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第461話

ドワーフの朝は早い。……んだけど、今日の俺ははまだ寝ていたい気分。それでも一回は目が覚めてしまうので二度寝を敢行する事にした。一応、髭とツインテールは整えてからだけどな。アンディーはいつの間にかカトリーヌの脇で丸くなって寝てるし。今度からそこにコカちゃんも加わる。やっぱり広い部屋が要るわ。



二度寝から覚めたのでパイクお義祖父さま達に少し遅めの朝の挨拶をした。アッシュちゃんが算数の勉強中だった。



「ミーシャは帳簿の記入の仕方は知っておったかのう?」


「項目毎に入金額と出金額を書いて計算していくんですよね?」


「そうじゃよ」


「商業ギルドの認める正式な書き方は分からないですけど、金銭の動きが把握できるレベルのものなら書けると思います。受け取り証書も添付しておくんですよね?」


「基本的な事は分かっておるんじゃな。それなら安心じゃ」



まぁ、前世の知識で一応は知ってるからね。経理担当じゃなかったから詳しい事はパスだけど。


商業ギルドに登録してあると、ギルドを介さない個人間での仕事以外はギルドがバッチリ把握しているので、税金やら権利金やらの支払い額は計算してくれているのだという。勝手に納税もしてくれるから便利っちゃ便利だけど節税にはならなかった。まぁ、前世の税金ほど面倒臭かったり色々徴収されないみたいだからギルドに丸投げしちゃっても特に問題は無い模様。



「アッシュの勉強が終わったら、【魔多々媚(マタタビ)】の葉の加工について説明しようかのう」


「パイクお義祖父さま、お願いします。職校の掲示板にあった作業の事ですよね?」


「そうじゃよ。【魔多々媚(マタタビ)】の葉を柔らかく加工して猫の人に卸すんじゃ」



アンディーとカトリーヌと一緒に野草クッキーと紅茶で簡単な朝食済ませた。カトリーヌは紅茶を淹れ終わった後の茶葉もシッカリ食べてたけど。甘い香りの茶葉の煙はアッシュちゃんのお気に入りになったよ。




「冬になる前に【魔多々媚(マタタビ)】の葉が散るのじゃが、それを集めてきてじゃな、特殊な薬液で処理をすると葉が柔らかくなり丸まるんじゃよ。それを猫の人がベッドの敷き布団に使っておるのじゃ」



その特殊な薬液というのが【ネコスライモ】の分泌物を使った液体。【ネコスライモ】という芋虫がいるのだ。ネコっぽくてスライムっぽい姿をした芋虫なんだって。そう言えば前世でも俗にネコイモムシと称された蛾の幼虫が居たなぁ。


そしてこの芋虫、ネコやスライムの様に柔らかく伸び〜るのだとか。その分泌物を使うと紙や布等を柔らかく仕上げることが出来る。例えば拭き草、拭き草を普通に加工したら少しゴワッとして張りのある紙になるのだけど、【ネコスライモ】処理をすると格段に柔らかくなり高級な拭き紙になるのだという。麻布も【ネコスライモ】処理をすると格段に柔らかくなり、まるで絹のような肌触りになるんだって。柔軟剤の強力なやつって事?



「今は【ネコスライモ】は養殖されておるからのう、わざわざ採取にいく事はないのじゃ」



つまり昔は採取してた訳か。見た目はソコソコ可愛いみたいだけど、五〇〇ミリリットルサイズのペットボトルぐらいの大きさだというから、別に好んで飼わなくてもいいよね……。想像したらちょっと怖いし。



その【ネコスライモ】成分を使った薬液を集めてきた【魔多々媚(マタタビ)】の葉に掛けて良く揉み、丸めた物を敷き布団の中綿代わりに使うんだって。勿論、猫獣人専用中綿。ドワーフは硬めの敷き布団が好みと言う事で藁麦だったり木の皮だったりを詰め込んでいる。俺は柔らかいマットレス派なのでそのうち自作してやる。虫さえ湧かなければ使う素材は拭き草の茎の皮でも何でも構わないよ。


ちなみに敷き布団の中綿の最高級品は【魔綿(まわったー)】。木綿(もめん)じゃなくて絹製品だ。魔力を帯びた木綿(もめん)魔木綿(まもめん)もしくは魔木綿(マジカルコットン)なので間違いに注意だ。


そんな【魔綿(まわったー)】は魔蚕の繭を引き伸ばした物だ。魔蚕の糸で作られた絹製品は魔絹(マジカルシルク)製品になる。おのれ上様、混乱するじゃないか。


魔蚕は桑の葉と【魔増(マゾ)草】を食べて育つ。【魔増(マゾ)草】が少ないと成長不良を起こすけど、桑の葉が足りなくても育たないそうなので飼育は面倒なのだとか。エルフが育てるのが得意らしいので購入するならエルフとの交渉になる。




「じぃじは葉っぱを揉まないですか?」


「儂は蔓を貰いに行くぐらいじゃよ。そうじゃな……儂がアッシュぐらいの頃にはまだ【魔多々媚(マタタビ)】の葉を加工する事は無かったのう」


「そうなんですか?」


「【ネコスライモ】の採取が大変じゃったからのう。それこそ虎の人の王様に献上する様な高級品じゃったのだよ」



実は虎獣人の王様、レアだからと言うだけで献上品を受け取っていたのだ。そのクセそこまで【魔多々媚(マタタビ)】布団には拘りがなかったらしく、量産が可能になったら興味を失い、猫獣人に使用する権利を譲ったのだとか。



この【魔多々媚(マタタビ)】の葉揉みは髭無し(幼ドワーフ)に仕事が回ってくる。簡単な作業で仕事をする事の喜びを知ってもらう……と言う事ではなく、手が小さく力も強くない髭無し(幼ドワーフ)が適任と言う事でした。


この作業、手揉み茶に発展しないかなぁ。



職校生は手も大きいし勿論力も強いけど、作業工程を知るために参加が推奨されていた訳よ。後は小さな単位も貯まると卒業時に効いてくるとも言う話ね。

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