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第468話

晩秋から初冬にかけては異常に忙しい。何というか、前世でハロウィン向けの売り出しが終わった後にボジョレーの解禁日が来て黒い金曜日のセール。同時にお歳暮商戦にクリスマス商戦、クリスマスが終わったら売り場はモミの木が瞬殺され七五三縄(しめなわ)に早変わりし、売れ残ったクリスマスケーキと鏡餅が隣り合わせ。年が明けたら初売りの福袋からのバレンタイン商戦で、チョコレートを横目に節分の恵方巻きのチラシと鬼の面……と言うのを思い出す。


あ、七五三縄(しめなわ)の前に七五三があったな。千歳飴が懐かしい。



まぁそこまで酷くはないものの、農作物の収穫は忙しいし山が閑散とする前に素材を集めるのも大事なのだ。そして当然、それらを扱う交易も盛んになる。亜人種も獣人種も冬を乗り切る為に躍起になるからね。


ドングリ好きの獣人達は堅い果皮の中身を好む訳で、余った袴(もしくは帽子)は染め物に使う材料として持ってきてくれる。対価は豆類だったりヒマワリの種だったり。彼等にしたら美味しいから食べたいけれど栽培まではしたくない(たね)(たぐい)を指定してくる。果樹もドライフルーツ等に加工するのはドワーフやエルフだ。採取は獣人に任せ、加工は亜人が、そして皆で折半する。その中にヒト族は入っていないけど、彼らはお金で商品を買ってくれるのでそれはそれで有り難い。ぶっちゃけ余すらしいし。



そして、山と言えばキノコ。生きるか死ぬかのロシアンルーレット。ダブルプレーかヒットエンドランか。美味なあまり感動の踊りを踊ってしまうものから死の天使と呼ばれるものまで、様々だ。そのキノコの中でも俺が狙っているのは松茸さんです。松が生えているなら松茸があるんじゃないかって事です。


実際、キノコの時期に松林で変わった香りがする話もあるそうで……それ、松茸じゃねぇの?


そう言えば、トリュフを探すのに豚の嗅覚を使うとか聞いたことがあったわ。カトリーヌ、松茸見つけてくれるかな?


いやまてよ、もしかしてカトリーヌに松茸を食べさせたら、ぽわ〜っと松茸のお吸い物の香りを漂わせてくれるとか???


それより、美味しいキノコって山に生えてるんだよね? 実は栽培してましたってオチじゃないよね?



{ ――― キノコ四天王はね、【タロール】、【ジロール】、【トリル】、【ポール】よ。美味しいし香りもいいから口にすると天に昇る気分になるわね。 危険なキノコは【コカトリスの尾(コカトリスコーラ)】、こっちは食べると天国というかあの世行きよ ――― }



まさかの天の声。これ……ヤーデさんじゃない。確かブロッコリーをお供えしたときに同じ声が聞こえた様な……、って事はこの声はレミ神ですか!?


コカトリスの尾(コカトリスコーラ)】長いからって略すと響きがヤバイな。コカの(コーラ)……。四天王もヤバイのも後でどんなキノコか調べてみないと。



その前にアリさんのガーネットをスケッチしておくぞ。所詮は地中から掘り出された石だし、従魔石よりは気楽に研磨できそうだ。


(簡易)

蟻石(アーマイゼライト)】: 蟻が運んできた鉱石。見つけるとラッキー。


(鑑定)

蟻石(アーマイゼライト)】: 【不死蟻(ふしぎ)の国の蟻】が運んできた【柘榴石(グラーナ)】。前世のガーネット。品質は中程度。



サイズは落花生一粒より少し小さいくらい。色味は所謂ワインレッド。


ガーネットは研磨しやすいから俺は好きなんだよ。



ムキュウ?

(「ますたー いち ほちいの?」)


「アンディーからは沢山貰ったからまだ大丈夫だよ」


キューン

(「いつでも あげるの」)


「ありがとう。無理はしないでね」



いかん、石を強請っているみたいに思われたのか。アンディーに無理させなくても鉱石は手に普通に手に入るからね。今回のアリさんは特殊ケースって事です。


従魔から石を貰うとか、それだとカトリーヌが拗ねちゃいそう。まさか真珠とか出してこないよね……。カトリーヌは出すのは煙だけにしておいて。



学生用掲示板によると【双子豆(ツインズ)】収穫は八の日まで、【魔多々媚(マタタビ)】の葉の処理は今日、七の日の午後から九の日までとの事。尤もそれは “ 学生枠 ” での作業依頼なので、商業ギルドや農業ギルドなんかに行くとまだまだ作業を手伝う事は可能だった。本気で学びたい場合はそっち経由で依頼を請ける方がいいって事だね。


俺は【魔多々媚(マタタビ)】の葉の処理は今日の午後だけ体験だな。コカちゃんをお迎えする準備をしながら講義の内容をノートに分かりやすく纏め直さないといけない。一部の教科書も届いたのでそれも早く読みたい。


アンディーはいつも通り背中に張り付いてもらうとして、カトリーヌはどうしたものか。学生寮の駆虫バイトが有るのか確認して、無ければパイクお義祖父さまの家かリンド=バーグさんの家に預けていった方がいいかもしれない。


とか考えていたけれど、カトリーヌには学生寮の駆虫のお仕事依頼が回ってきた。実のところカトリーヌはお仕事大好きっ子なのだ。単に、美味しい草が貰えるから喜んで煙を吐いているだけの気もするが。まぁ、大抵の【手持ち豚】は仕事好きだそうだから気にしない事にする。


それで、今日カトリーヌが担当する部屋はよりによってオロール先生が借りている部屋だったという。害虫よりヤニ臭さの優る部屋だったりするが、カトリーヌ……大丈夫だよね?

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