第486話
オロール先生と別れて部屋に戻ってから気が付いた。【コピ】+【魔増歪ジュース】+水飴=異世界エナジードリンクじゃないのか? って事だよ。飲んだら空も飛べるかも……。
これは上様に奉納してお伺いを立てるべきな気がしてきた。気分が飛ぶのはいいけど依存性が無ければいいなぁ……。
でも、三種の液体をブレンドだから、地母神レミ様にお供えするのが先なのか? これお供えしたら地母神だけに 「母ちゃん情けなくて涙が出てくるわよ!!」 って怒られないよね?
そしてアンディーに質問してみるか。
「アンディーはお姫様なの?」
ムキュウ
(「なの ちがうの」)
どっちやー!! まぁアンディーがカーバンクル界のプリンセスでも驚かないけど。器用だし賢いし、行動も謎というか不思議だしな。
「もしアンディーがお姫様でもボクの従魔だからね。ボクが守るからね」
キュウキュウ キュー
(「あたち ますたー まもるの ますたー ちんぱい なの」)
うっ、逆張りされた。俺のやらかしの方が心配なんですね、分かります。
カトリーヌが紅茶の香りの煙を吐き出す。俺の所に来てからは沢山食べているので、定期的に芳香を吐き出さないと太っち……体型が乱れちゃうのか。気持ちぽっちゃり系が【手持ち豚】の標準体型だけど、餌を食べ過ぎると地面に脚が届かなくなって自力で歩けなくなっちゃうから注意。まぁ、そうなったらそうなったで飼い主に専用ハーネスを持ってもらって移動するだけなんだけど。
それだとガチで蚊遣ブタになっちゃう。キャッチフレーズは[ 【手持ち豚】の夏、ドワーフ領の夏 ]だな、うん。
あ、アンディーに毛を逆立てる魔法『毛舞離』について聞いてみよう。自室だし念話でいいな。
(「アンディー、魔獣が体毛を逆立てる魔法って分かる?」)
(「けを ぶわ〜 するの」)
(「ぶわ〜?」)
(「ぶわ〜 ふわふわ なの」)
(「もう少し分かりやすく教えて」)
(「これが ぶわ〜」)
アンディーが体毛を逆立てる。良くある動物の動きに見える。
(「ぶわ〜 みるの」)
(「見る?」)
(「みるの みるの かんてい みるの」)
あ、そういう事ね。あわよくば魔力の流れを見れるかもしれないって事だな。
ダメ元で鑑定に関係しそうなスキルをフル稼働させる。
(「ぶわ〜 なの」)
(「見えないな……」)
(「ぷしゅ〜 ぶわ〜 なの」)
(「あれ、何か出てる?」)
(「ぶわ〜 ぶわ〜」)
見えた!! これ、何処かで見たことが有るよな……前世の何時何処でだ。あ…!! 磁界だ!! 棒磁石の周りで砂鉄が毛羽立って見えるアレだ。
って事は、雷魔法なの?
ヒントを元に試してみたけど俺には無理でした。どうも俺の認識が間違っている模様。もう一度アンディーに聞いてみるか。
(「アンディー、ボクには無理みたいなんだけど、もう一回教えて」)
(「ぬれたけ ぶわ〜 するの ぬれたけ うくの ふわふわ ひろがるの」)
あれ、何か違う? アンディーが試してくれるのでジックリ観察する。
う〜ん、やっぱり分からない。魔獣は無意識に毛を浮かせてるんだろうし……。あ、立毛筋とかか? やっぱり神経伝達に電気信号を使っています系でぶっちゃけ雷魔法なのか?
(「ぬれたけ むわ〜 ぶわ〜」)
むわ〜? そもそも濡れた毛をブルブルする時に発動させるんだから湿ってるのか。水蒸気が発生して上がっていって……、積乱雲か? まさかの積乱雲から竜巻や雷が生まれて……って事か? 教えてお天気お姉さん。
(「ますたー わかた?」)
(「分かったかもしれないけど、ボクには無理かもしれないよ」)
(「ざんねんでちた」)
でも、魔法のヒントにはなったかもしれない。これは複合魔法だ。しかも『汎用魔法』で持っていけそうな感じだ。雷魔法の取得にも使えそうな術式だな。
あ、電磁石とか人為的に磁場を作って、髭を反発させれば浮かないか? リニア的な方式で。それだと髭に砂鉄や針やくず鉄が付くのか……止めよう。
でも、ドワーフ的にはウケそうだよね。髭で鉄を集めるってめっちゃ喜ばれそうな予感。
結局、髭は浮かないままだった……。
翌朝はいつもより早く目が覚めた。身支度したし朝ご飯も食べた。馬車組合に行くには少し早いので手習いポーチを縫う事にした。オロール先生の飲み代を稼がないといけないんだ。新しい縫い方を教わったら手習いポーチを量産出来なくなるかもしれないしな。
使うのは普通の指貫に普通の針。何の変哲もない麻布のポーチと木綿の縫い糸。引き続きこれに練習していくのか別布に刺すことになるのかワクワクだよ。
アンディー達のケージに使う敷布とか、ワギュ達の背に掛ける布とか、俺の枕カバーとかそんなのを作ってもいいかな。早く本物を刺したいし、練習で数を熟さないと。刀じゃないけど数打ち真打ちの世界だろ? 涙の数だけ強くなる様に、こういう世界は作った数だけ上手くなるんだ。
さて、ラパンに会いに行こうじゃないか。




