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第465話

十一の月・三の週・六の日。先に【双子豆(ツインズ)】の収穫の日がやってきた。しかも当日の朝発表だよ。作業自体は夕方まで続くので午後から参加しても構わなかった。報酬は作業時間で変わってくるので、個々の都合で参加出来るのがいいな。取り敢えず午前中から参加しておこう。午後も参加するかどうかは収穫体験してからだな。大変だったら午前中で捌けよう。



「♪ 双子豆(ツインズ)は〜 土に潜る

悲しみから逃げるために

双子豆(ツインズ)は〜 土に潜る

安らぎを求める故に


双子豆(ツインズ)は〜 兄と妹

花を咲かせ土に潜る

怖い敵を避けるために


双子豆(ツインズ)は〜 土に潜る

守る殻が強固すぎて

双子豆(ツインズ)は〜 殻を割れぬ


双子豆(ツインズ)は〜 殻を割れぬ

芽吹くために人を頼る

双子豆(ツインズ)は〜 離ればなれ


兄なのか妹なのか

芽吹く為にその身捧ぐ

双子豆(ツインズ)は〜 離ればなれ


片方が食われても

芽吹ければいい〜♪ 」



物悲しい歌が流れてくる。これ、労働歌なの!? こんな物悲しい歌を歌いながら作業しなきゃいけないの???



「ミーシャ、おはよう」


「久し振りっす」


「あ、チーウさん、イルマさん、おはようございます」



【地底()】のチーウ=エーツさんとイルマ=ニーアさんだ。確かイルマ=ニーアさんは農業ドワーフだ。光魔法の『浄化』を掛けたり、カビた豆や腐った豆を分離しにきたんだな。



「その…さっき物悲しい歌が聞こえてきたんですけど、あれは一体?」


「【双子豆(ツインズ)の歌】っすよ。そのまんまっす」


「ところでナオ=エーツさんは?」


「ナオは午後から参加かな。初日の朝は危険だから来ないでもらった」



確かに気合の入った農業ドワーフだけでなく、報酬の【双子豆(ツインズ)】に誘われてやってきた手伝い衆だらけだ。



「それでは【双子豆(ツインズ)】の収穫に入ります。この中に土魔法の『砂地野(スナッチャー)』を使える方はいらっしゃいますかー?」



「俺、使えまーす」


「私も使えます」



後方から声が上がる。こんなに(ドワーフ)が集まってきているのに習得済みは二人だけなんだ。



「『砂地野(スナッチャー)』は地面を砂地化する土魔法っすよ。使い所が難しいので一部の農業ドワーフしか覚えないっす」


「金鉱山で働くドワーフにも使える人がいるかな。小さく割れた鉱石や掘り出した土を砂にして砂金を回収しやすくするのに使うんだけど、それってとっても効率が悪いからね」


「一応、『土壌乞う(どじょうこう) 砂地硬化すなっこう』で土に戻せるっすね。それよりなら『粘土る(ネンドール)』で粘土化した後にその粘土を利用して『土器』を発動させた後に土器を粉砕して土に戻した方がまだ楽っすよ」


「後始末にそこまでしなきゃいけないのに『砂地野(スナッチャー)』を利用するメリットはあるんですか?」


「まぁ、砂混じりの土の方が育ちのいい作物もあるっす」


「あ、農業的に使うんだ」



先程挙手した二名が進行係の所に到着。



「はい、この辺りに十五サンチミートルくらいの深さまでで『砂地野(スナッチャー)』をかけて下さい。あまり深くまで掛けると砂漠化するので注意してくださいね」



砂地野(スナッチャー)』は結構魔力を使うので普通に発動させれば砂漠化まではいかないらしいけど、念の為に告知だけはするのだとか。そしてこれはパフォーマンスとしての『砂地野(スナッチャー)』使用なので砂地にする範囲も狭かった。



「これで【双子豆(ツインズ)】が掘り起こし易くなります。収穫後はここの畑は砂混じりの土になるので、来年は水捌け重視の作物を植えてください」



収穫の効率化と連作防止に役立ってるんだ。あ、砂ってセメントに混ぜて使ったりしてた記憶が。モルタルだっけ? 異世界にセメントが広まっているか不明だけど。



「それでは次は『掘坑路(くっこうろ)』ですけど、薄く・広く・弱く、でお願いします。【双子豆(ツインズ)】を粉砕しない程度でお願いします」



掘坑路(くっこうろ)』持ちの有無は聞かないんだ。つまりここに来ている相当数が習得済みって事かな。



「これ、軽〜くお願いされてる割に調整が難しいんすよ」


「『(ザク)』だと調整は楽だけど面積が稼げないからなぁ……」


「『(ザク)』?」


「ほら、ドワーフの種族固有魔法だよ。ずっと使わないでいると持ってるのを忘れる魔法の」


「あ、その『(ザク)』……」



咄嗟に誤魔化したけど、俺、その魔法知らないんだけど!! そう言えば白い空間で種族固有の魔法とかも捧げてしまったたかもしれない。……記憶にございません。



「せめて呪術師(シャーマン)専用『(ザク)』ぐらい使えたら速いんだけど」


「でもそれはトランス状態で『(ザク)』を使うだけっすけど」



ヤバイ、俺、種族固有魔法を持ってない……。『スキルオーブ』開示の時に何も言われなかったから提示しなくても問題ない魔法だと思いたい。



「ごく稀に固有魔法無しで産まれてくる人がいるって聞いたよ」


「変な加護が着くって噂っすよね」


「変な加護ですか?」


「エルフなのに大酒飲みだとか、ヒト族なのに精霊が見えるとか、ドワーフなのにベジタリアンだとか」


「それ、加護ですか?」


「シーッ、それは言っちゃ駄目っす。可哀想だからあえて加護って言ってるだけっす」



それなら俺が【魔増(マゾ)草】食ったりしてるのって、加護だって思われてないだろうな? 不安になってきた。いや、スキルには【魔増(マゾ)の加護】も【苦行(サドゥ)の加護】も無かったハズ……。まさか増えてないよね?


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