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第470話

そう言えばローザ=リオールさん情報によると、【魔蛸(マダコ)】の吸盤を編み棒の後ろ側のストッパーに使う案は正式に採用された模様。初回に採用料が支払われ、その後は半年毎に権利金が入ってくるのだと。バカ売れしたら権利金に色が付くみたいだけど、通常はささやかな額って事でした。それでも、十年、二十年と不労所得としての小銭が支払われるので有り難いよね。


尤も、ドワーフ的には額面云々よりも発案数・登録数の方がステイタスになるという事なので、 “ 目指せ!街の発明王 ” って事よ。前世でジャンピングシューズで有名なあの発明おじさんだけでなく、町内の変人枠の発明おじさんも『ハポン=ヤポン』のドワーフ領に転生してきたら大英雄になれるよ。科学実験のセンセーは大賢者間違いなしか。俺にはそんな才は無いからなぁ……せいぜいバレない程度に前世の知識をちょい出しする程度だ。




◇◇◇◇◇


「ミーシャねぇね、こんにちは」


「アッシュちゃん、こんにちは」


「じぃじも一緒です」



アッシュちゃんはパイクお義祖父さまと昨日も【双子豆(ツインズ)】堀りに出向いていたとの事。



「じぃじの草樹(くさき)魔法の『根取る(ネトール)』がすごかったです」



響きがアレだが、作物や雑草を大地から根こそぎ掘り起こす為の魔法だ。注ぐ魔力を間違うと大躍進して辺り一面殲滅し不毛の大地にしてしまうので注意が必要な、ある意味で禁呪に近い魔法だとも言うが。


本来の使い方は、切り株を抜く為のものなので何にせよ使い方次第です。



アッシュちゃんの話によると、『掘坑路(くっこうろ)』で柔らかく土を解した所に『根取る(ネトール)』を掛けたら面白い様にスルスルと【双子豆(ツインズ)】が抜けたんだって。農家の(ドワーフ)も久々に見る『根取る(ネトール)』に興奮気味だったのだとか。そりゃそうだよね、パイクお義祖父さまは数年間あの『関所の集落(仮)』にいた訳だし。


今日の作業会場は何と職校です。素材の仮置場を兼ねた作業スペースがあるのだ。俺としては第二体育館的なイメージだけどねぇ。



「はい、これより【魔多々媚(マタタビ)】の葉の柔軟加工作業を開始いたします。まず最初に質問しますが、今回初めて体験する方は挙手をお願いします」



俺も含めて十人程が手を上げる。アッシュちゃんは経験者だったよ。まぁ、【魔多々媚(マタタビ)】一家の出だしな。………って、自分で言っておいて何だが【魔多々媚(マタタビ)】一家って何よ。



「それでは手順の説明を致します。経験者の方も確認をお願いします。先ずは当たり前ですが【魔多々媚(マタタビ)】の葉を用意します。蔓ごと収穫して葉を外しても構いませんし、葉のみを野外採取してきても構いません。蔓ごと収穫の場合、根こそぎ伐採するのはおやめ下さい。蔓細工師の方と採取するのが好ましいですが、個人で採取しに行き葉を外した後の蔓を売ることも可能ですので、蔓を使う予定の無い方は細工師及び商業ギルドにご相談をお願いします。次に蔓より外した葉はここの様な広い場所に広げておきます。過度の乾燥は作業の妨げになりますので、作業予定の数日前に保存用のマジックバッグ等から取り出して広げておいてください。完成した柔軟加工葉は納品時にカビ等を除去する魔法を掛けますが、極力清浄な作業場での作業を心掛けて下さい。ここまでで何か質問はございますか?」



流石に基本事項というか難しい事は一切ないので進行係が質問されることは無い訳で。



「それではこの後【ネコスライモ】の分泌液を準備する事になります。【ネコスライモ】はその名の通りネコの様でスライムの様なイモムシです。キモカワ系のイモムシですね。この【ネコスライモ】の頭にですね、ネコの耳に見える突起があります。その耳と耳の間を撫でるとお尻から分泌液が出てきます。これを集めて使います。二〜三回採取出来るので頭を撫でてやり採取を続けてください。注意して頂きたいのですが、【ネコスライモ】は口からも分泌液を出します。口から出た分泌液は使えません。口から分泌液を出す時は触れ合うのを嫌がっている時なのでソッと飼育スペースに戻してあげて下さい。【ネコスライモ】は比較的丈夫な魔蟲種ですが、触り過ぎるとストレスで死ぬ事があるので注意して下さいね。集めた分泌液を水で百倍に希釈します。希釈液の使用量は【魔多々媚(マタタビ)】の葉と同じ重さです。希釈液はポーション瓶に詰めればマジックバッグで半年ほど保存が出来ますので余剰分は廃棄せずに保管して下さい」


「今日は【ネコスライモ】は持ち込まれていますか?」


「はい、持ち込んでおります。それと、柔軟加工作業で一番苦労するのが希釈液の噴霧なのですが、水魔法の『霧霧舞(キリキリマイ)』を使用します。これは対象の液体を霧状に形状変化させる魔法です。そこに風魔法や『汎用魔法』の『微風』等を重ね使いして【魔多々媚(マタタビ)】の葉全体に行き渡らせます。『霧霧舞(キリキリマイ)』を使える(ドワーフ)がいない場合は魔道具の【霧誕砲(キリタンポウ)】を使ってください。最後に【魔多々媚(マタタビ)】の葉を一枚ずつ丁寧に揉んでいき、小さく丸めて乾燥用の干し笊に上げてしっかり乾かせば完成となります。最初の二日間は陰干しで管理し、三日目に半日ほど天日干しして下さい。この時に雨天であればマジックバッグに仕舞っておいて下さい。天日干しは欠かせない工程です。天日干しした後に水分が残っている様ならば風魔法や『汎用魔法』の『乾燥』や『除湿』等でしっかりと乾燥させる事が品質の高い商品を完成させるコツになります」



作業工程の説明の後に【ネコスライモ】の頭が撫でられ分泌液の出てくるところを観察した。当たり前だけど【ネコスライモ】は 「ニャ〜」 とは鳴かなかった。【ネコスライモ】が身を捩った時にキュッキュッという音はしてたけどね。

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