第472話
流石に葉っぱを全部丸める事は出来なかった。まぁ、それも想定内だった様で、保存の仕方を説明された。……って、普通にマジックバッグに入れるだけだった。マジックバッグがない場合は【プルモシート】に包んでおけば翌日中に仕上げられるのなら品質が保てる。それ以上だと葉っぱが乾いてくるので品質保持はちょっと厳しい。高値で取引されるのだから、出来る事なら品質低下は避けたいところだ。
ぶっちゃけ、無理矢理『キーボックス』に入れておけって事かよ。後は作れる量だけ準備しましょうね、って事でした。
ムキュウ ムキュウ
あ!! アンディーが梁の破損を見つけてたんだっけ。アンディーは念話で伝えた通り皆の前で “ 紙と鉛筆が欲しい ” 仕草をしてくれた。演技派女優だ。そして俺が態とらしく 「アンディー、お絵描きしたいの?」 と声を掛け筆記用具を渡すとキュウキュウと鳴きながら画伯モードを発動する。
アンディーは天井と梁っぽい絵を描き、破損箇所に黒い印を付けた。
その絵だけだと講師に意味が伝わらない可能性があるので、俺が手渡した時にアンディーが上から落ちてくる演技をしてくれる事になった。
(「アンディー、大変だけど頑張ってね」)
(「あたち やるの」)
「これ……梁が破損って意味なんですかね?」
「そうだと思います。アンディー、ここが壊れてるの?」
ムキュウ キュウキュウ
「俄には信じ難いが、ミーシャ=ニイトラックバーグの昏倒を絵で知らせたという事実もあった訳だしね。調査だけでもしておけば安心か。丁度、グェン=ヴァン=オーキッドル棟梁も来ている事だし現場を見てもらうとしよう。ミーシャ=ニイトラックバーグにも立ち会って貰う事になるけど時間の方は大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です。先に従魔の【手持ち豚】のカトリーヌの駆虫作業が終わったのかどうか確認してきてもいいですか?」
「それなら一時間後、ここに集合という事でもいいかな?」
それから一時間後、お仕事上がりでお腹いっぱいのカトリーヌをスライムバッグに入れて先程の作業場に戻ってきた。棟梁って、どんな人なんだろう。木造建築の棟梁って事? それとも石造りも木造もこなせる総合的な棟梁かな?
「君が梁の破損を見つけた生徒かね?」
「はい、ボクと言うより従魔のアンディーなんですけど………、失礼ですけど、この方がグェン棟梁なんですよね?」
「驚いたかい?」
「あの……エルフの方ですよね」
「勿論。エルフが大工で驚いたか?」
「いえ、ちょっと想定外でしたが、木造建築だとドワーフより適任だと思います」
「そいつぁーよかった」
まさかの、大工のグェンさん登場!!
「グェン=ヴァン=オーキッドル棟梁は凄腕の大工でね、『スワロー』開発の為に『ロング=フィールド』から駆けつけてきてくれたんだよ」
「まぁ、『スワロー』の学園で孫娘も世話になってるしな。それぐらいは構わんよ。それに、【プルモニア】の植樹に立ち会えるんなら安いもんだ」
あれ……【プルモニア】の植樹って、もしかしなくても俺の事じゃね?
「お孫さんが学園で学ばれてるんですね」
「ああ。グェン=ヴァン=ネッコと言うのだが」
「あれ、それってグェン先輩!?」
「おや、孫娘をしっていたのか」
「はい、先日、学園で色々とお話ししました」
「ふむ。孫娘の話は後で聞くとして、先ずは現場を確認しようではないか。カーバンクルのアンディーだったな、案内してくれるかね?」
ムキュウムキュウ
(「こっちなの あたち あんないなの」)
スルスルと柱を登り梁の損傷箇所に向かって走るアンディー。それを見て次元収納から梯子を取り出し梁に向かうグェン棟梁。エルフと言えども流石に空は飛べないか……。いや多分、空間魔法か何かを使って一瞬空中に浮いてたわ。
そして棟梁がグェン=ヴァン=ネッコさんのお祖父さんって事は、この人って今何歳???
「おお!! 本当だな」
ムキュウ!!
「緊急ではないが早目に補修が必要か……」
破損箇所を確認したグェン棟梁が降りてきた。梁から滑空してきたアンディーがお腹からベチッと地面に落下。遊んでいるだけなのか着地がヘタクソなのか分からないが、アンディーはいつもお腹から着地している。俺に駆け寄ってきたので動物王国の彼さながら「よーし、よしよし」と褒めながら撫でまくってやる。
ムキュウキュウ
(「あたち ほめて うれちいの」)
「お疲れ様。教えてくれてありがとうね」
キュッキュッ
「いやー、実に賢いカーバンクルじゃねぇか」
ムキュウ!!
「まして金印って事はだな、過去にも人助けをしてるんじゃねぇか。嬢ちゃん、大事にしてやれよ」
「勿論です。ボクの命の恩人なので」
「それなら尚更だ」
「はい、アンディーに【魔増草クッキー】だよ。一緒に食べよう。あ、グェン棟梁もお一ついかがです?」
「ミーシャ=ニイトラックバーグ、いくらなんでも失礼だろ!! グェン=ヴァン=オーキッドル棟梁、申し訳ございません」
「いや、構わん。……と言うか、食いたいところだ」
「グェン棟梁、それでは一緒に食べましょう。何でしたら飲み物として【魔増歪ジュース】もありますけど」
「ワハハハ…、こいつぁーいいねぇ!! 嬢ちゃん、ドワーフらしくねぇなぁ。俺は気に入ったね」
「ありがとうございます」
プープー
「あ、カトリーヌも起きた? カトリーヌも一緒にクッキー食べようか」
プープー プープー
ドン引きする講師を横目に【魔増草クッキー】でティータイムか始まってしまった訳で……。




