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第490話

保温の魔道具や充電式カイロは流通しているのに、保冷の魔道具が殆ど流通していないのは持ちの悪さのせいなのか……。いや、保冷の魔法陣もあるけど一・二時間程度しか効果が見込めないって、保冷剤じゃないんだから。それで冷やしエールの為に皆が躍起になってたんだな。


初期飼料と貝殻の粉と魚粉と【鶏餌(ケイジ)草】を二日分購入。餌用マジックバッグに入れておけば問題無い。それ以上は初期飼料が腐ったら困るので売ってくれないのか。いくら解毒の出来るコカコッコでも腐った食べ物はクリーンに出来なかった。腐敗にて発生した毒素は分解出来ても腐った食べ物は腐ったままなのか。まぁ当たり前だよね。食材の蘇生術が有ったらとっくの昔に死者再生の呪文が完成してるだろうよ。重症までは魔法で治療できるけど、この世界では欠損と死亡(ロストしたもの)は回復出来ない。


そう、虫歯のうちは治療出来るけど、抜けてしまった永久歯は二度と帰ってこないんだよ……。後、近視と禿頭(ハゲ)、これも治らない。


色んなハジメテも戻らないから大切に生きないといけない。前世で 「♪ 壊すのは一瞬、後悔は一生、お前は畜生」 って内容の歌詞の歌があったのを思い出した。



あっ、この世界でも腐ったミカン理論が通用するんだ。




手続きも終わりコカちゃんのお目覚め待ちです。事務所でアンディーとカトリーヌとの顔合わせをしてから帰らないと。



「コカちゃんが起きたらトイレトレーニングをしてもらいましょう。それから顔合わせですね」



あ、それもあった。親鳥や鶏のヒヨコ達が実践してトイレとは何たるかを教えてくれるんだって。飼い主が教えなくていいのは楽だ。



暫くの間、籠の中でスヤスヤと眠るコカちゃんを見つめていたらパチッと目が開いた。コピッと一鳴きしたのでコカッと返してしまった。



「いいですね。ミーシャ=ニイトラックバーグさんって魔獣飼育に向いてますよ」


「そうですか?」



まぁ、魔獣や従魔に嫌われないのは嬉しい。きっとスキル『動物王国』の効果だろうな。


コカちゃんをタッキー達の所に連れて行く。コカちゃんにトイレを教えて上げてとお願いしたら。早速、実演指導を始めてくれた。


二種類の成鳥が用を足し、ヒヨコ達が用を足し……。タッキーとチャーモがコカコカ鳴いて何かの会話をしている。暫くするとコカちゃんもトイレに向かってお尻を突き出す。出た……のか?


鶏達皆がコカちゃんを褒めてくれているみたいだ。それに気を良くしたコカちゃんがコピョと鳴いて返す。予想以上に社会的だなぁ。



「コカちゃん、トイレがじょうずだよ。初めてなのに凄いよ」


コピョピョ



念話は無くとも気持ちは伝わるハズ。



「コカちゃん、もう少ししたら新しいお家に連れて行くよ。タッキーとチャーモにご挨拶してきてね」


コピッ



トコトコと両親の元に歩いて行くとコピョコピョ鳴きながら大きく口を開けて餌をおねだり。はわぁ〜可愛い。


何口か餌を貰うとコピョコピョ鳴き始める。もしかして俺を呼んでる? コカッと言いながら籠を差し出すと乗り込んで大人しく座ってくれた。



「タッキー、チャーモ、鶏さん、ヒヨコさん、今日はありがとう。また明日来るね」


コカコッコー!!

コケコッコー

コッコッコッ

ピヨピヨ


コピョコピョ




さあ、待望の従魔の顔合わせだ。



「アンディー、カトリーヌ、お待たせ。新しく仲魔になるコカちゃんだよ」


コピョ

ムキュウ

プープー



お互いの意思は通じてる?


コピッ

プキッ


コカちゃんがカトリーヌを啄く。カトリーヌが煙を吐き出す。コカちゃんが再びカトリーヌを啄く。カトリーヌは煙を吐き出す。


謎の永久機関。毒消しvs駆虫合戦か?



ムキュウ ムキュウ

(「おはなち ちてるの  なかよち なの」)


「何日かしたらポニー達とも会わせるからね。今、遠くのお仕事から帰ってきたばかりだから、まだ皆は会っちゃ駄目なんだって」


コピッ

プープー

キューン



さて、そろそろ寮に戻るか。その前に商業ギルドに寄ってミケヲさん宛の手紙を出していかないと。ネコ車とコタツの進捗の報告もあるけど、ミケヲさんはオロール先生と会ってもらった方がいいんじゃないかって思ったから、その件について相談がしたいんだよ。あの日本人限定お茶室でいいから直接会って確認したい。


ミケヲさんも転生者だから、多分、重魂(じゅうこん)の持ち主でしょ? 良く考えたら封印処理をしてあるのか気になってしまった。オロール先生の顔を見て思い出したのが何とも情けないけど。


それと、コーヒーの報告。


ただ、お茶室だと持ち込めないのが玉に瑕なんだよなぁ……。上様に協力してもらわないと駄目か。神頼みだな。いろんな物をいっぱいお供えしよう。



コカちゃん用のスライムバッグも新調した。ヒヨコの絵が付いていて可愛い。将来的に使わなくなったら本来の使い方通りスライムに入ってもらえばいいな。




「コカコッコの雛ですか」


「はい。今日から家族になりました」


コピョコピョ


「コカッ」


「ミーシャは次は牛か羊でも飼うの?」


「ホーク=エーツさん、どういう意味ですか?」


「ほら、馬、豚、鶏ときたら次は牛か羊の流れかと」


ムキュウムキュウ


「いや、暫くは増やさないと思います。流石に寮の部屋でお世話するのが厳しくなってきたので」


「そうだよね。今度ナオに見せてあげて」


「わかりました。もう今日は居ないんですか?」


「チーウが護衛で髭無しに回ってくる仕事に行ってるよ。折角だから色々体験しておいてもらおうと思ってる」


「ホーク=エーツさんが一番嫌だった髭無し仕事って何ですか?」


「牛糞干し!! あれはダントツで不人気作業だからね」



牛糞干しは、天日干ししている牛糞を時々ひっくり返すだけの簡単なお仕事。スライム用のドライフードだ。牛糞を採取してある程度水分が抜けるまで干しておくのは大人の仕事で、髭無しに回ってくる作業は最終段階なんだけど物が牛糞だけに不人気度第一位!!


でも、トングが普及したらそこまで嫌われなくなるかもしれない。……無理か。



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