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第469話

今朝のカトリーヌは朝食に果物だけだったからな。タダでたっぷりと【虫来ず草】を食べてきてもらおう。きっと残り香を放ってくれるだろうから俺の部屋も安泰って事でOK。



「今の頃だと学生も栽培慣れしてるハズだから豚さん達も【虫来ず草】を喜んで食べてくれて嬉しいよ」


「美味しくない時期もあるんですか?」


「職校と学園の学生が栽培しているからね。入学式の後、暫くの間は豚さん達は不満かもしれないね」


「そういう事なんですね。てっきり季節で味わいが違うとか、そういう事かと思っちゃいました」


「春先の柔らかい新芽、夏の力強い味わいのある夏葉、筋張っているものの程良い苦味と旨みがある秋の葉、冬の餌用には乾燥葉を。一応そういう区分はあるよ」


「豚さん達はどれが好みなんですか?」


「個体差もあるけど、夏葉を好んでいるみたいだよ」



前世の蓬餅用の葉は黄金週間が明けた頃の若葉を摘むと良いと聞いたことがある。カトリーヌと奪い合いにならないのなら俺は春先の若葉が欲しいなぁ……。



「でも、色んな草類を好みますよね。それと拭き草って与えて良いんですか?」


「でた、【手持ち豚】拭き草問題」



クスクスと笑う講師と苦笑いする俺。そうか、【手持ち豚】あるあるって事なのか。



「ゴメンゴメン。それって必ずぶち当たる問題だからね。結論として【手持ち豚】は拭き草の葉を食べる。理由としては【虫来ず草】が拭き草と同じ属に含まれるからだね。妖精族のシルキーとクルラホーンみたいな関係だよ。【菊の葉】も【チシャレッタ】も同属だね。なので、当然ながらこれらの野菜も【手持ち豚】は好きなんだけど、【チシャレッタ】は見た目のボリュームの割に栄養が少ないので与え過ぎると栄養不足になるよ」



あ、もしかしなくてもキク科の植物だからって事? ヨモギってキク科だったのか。【菊の葉】こと春菊は名前にモロ “ 菊 ” ってあるから分かるけど。レタス、お前もか……。


あ、タンポポの咲き乱れる草原をお散歩させてあげたい!!



「それなら新鮮な拭き草の葉や、未使用の拭き草なら食べさせても大丈夫って認識で間違いないです?」


「そう。それでいいよ。そして豚さん達はね、生の拭き草の葉よりしっかり乾かし手揉みして柔らかくした物の方が好きだよ」


「そうなんですね。【ネコスライモ】処理されててもいいんですか?」


「それは好きじゃないかも。それしかなかったら食べるとは思うけど」



柔軟剤は好まないって事だな。


カトリーヌを預けて俺は自主作業部屋に向かった。まぁ汚さないで使わなきゃいけないのだけど、簡単な作業や自習が出来るので便利な部屋なのだ。実習の合間の時間潰しにも使える。酒さえ飲まなきゃ寝てても怒られない。


暇つぶしには手習いポーチかな。サボっている訳ではないけれど、そこまで上達している訳でもない。それでも針目は揃ってきた気もするけどねぇ。飽きてきたらノートに文様の講義内容を纏め直しだ。単発柄でもない限り、方眼用紙の上に定規とコンパスがあれば文様を描き出せる。精密に描く必要は無いので、文様の形状を認識してしまえばフリーハンドでも描けなくはない。とは言え、線が整っている方が魔力の通りはいいのでそこは練習あるのみ。


手習いポーチ、サボリ気味だったのってオロール先生にバレないよね……? って思ってたんだけど、肝心な事を思い出した。手習いポーチの納品に伴う賃金、オロール先生にも取り分が流れてたわ。つまり、納品数がバレてる可能性あり。


微課金だから。そもそもオロール先生に流れる金額って微課金みたいな額だからな!!


そしてこの指導員や師匠に工賃の一部が還流するシステム、指導員や師匠の飲み代に回るのではなく、生徒や弟子に使わせる道具代や材料費の積み立てって事でした。何だ、師匠の飲み代じゃなかったんだ。まぁ、オロール先生の場合は入金される脇から飲み代に回しちゃってる可能性は否定出来ないのだが。



ラパンが自分を見つめ直す旅になってるそうだけど、謎の修行とかをしてパワーアップしてるんだろうか? 滝に打たれるとか、荒れ地を全力疾走するとか、火の輪を潜るとか……。まさか、戻ってきたら脚が八本に増えてたりしないよね?





そうそう、文様の講習に針打ちで一緒になったローザ=リオールさんも聞きに来ていた。彼女は編み物の柄に文様を組み込みたいんだって。講習の後に針の話で盛り上がっちゃったよ。



「ローザ=リオールさんはあれから何本か編み針を打ったの?」


「ええ。今は【アルミンアルゲン】合金の編み針に挑戦中なのよ」


「【アルミンアルゲン】?」


「凄く軽くて柔らかい銀なの。柔らかいから武器には向かないんだって。なので使う時は合金にする事が殆どなんだって」


「凄いや、頑張ってるんですね」


「そういうミーシャ=ニイトラックバーグさんはもう刺し子針は打たないんだ」


「ボクの中で微妙になっちゃったので保留中なんです。魔導刺繍としての刺し子の針って、【魔甲鯨(マッコウクジラ)】のヒゲだったり、ドラゴンの骨だったり、【毛長魔象マンモス】の象牙から作ったりも出来るし、植物だと【()ホガニー】なんかでも作れるし、それこそ【タケ】の仲間でも作れるので……」


「それは悩むかも。分かる〜〜!! 多分、編み針もその素材でも作れると思うし」


「まだ手習い中なので凄い素材の針はもう少ししてからにしようと思ったんです」


「私も考えてみようかな」



更に指貫の話で盛り上がり、手紡ぎの毛糸の話で盛り上がり……。情報交換って大事だなぁ…って思いましたよ。そうそう、指貫と言えばシモネッタ先生の話も…… ふぅ。

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