第464話
「ミーシャも【双子豆】堀りに行くんだよね?」
「はい。【魔多々媚】の葉の処理にも行きます」
「そっちも行くんだ」
「ボクの庇護養親のパイクお義祖父さまの孫娘のアッシュ=ラックさんも作業に行くって言ってました」
「その子も髭無しなんだ」
「はい。ナオ=エーツさんより何歳か年上かと」
「だったらナオにも両方体験してもらおうかな」
「チーウ=エーツさんは【魔多々媚】の葉の作業は参加しないんですか?」
「私は細かい作業が得意じゃないからね。それより、いつ作業開始になるか分からないから、毎朝早目にチェックしておいた方がいいと思う。職校だったら始業少し前に確認してもギリギリ間に合うと思う。商業ギルドや冒険者ギルドだったら早朝だよ。ギルドで確認だと朝九時だったら間に合わないかな」
「情報ありがとうございます。結構いきなりというかギリギリの発表なんですね」
「それは農作業だから仕方ないかな。エントリーだけは先にしておけるけどね」
エントリーしておいて不参加でも大きなペナルティは無いみたいだ。ただし冒険者は除く。
「あ、ボクって学生枠で冒険者登録があるって事は、ギルドでエントリーしない方がいいって事ですよね?」
「学生だとそこまで厳しくされないとは思うけど、職校生なら職校でエントリーしておいた方が無難だと思うよ。職校だと専攻優先になるから参加出来なくても特にペナルティは無いハズだし」
チーウ=エーツさんは収穫もそうだけど護衛の関係で参加って事か。『スワロー』の中にある畑だからそこまで危険な魔獣は出ないけど、それでもネズミやらキツネやらイタチなんかの普通の野獣は出る訳で、そういった野獣から髭無しを守る役目があるのだとか。
「収穫は『掘坑路』の練習にもってこいだから土魔法持ちは練習がてら収穫に参加してくるよ。そして手伝いの報酬に【双子豆】を貰って帰ってそれをツマミに飲むんだ」
あ、魔法の微調整の練習か。俺も練習しないとな。ただ穴を掘るだけなら簡単なんだけどね。鍬でソッと畑の土を掘り上げるレベルから岩盤に穴を開けるレベルまで、穴を掘るという行為にはかなりの振れ幅があるし。それってもうピンキリどころじゃないよね。
「そうだミーシャ、外は見に行った?」
「外…ですか?」
「そう、『スワロー』の外側。結構開拓されてきてるよ。場所にもよるけど前にトイレを確認に行って野草を採取した時とは全然違ってきてるかな。特に畑を増設する南側の開発は早いかな」
「そうなんですね。見に行っても怒られないんですよね?」
「邪魔しなかったら平気平気。歩いて見に行ってもいいけど、グルっと回るならポニーに乗ったら楽だよ。陽が落ちるまでまだ二〜三時間あるからポニーに乗った方が安心かな?」
「それならワギュが居たらワギュに乗ります」
「よしっ、では私が案内してあげるね」
馬車組合に行ったらワギュが居た。それと、移動の時に一緒だった白馬のスノウが来ていた。ワギュは俺の従魔なので騎乗報告だけすれば連れ出せる。恥ずかしながら『襷着る』は覚えていないのでワギュにスキル使用をお願いしたよ。
(「わーい、ミーシャちゃんだ」)
「ワギュ、宜しくね」
ヒヒーン。 ワギュは一鳴きすると前足で地面を軽くトントンと叩いて任せろとアピール。すまんラパン、抜け駆けした訳ではないんだからねっ。
(「お家の候補地を見に行くの?」)
(「そんな感じかな」)
アンディーは背中に貼り付くから良しとして問題はカトリーヌだ。スライムバッグに入れて移動したらいいんだけど、間違って落っことしたら嫌だし。そう思っていたら馬車組合の職員さんが除虫の為にカトリーヌを借りたいと申し出てくれた。職員さんが取り出してきた新鮮な【虫来ず草】を目の当たりにしたカトリーヌは尻尾を左右にブンブン振ってやる気をアピール。スノウのレンタル代は除虫代で相殺となったのでチーウ=エーツさんにも迷惑は掛からなかったので良しとする。
「カトリーヌちゃんにポニー代を奢ってもらっちゃったね」
「カトリーヌ、何処に行っても人気者なんですよ」
「そりゃぁまぁ、個人所有の【手持ち豚】だからね。人気者になって当然かな」
「そうなんですね」
「ミーシャは【運魔】二頭に【手持ち豚】、騎士格のカーバンクル持ちでしょ? 本格的に冒険者になったら引く手数多になるんじゃない?」
「本当ですか?」
「う〜ん、どちらかといえば鉱山の方で人気者になるかも……。『エイドパス鉱山』のある『エイドパス島』に行ったら大歓迎されると思うな」
チーウ=エーツさんに案内されて『スワロー』郊外予定地の南側エリアを見学に行った。確かに土が掘り起こされて整地されていたよ。住宅予定地は内側寄りで畑は外側だ。『スワロー』を囲む外壁は最終的には高さを落として残すみたいだ。そこはポニーや馬車を走らせる道にするのだとか。産業道路と乗り合い馬車路線って事か。
俺の家の候補地になるであろう場所も確認出来た。【プルモニア】を植樹する関係上、俺が勝手に家の位置を決められないので「この区画にして!!」とは言えないのだ。それでもパイクお義祖父さまの家からそう遠くはないのでいいかな。職校と学園からは少し遠くなっちゃうけど。遅刻しそうになるのならワギュかラパンに乗って移動すればいい。
「兄達に聞いたよ。この辺りに家を建てるんでしょ?」
「多分、そうなると思います」
ムキュウムキュウ
流石に北側エリアを見に行くには時間が足りないので今日のところはこれにて終了。もっとも北側はそこまで開拓開始されてないらしいので行くのはまだ先でもいいか。




