です。ゴーレム初心者にもゴーレムの何たるかを目視で示す事が出来ます」


「そ…れ……、採用!!!!」


「えっ?」



ええっ、マジで? そんな単純な事で良かったの? そしてそこまで興奮する事なのかぁ?



「観察ゴーレム、しかも内部を見せる為のゴーレム、そんなものは未だ存在していない!! 観察、それはゴーレムを学ぶ生徒が目視で内部構造を確認出来る生きた教科書ぉぉ!! ゴーレム工房の看板娘にしてゴーレム学校の教科書。これだよ、これ。これが私の求めていた物、これが私の生きる道ぃぃ!!」



シースルー・ゴーレム、いい感じ?




「あひぃ、ひふぅ、ふう……ひっひっふー」


「ハーレー先輩、落ち着きましょう!!」


「ミーシャ、……けほっ 、今直ぐ校長室にぃっ、んぐっ……行こう」


「ハーレー先輩、息して!!」


「吸って止めて吐く、吸って止めて吐く……、す〜っ んんん ふぅ〜〜」



何回見ても興奮して暴走するハーレー=ポーターさんには慣れないわ。いや、ドワーフ全般が興奮して暴走してないか? これってもしや種族特性?



「校長室の前に紅茶を飲んで行こうかあ。私、興奮し過ぎて説明が纏まらないかもぉ〜」


「はい、落ち着いてから行きましょう。それと出涸らしの茶葉は下さい」


「あ、カトちゃんのオヤツかぁ」


「カト…ちゃん?」


「カトリーヌのカトちゃん」



そんな、(ぶー)なのにカトちゃんって……。



{ ―― 次いってみよー!! ―― }



ヤーデさん、そうきたか。




ハーレー=ポーターさんは紅茶を淹れている間に透明ゴーレムについてメモを纏めていた。デキる女は違うな。……って言うか波があり過ぎでしょ。デキる女じゃなくてクセの強い人が正解だな。



「それでえ、その透明ゴーレムの呼び名はなぁに?」


「呼び名ですか?」


「そう。お掃除ゴーレムとか御者ゴーレムとか、そういった呼び名だよお」


「それならシースルー・ゴーレムでどうでしょう? 完全に透明(クリア)ではなく観察用で透明(シースルー)なので」


「わお、透け透けゴーレム。スケルトン・ゴーレムじゃなくて、透けとるんゴーレムぅぅ」


「透けとるんゴーレム!!」



透けとるんゴーレム、その発想はなかった……。そしてめっちゃオヤジギャグだ。



「じゃあ、シースルーなゴーレム、【透けとるんゴーレム】として申請しに行こうねえ。これは私とミーシャの共同作業、二人の愛の結晶だねぇ」


「愛の結晶ではありませんよ」


「えぇ〜〜、つれないなぁ……」


「それより【透けとるんゴーレム】って商人(あきんど)言葉な気がしますが」


「あ、本当だぁ。完成したら宣伝してもらおう。 「これ、スケルトン? ちゃうねん透けとるん」 ってえ」


「それ、カーン=エーツさんが喜んで言いそうです」


「何か他にも面白い言い回しとかないのお? そこから何か浮かぶかもだしぃ…」


「え……」



オヤジギャグを求められてもなぁ、なんでやねん。



「そ、そうですね、布団が吹っ飛んだとか、怨念がおんねん、とかですかねぇ?」


「ぷっ……ぷふっ。怨念がおんねんって、死霊探知機とか作れって事ぉ?」


「いや、言ってませんけど」


「布団が吹っ飛ぶのは強制目覚ましって事でいい〜?」


「いや、それも……」


「強制目覚まし、欲しいなぁ……。私ってドワーフなのに朝が弱くてねぇ。起こしてもらえたら楽かもぉ〜」



無理矢理起こす目覚ましと言うと、電車の運転手さんとかが使う目覚ましを思い出したわ。ベッドが立ち上がっていって、物理的に起き上がるというか立たされるやつ。



「それだったら、ベッドがこう起き上がっていって最終的に直立させちゃえば、きっと目も覚めますよ」


「それそれ、そう言うのが聞きたかったんだよお。ミーシャ最高!!」


「でもそれだと布団は吹っ飛びませんけど」


「アッー……。やれないかぁ」


「吹っ飛ばないでずり落ちますね」




その立ち上がる目覚ましベッドだけど、ちゃっかりハーレー=ポーターさんが後日開発しちゃったという。その数年後、備品として採用されたのがヒト族の騎士団だったというから、需要というものはある所にはあるんだなぁ……と。

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>立ち上がる目覚ましベッドだけど、ちゃっかりハーレー=ポーターさんが後日開発しちゃったという。その数年後、備品として採用されたのがヒト族の騎士団だったというから、需要というものはある所にはあるんだなぁ…
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