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第459話

「でもまぁ、そのオロール先生と話してみるのも悪くないかもしれない。吾輩、探し人がいるのでね」


「あの……、言葉が凄い方です」


「そりゃあ古代エルフだと仕方ないだろう。なに、我々には異世界言語を通訳出来るスキルが有るではないか」


「ミケヲさんは異世界人バレしてるからいいですけど、俺は秘密にしてるので基本的に共通語で会話しています。成り行きで若干の古代エルフ語を話せる事にしてありますけど」


「よくバレなかったねぇ」


「はい。ミケヲさんってスキル使用でドワーフ語を話せますよね」


「当然だな」


「でしたら、オロール先生と話す時にドワーフ語を選択して下さい。オロール先生には【翻訳コニャック】という秘密のお酒が有って、それを飲むと自動通訳で会話出来るんです」


「【翻訳コニャック〜】(ダミ声)」


「あ、それやっちゃいます?」


「やるしかないでしょ、何時やるの?」


「今ですよねぇ」


「それで【翻訳コニャック〜】ってどんなスペックの魔道具なの?」


「飲んで酔っ払ってる間は対象の言語を翻訳したり会話出来る不思議なお酒です。酔っ払って呂律の回らない状態を利用しているとかいないとか」



そう言えばアルチュールさんって【翻訳コニャック】を使ってるんだろうか? 俺とは普通にドワーフ語で話してたから飲んでなければバイリンガルなんだろう。



「なるほど、飲める種族なら便利な翻訳道具という訳ね」


「その、探し人って前に名前の上がったナツメグさんの事ですか?」


「そう。こちらに転生してきているなら会いたいし、まだなら吾輩は待つ。オロール先生がイタコの様な能力持ちなら聞いてみようかと思ったのよ」


「何か情報が貰えるといいですね」


「ところでオロール先生の手土産は何が良いかね?」


「月並みですがお酒が一番喜ばれるかと」


「ならば吾輩がとっておきのカクテルをご馳走しようではないか」


「それ、喜ぶと思いますよ。 「けやぐ」 って呼びかけられると思いますよ」


「けやぐ?」


「古代エルフ語で友達って意味です」



そのカクテル名が “ けやぐ ” になる可能性大。



「それより、俺から連絡してミケヲさんの返事が早いのはいいんですけど、もう少しいい方法は無いんですか?」


「即会議が開けるスキルもあるがね」


「それでいいですよ」


「しかしだ、そのスキルを使うと猫が寄ってくるからなぁ……」


「猫ですか?」


「『猫会議(キャットミート)』と言うスキルなものでね」


「もしかして、駐車場や公園で猫が集まっているアレですか?」


「そう。なのでスキルを使うと漏れなく猫が寄ってくる。場合によっては猫獣人も現れるな」


「駄目じゃないですか」


「それだけにこのお茶室の有用性がだね……」


「とても便利ですけど使うタイミングが難しいですよね。今回は寮の部屋で(にじ)り口を繋ぎましたけど、誰か居たら使えないし」


「従魔に護衛してもらうとはな」


「アンディーは俺を護ってくれる騎士なのでいいんですよ」



取り敢えず『猫会議(キャットミート)』のスキル使用は保留という事になった。猫や猫獣人だと簡単に取得出来るスキルで、俺は従名誉猫獣人の称号を得たことによりスキル取得の権利を保有しているのだと教えられた。


猫会議、ちょっと憧れるけどね。



「そうだミケヲさんって前世で猫の前は人間だったんですよね。人間時代ってコーヒー党でしたか?」


「それはもう。毎朝エスプレッソをバッチリキメてたレベルで」


「こっちの世界でコーヒー飲みました?」


「吾輩はコーヒー党である。この世界ではまだ飲んで無い」


「前世では俺もコーヒー党だったんですよ。徹夜明けのコーヒーってガツンときますよね」


「コーヒー飲んでタバコ吸ってカップ麺を食う」


「早死にするコンビネーションですねぇ……。それはそうと、俺、こっちでコーヒー飲みましたよ」


「なんだとぉぉ!!」



ゴンッッ!!


狭いお茶室内で興奮して立ち上がり、鴨居に頭をぶつけるミケヲさん。普段使わない施設だから空間の支配者なのに頭をぶつけてるし。



「チョット詳しく話してくれたまえ」


「オロール先生が持ってました」


「マジでか……。ますます会う理由ができたな」


「古代エルフ領で作っているわけではないみたいですけど」



コーヒーが好きだから転生者と即決される訳ではなくて良かった。一部のエルフには好まれている飲み物みたいだし。俺の場合【魔増(マゾ)(ひずむ)ジュース】の一件が有るから全然誤魔化せる。



「ところでミーシャ君は米でコーヒーはイケる口かね?」


「あ、イケますイケます。コンビニの鮭おにぎりでコーヒーも全然平気ですよ」


「仲間仲間。それより吾輩、あのコンビニおにぎりの海苔の部分を外すのが苦手でね……」


「そうですか?」


「最近の物は剥がしやすくなったみたいだけど」


「そうです? そんな剥がしにくいと感じた事とかないですけど。簡単に分かれるじゃないですか」


「吾輩が人間だった頃は手間だったんだよ。袋の端に海苔が千切れて残って……」


「えっ?」


「場合によっては海苔が外れず、面倒くさくて海苔無しで食べたりしたね」


「あの……それは一体何時の時代のコンビニおにぎりですか?」


「へっ?」



しまった……と言う顔をするミケヲさん。まぁ彼が人間時代の話な訳だから、少しぐらいおにぎりのバージョンが古くても仕方ないか。



「ところで米が手に入ったらどんなおにぎりが食べたいです。俺はツナマヨですけど」


「吾輩、チャーハンの中に煮玉子が丸一個入った物が食べたいね」


「結構ハードじゃないですか。それ、ミケヲさんの時代にもう有ったんです?」


「いや、それはナツメグが好きだったんだ。 「いや〜ん、ミケヲちゃん、このおにぎり悪魔的〜!!」 って言いながら吾輩に分けてくれてだね……」



確かそれ、【悪魔の爆弾(玉子)(バクダン)】って商品名だった気がする。俺も買ってたもん。厳密にはチャーハンで煮玉子のスコッチエッグを包んだおにぎりだったな。


ちなみに【小悪魔の爆弾(玉子)(バクダン)発言】というバージョンもあって、それはエビピラフの中にウズラの玉子とタルタルソースを海老のすり身で包んで揚げた爆弾玉子が入ってたっけ。


うーん、思い出したら食べたくなったと言う罠。

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