第5話
「美石屋敷様は先程、心不全からの転倒により頭部を座卓の角で強打。心停止に加え脳挫傷を併発いたしました。それにより上位存在は美石屋敷様の生命活動の停止を確認し、蘇生を断念。異世界に早期転生を選択させることにより、前世の記憶や転生先の世界の言語知識等といった十分な特典を利用出来る権利を供与する事にしました」
目の前のAIエンジェルは淡々と俺の死因と異世界転生を告げてくる。転生を選択させるって言ったな。選択しない自由もあるのか? しないとどうなる?
「あのぉ…、もし転生しない選択をしたとしますよ…」
恐る恐る尋ねる。
「今世での魂が消滅し、生命の洗濯(と書いて 輪廻の渦 と読む)に加わります。そのうち、何も知らないまっさらな魂に生まれ変わります。なお、転生先は不明となります」
マジか。これって記憶持ったまま転生した方がお得って事か!? それとも新手の転生転生詐欺か?
仕方ない、腹を括ろう。 さようなら日本。
まさか、『よいお年を! また来世!!』ってネタをリアル体験出来るとは思わなかったでござるよ。俺のキャラ付け、どんなだよ。まぁ、ぶっちゃけ死んだし、もうどうでもいいでござる。転生先ではどんなキャラ付けにしようかニャ………、 キモいわ。