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第488話

寄り道しちゃったけど市場で萎びかけた葉物野菜を購入。『雑穀魂(メーアコーン)』という名の雑穀屋さんで(ヒエ)の穂と(アワ)の穂も一袋ずつ購入。差し入れ代でお小遣いが減っていくんじゃ……。


そして雑穀屋さんに注文を出すと【蔓野豆(ツルノマメ)】が入手出来る事が判明した。とは言え【蔓野豆(ツルノマメ)】は栽培作物ではないので冒険者等に野外採取依頼をし、それが届き次第納品になるので簡単に手に入る物ではなかった。ちなみに【粗相豆】は雑穀ですらない。クルラホーンに依頼した方が早そう。


興味半分で蕎麦こと【(ブナ)麦】の取り扱いがあるか聞いてみたら、野外採取もしくはエルフ領からの輸入になるので、野外採取は入荷未定、輸入品はべらぼうに高かった。これ、発注したら駄目なやつ。グェンさんのツテで個人輸入するしかないか……。見脈(けんみゃく)師のナックヤーマン=キーン=ニックさん経由でもいいけど、あの陽気なエルフさんとはそこまで仲良くなった訳でもないしな。


そして我らがお米=【濁穀】は食用や餌用ではなく糸や布に使う糊用、つまり工業用の素材扱いなので『雑穀魂(メーアコーン)』さんでは取り扱い無しでした。それでも穀物画の作家さん用に【赤濁穀】、【黒濁穀】、【緑濁穀】は置いてあった。食用ではなくあくまでも画材としての販売ね。古がいくつ付くか分からないので買わないぞ。



お昼前に養鶏場に到着。差し入れの野菜を渡し、アンディーとカトリーヌを事務所に預け、タッキーとチャーモの前に行く。良かった、まだ生まれてませんでした。


卵の殻のヒビが大きくなり嘴の先が見えたら卵を両手で抱えて持ち上げ、雛が出て来るまで待つのだ。あ、普通に孵化させる場合は持ち上げは不要です。今回は俺を一番の親だと思ってもらう為に最初に顔合わせする必要があるので卵を持ち上げるだけなので。ちなみに本来の両親(タッキー&チャーモ)は二番親になります。


コレ、地味に辛いんだけど……。長丁場になるからと脅されてトイレは済ませたけれど、コカちゃんは一体いつ出てくるの?



「あの…、どれくらいで出てくるんですか?」


「嘴が見えてから小一時間もすれば出てきますよ。名前で呼びかけてあげてください」


「わかりました。コカちゃん、こんにちは。お迎えに来たよ」


コピッ コピッ



コピコピ コツコツ、鳴き声や殻を啄く音はするものの、なかなか全身を現してくれない。っていうか顔だけでいいから出してください。


……………………


クソっ、これがかの有名な 「鳴かぬなら鳴くまで待とうコカコッコ」 なのか?


♪ あた〜らしいコカがきた

  き〜い〜ろいコカ〜が


危なく前世の体操のテーマソングの替え歌を歌いそうになるじゃないか。間違った伝わり方をしているこの歌を歌ったら異世界人バレしてしまう気がする。変な替え歌で済めばいいけどな。


♪ コッコッコッ コカコッコ

  豆が欲しいか 蔓野豆ツルノマメ


駄目だ、ハトさんの歌まで浮かんできた。



♪ あんなコカコッコいいな

  出てきたらいいな


  (中略)


  卵を生で食べたいな

  ハイ、コカコッコ〜(ダミ声)



ぐう……、それは未来の世界の猫型ゴーレムのOPソングの替え歌だ。体操のテーマソング以上に異世界人バレする危険ソングだ。ミケヲさんの前以外で絶対に歌えないやつだ。



等と脳内でアホアホな事を妄想しているうちにかなり隙間が広がってきた。もうちょいだ、コカちゃん頑張れ!!



「コカちゃん、コカちゃん」


コピッ コピョ



パキパキと殻がこぼれ落ち出す。黄色いほっぺが見えてるぞ。もうちょいだ。もうすぐ感動のご対面だ。



あ……、出てくるぞ。



「さあ、そこで大きく鳴いてください」


「えっ!? はい……。コカコッコー!! コカコッコー!!」


コピョコピョ


「コカコッコー!! コカコッコー!! コッコッコッ コカコッコー!!」



もう、ヤケクソよ。タッキーとチャーモが翼をバタバタさせて応援してくれてる。まだ鳴き真似をしなきゃいかんのか?



「コカコッコーーー!!!!」


コピョ?



かっ、可愛い〜〜〜!! 頭に殻の欠片を乗せたまま、小首を傾げるコカちゃんと目が合った。


コピョコピョ


「コッ コカッ」


コッピョ


「コカちゃん、初めまして」


コピッ



コカコッコの雛、全身黄色くないんだけど……。


頭は薄い黄色だけど、お腹は朱色がかったオレンジ色で、背中は赤白黒の縞模様、尻尾の辺りは緑色と言う、かなり過激な配色だった。間違って染められたカラーひよこですらない



「可愛いですけど、コカコッコの雛ってこんな配色なんですね」


「一種の警戒色ですね。コカトリスの雛にかなり似てますからね」


「毒は無いんですよね?」


「ええ。擬態の一種です。少し育ったら薄くなりますよ」



あ、天敵に向けて 「毒入り危険、食べたら死ぬで」 詐欺をしてる訳ですね。野生生物で良くある幼体の擬態の一環だったか。



「地面に下ろしてあげてください。多分、ミーシャ=ニイトラックバーグさんの後ろを付いて歩くと思いますよ」



生まれたての雛が俺の後をチョコチョコ、チョロチョロ付いて歩きます。可愛いけど、その姿を俺が見れないんだよぉぉ!!


所謂カルガモ一家の引っ越しは側で見守るから可愛いんだな。今更になって知ったわ。

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