第475話
二つの魔道具はそれぞれ暫定名称を【パラパラポンチ絵】と【クルクルポンチ絵】として登録申請される事になりました。販売前にイケてる名前にされるんだろうけどね。【霧誕砲】の自在噴霧バージョンの登録もあるからハーレー先輩は申請書を書く為にターボモードに突入した。職校と商業ギルドと両方に資料を提出するって言ってたしな。そして俺のサインも要るんだな。
「【ネコ車】といい【霧誕砲】の自在噴霧バージョンといい、チューブワーム素材が沢山使われるでしょお〜、ストーン氏族も大喜びすると思うよお」
「生産量が増えて素材単価も安くなるといいですよね」
「そうだよねぇ。便利すぎてその素材から離れられなくなるのが最高だよねぇ。小銭がい〜〜っぱい入ってくるよお。鉛貨の花道だねぇ。ヒト族は鉄貨撒きとか言ってたっけぇ?」
ドワーフ族の憧れ、不労所得でエール飲み放題ってか。
「今日はありがとうね〜。また新しいヒラメキが産まれたら教えて〜〜」
「はい………あっ」
クルクルされる方のポンチ絵の巻紙って、何というかトイレットペーパーに似てるよな。
「あっ、て何か浮かんだのぉ?」
「あっ、はい……。拭き紙がクルクル巻かれてトイレに置かれていたら便利かなぁ…と」
「え!? なにそれ……ふあっ!?」
「【クルクルポンチ絵】の巻紙みたいに拭き紙を形作ったらどうかな? ……って」
「その発想は無かった……」
「あ、ただの思い付きなんで報告しなくていいです」
「だ〜め!! 面白いネタは全〜部報告するんでーーす!!」
雉も鳴かずば撃たれまいって、こういう事なの?
プープー? プープー?
あ、カトリーヌがロール拭き草を想像しちゃった模様。それ、見つかったら止められない止まらないになるやつだわ。
色々あり過ぎて疲労度がパネェ……。社畜ほど過酷ではないけれどバタバタし過ぎだわ、俺。社畜の記憶もあってか従魔達には無理難題を押し付けようと思わないんだけど。ドワーフに異世界転生ものにはお馴染みの奴隷制度が無くて良かった。
仕事を学んで、趣味の鉱石研磨が出来て作品もちゃんと売り飛ばせるし、モフモフ達と触れ合えて人間関係も良好。不労所得も入ってくる(らしい) 。味付けや食材といった食事事情は前世と比較してはいけないレベルで淋しい状態だけど、発展途上国に海外赴任したと思えば全然我慢出来る。尤も忙し過ぎてスローライフになってないけど、それはまぁ、おいおいで……という事でOKよ。そう言った意味では上位存在こと上様には感謝しています。カレーが再現出来たら奉納します。てんぷら蕎麦とかカツ丼とかでもいいなぁ。あ、カツカレーにカレーうどんも!! それとコロッケそばも是非お供えしたい。コロッケそば、俺は好きなんだけどあれって地域的なというか全国区のメニューじゃなかったんだよな……。知った時は一〇〇メガショックだったよ。
それはさておき、明日は雑務やら最低限の実習をこなしたら養鶏場に顔出ししておかないと。そうだ、タッキーとチャーモから押し付けられ…いや貰った羽根を髭飾りに加工しないと。今は無理矢理ツインテールに挟んだり髭の三つ編みに挟み込んだりしてるけど、ちゃんとした髭飾りを作って装着したい。髪飾りに流用できれば尚良し。
さて、何処で作るのか、それとも習える場所があるのか……。まぁ職校の講師に聞くのが一番だろう。
お風呂の前に質問してみたら、普通の装飾品にするか魔道具化するかの二択から話がスタートなんだな。まぁ今回は普通の髭飾りとして使う予定なのでその旨を伝えた。コカちゃんを驚かせない為に親鳥、つまりコカコッコ夫婦の魔力を身に纏うのが目的だからね。本格的な装飾品を作ることになったら魔道具化も考えてみる。いくら番コカコッコの番から直接貰った羽根とはいえ、胸元の羽根を魔道具にはしないでしょ。
そして製作方法は理髪店で作ってもらうか、服飾・アクセサリー職人さんに作ってもらうか、習って自作するかでしたわ。時間もないから依頼しちゃうよ。目の前で制作工程を見せてもらえるなら見学するけど。
簡単なのは被服科に持ち込んで作ってもらう、もしくは指導を受けて自作する事だと伝えられた。もう何日か時間の余裕があったなら理髪店に持ち込めたそうだけど、生憎孵化は明後日だしな。
折角なので、持ち込み教材という事にして被服科の講師に制作してもらう事にしたよ。髪や髭に着ける羽根を使った装飾品はそこまで珍しくもないそうだし。酋長的な人が頭に被ったり、トップダンサーが衣装として着けるやたらゴージャスな羽根飾りは職人仕事なので俺が作るのは全くもって無理ゲーでしたわ。
それと、講師にコカコッコの雛を連れ歩く事も伝えたら、後で正式に従魔持ち込みの申請書を書くように言われました。持ち込みを許可する代わりに手伝いをしてもらう事があったりするからだな。校内に連れ込まなくても何かしらレンタル依頼をする事もあるみたいなので、その確認もあるという事ね。
「それはそうと、コカトリス及びコカコッコの性別の判断方法はしっているかい?」
「スキルが有り、専門職の方がいるとは聞いています」
「その他にも、ある程度育ったら外見の差で判断出来るけど、その性差上の違いも知ってる?」
「鶏冠の違いですよね? 後は喉のところのヒダとか……」
「それは鶏も同じだね。コカトリスとコカコッコには更に判別方法がある」
「ボク、それは知らないです」
「コカトリスとコカコッコの尾羽根には蛇の姿をした尻尾が生えているんだ。その形状で見分ける」
「尻尾なんですね」
「コカトリスは本物の毒蛇が尻尾になっているから確認時には注意が必要だ。コカコッコの尻尾は本物の蛇じゃないから安心だよ」
「そうなんですね。雄には生えていて雌には生えていないとかですか?」
「残念。雄の尻尾は蛇の頭で、雌の尻尾は蛇の尾なんだよ。コカトリスから生えている蛇は頭も尾も毒が有るので危険だ。コカコッコの蛇は可愛いぞ」
「そうなんですね。楽しみが一つ増えました」
「もし、コカコッコなのに毒蛇が生えてたら先祖返りなので報告が必要と言う事だよ」
ちなみに、コカトリスに生えている毒蛇は【コカコブラ】と言うのだった。




