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第484話

茹で落花生でエールを楽しむと、あっという間にエールが消える。規定の二杯はすぐ終わる。オロール先生は謎の食材を厨房のおばちゃん達に渡していた。それが後に謎料理になって出て来るんだな。


エールが切れたのでオロール先生の部屋に移動する事にした。俺は自室に寄ってアンディーとカトリーヌを連れて来る。餌用マジックバッグも持ったよ。



(共)「さて、どこから報告するか……」


(共)「ボクから報告させて下さい。先ず、新しく従魔契約をしたグライダー・カーバンクルのアンディーと【手持ち豚】のカトリーヌを紹介しますね」


ムキュウ


プープー


(共)「おや、カーバンクルだけでなく【手持ち豚】もいたのか」


(共)「はい。オロール先生の部屋を燻蒸してくれてます」


(共)「あー、それで酒が飲みたくなる匂いの部屋になっていたのか」


プープー?


(共)「【薫製漬物(イブスガッコー)】の匂いがしたんだよ。あの漬物(ガッコー)があれば何杯でも酒が飲める」



塩分と酒精(アルコール)が手に手を取ったデス・マリアージュだな。



(共)「危険じゃないですか」


「めよん」

(訳:美味しいんだよ)


(共)「オロール先生、古代エルフ語が……」


(共)「ゴメンゴメン。実はだ、ミーシャと語らうために秘密道具を持ち帰ったんだよ」


(共)「秘密道具ですか?」


(共)「ふふ…これだよ。【翻訳コニャック】〜!!」



オロール先生が次元収納から【翻訳コニャック】なる秘密道具を取り出した時に、俺の脳内では独特のダミ声と共に特徴的なBGMが再生されたんだが。



(共)「オロール先生、それは一体!?」


(共)「これを飲むと酔いが回っている間は自然と相手の言葉で会話出来るんだよ」


(共)「そんなお酒が?」


(共)「里帰りついでに手配してきたよ。飲むのは一人だけで大丈夫だ」



難解な言語も特殊なお酒で対応策を……って、古代エルフでなけれはその発想は生まれないだろうよ。



「どれ、通じてるかい?」


「凄い、普通にドワーフ語で聞こえます」


「私は古代エルフ語で話してるハズなんだけどね。酔っ払っている間は勝手にドワーフ語で喋ってしまう訳さ」


「それで古代エルフは常にお酒を?」


「それは違うな」



ありがとう、秘密道具。どこで買えるか聞いておかないと。ユニークスキルを誤魔化す為には大事な秘密道具だしな。服用して酔っ払っていてもドワーフだったらそこまで怪しまれないだろう。



アンディーとカトリーヌに野草クッキーを与える。紅茶を淹れたかったけど湯を沸かす為の熱源が無いな……と思っていたら、オロール先生が紅茶を淹れる道具一式を貸してくれた。お湯は魔法で出してくれたし。



「お湯ってどうすれば魔法で出せるんですか?」


「何通りかやり方は有るけど、一番簡単なのは水魔法で出すやり方かね。他には水魔法と火魔法の連続使用に火の精霊に頼む方法、後は…魔力は使うけど土魔法でも出せなくはないね」


「それだと普通に加熱した方が楽ですね」


「ちょいと紅茶専用の裏技が有ってね……、ポットに向かって空間魔法『茶葉紅茶(チャバティー)』を唱えると、手持ちの茶葉とお湯がポットに入るのさ」


「ええっ!!」


「旅人には便利な魔法だよ。この魔法があれば吹雪の中で凍えそうな時でも熱々の紅茶が飲める」


「どちらかと言えば旅人向けと言うより古代エルフ向けなのでは?」


「そうとも言うね」



紅茶を淹れ終わった後の出涸らしの茶葉はカトリーヌに与える。オロール先生は野草クッキーは食べないよね……と思っていたら違った。古代エルフも【魔増(マゾ)草】が好きなのかよ。


どんなエルフも【魔増(マゾ)草】が好き。メモしておかねば。



「おや珍しい。ミーシャは【魔増(マゾ)草】が好きなんだね」


「はい。魔力枯渇で倒れた時にジュースを飲まされてからハマりました」


「だとしたらミーシャは内包する魔力量が多い方なのかもしれないね」


「この、独特な苦味と風味がたまらなくて。他の(ドワーフ)達には嫌な顔をされましたけど……」


「もしかして【コピ】もイケる口かもしれないな。試してみたかったら出すよ」


「【コピ】? どんな食べ物です?」


「【コピ】は飲み物だよ。黒くてエグくて苦みが有って……。炭みたいに黒焦げの種から作る飲み物だよ。飲むとコピッとするからエルフは【コピ】と呼んでるね」



飲むとコピッとする、どこの言葉だ? オロール先生も元が何処の種族の言葉か良く分からないらしい。コピッとするからコピなのか、コピを飲むとコピッとするからそう呼んだのか。この肝心の “ コピッとする ” という感覚は、シャキッと整う感じの事らしい。名前の響きがどこかしら前世のコーヒーを思い起こさせる。



「では淹れてみようか。【コピ】を乳鉢ですり潰し、専用のザルの上に布袋を掛け、【コピ】の粉を入れて湯を注ぐ。布袋から滴り落ちた液体を飲むんだよ」



それ、どう見ても前世のコーヒーです。しかも雑に淹れたドリップコーヒーね。良かった、粉が口に引っ掛かるトルコ式じゃなかった。



「温いからね、苦味も酸味もあるよ。飲めなかったら無理しなくていい」



部屋中に広がるコーヒーの香り。俺、前世ではコーヒー党だったんだよね。ヤバイ、この香りを嗅ぐのは何ヶ月ぶりだ?



「いただきます」



久々に飲んだコーヒーは、苦く酸っぱく、そして仄かに甘みがあった。

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