表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

458/580

第455話

鶏達にも餌を与えた。沢山食べていい卵を産んでもらいたい。養鶏場の職員さん曰く、余った野菜を持ち込む八百屋や農業ドワーフは珍しくはないけれど、そうではなく趣味や善意で餌の差し入れをしにくるドワーフは珍しんだって。俺はまぁ、ほら、コカちゃん(仮)の件があるしね。



「もうすぐ孵化するんですね」


「予定通り今週の九の日でしょう」


「雛の性別ってまだ分からないんですよね?」


「雛を鑑定するスキルを持っていれば、ここまで育っている卵なら鑑定すると分かります。無精卵や殻の中で死んでしまっている場合も分かりますよ」


「雛の性別って鑑定出来たら分かるんですね」


「ははは、雛を鑑定するスキル持ちがいないと養鶏場は地獄を見ますからね」



前世だとヒヨコの仕分けのプロが居るんだとか聞いたな。縁日に回ってくるのが漏れなく雄だとかなんとか。



「『無礼(ぶれい)コール』とかでは見れないんですか?」


「見れなくはないのですが、鑑定率が百%ではないので養鶏施設では滅多に使いませんね。他にも……ドラゴンパピーもそうですし、リザードマンといった爬虫類系種族は産まれてから数年間は性別の確認がし辛いので、その関係者は雛の鑑定スキルを重用しています」



ちなみに竜人は産まれて直ぐ性別が分かる種族だった。



コカァッッ と雄が卵に向かって鳴く。するとコツコツと殻を叩く小さな音と コピョ という小さな鳴き声が返ってきた。



「今の聞こえました? 雛ちゃんが殻越しにミーシャさんにご挨拶してくれてます」


「あ、雛ちゃんこんにちは」


「もう名前は決められましたか? もし決められていたなら、その名で呼び掛けてあげてください」


「はい、性別を問わない名前で決めてあります。コカちゃん、こんにちは」


コピョ


「元気に出てきてね」


コッピョ



殻越しに俺に挨拶してくれた。胎児がお腹の中から蹴ってくるのと同じ感覚なのかな?



「その子の名前はコカですか」


「はい、何の捻りも無いです。コカコッコのコカです」


「それでは産まれたらコカという名前で登録いたします。そうでした、性別の方は聞いていかれます?」


「うーん、どうしよう……。雌雄の差で育て方の違いって有りますか?」


「雛から幼鳥までの間は然程の差はありませんね。外見で性別が分かる頃から餌に違いが出てきます。雌には卵の殻や貝殻等を多く与える必要があります」


「だったら早目に知っておいたほうがいい様な気もします。教えてください」


「承知いたしました」



雛の性別を判定する鑑定スキルは『雛仔ヒナコランダム』。何だかカクテルを思い起こす様なスキル名だ。まぁ、これは取得しなくていい感じかな。


鑑定の結果、コカちゃんは雄でした。雄のコカコッコは卵を産まない代わりに卵の解毒や殺菌能力が雌の五割増し高い。もしかしたら生魚の寄生虫やウイルスも倒してくれるかもしれない。ちょっとだけ期待。


そして今更知ったのだが、コカちゃんの両親の名前は父鳥がタッキーで母鳥がチャーモだった。今から名前で呼んであげないといけないな。



コカーッッ



この鳴き声はタッキー? そのタッキーが一鳴きし、何やらモゾモゾと嘴で体を確認している。暫くすると嘴で羽を抜いて俺に渡してきた。



コッコッコカッ



タッキーの軽い鳴き声に応える様にチャーモが抱卵したまま右翼を軽く上げる。タッキーは隙間に頭を突っ込むと羽を一枚抜き、これも俺に渡してくる。



「あ、ありがとう。この羽根って受け取っていいんだよね?」



しゃがんでタッキーと目線を合わせると、タッキーが コカコカ 鳴きながら自身の胸元と俺の髭とを交互に嘴でタッチして何かを伝えようとしてくる。胸、髭、胸、髭、……いや、羽根と髭か!?



「タッキー、羽根と髭なの?」


コカッ


「髭と羽根で思い浮かぶ事って有りますか?」


「謎ですよ」


コカー



こいつ俺の提案が分からねえのかよ……な感じのタッキーが羽を抜いて俺の三つ編みになっている髭に突っ込んできた。



「あ…、羽根飾り?」


コカコッコー!!


「タッキーとチャーモの羽根で羽根飾りを作ってボクの髭に着けたらいいの…かな?」


コカコッコー!!



何の意味があるんだろう? 取り敢えず羽根を鑑定してみるか。


(鑑定)

【タッキーの羽根】: コカコッコの雄・タッキーの羽根。微弱な魔力を放つ。(ノミ)を取り除く効果有り。


【チャーモの羽根】: コカコッコの雌・チャーモの羽根。微弱な魔力を放つ。(シラミ)を潰す効果有り。



これ、目印的な何かって事かな? コカちゃんに “ このドワーフは両親のお友達だよ〜 ” って伝えるサイン的な物とかか? そして(ノミ)とか(シラミ)とか、見聞きするだけで痒くなってくるワードが……。



「多分、髭飾りを着ける事でタッキーとチャーモの魔力をボクに纏わせる意味合いだと思うんですけど、普段そんな事ってしていますか?」


「いえ、お恥ずかしながら初のケースでして、我々も悩んでしまっており……」


(ノミ)とか(シラミ)とかを排除する効果もあるみたいですけど」


「はい。その効果は知られておりますので、羽布団に何枚か忍ばせたりいたしますね。勿論、藁や綿を詰めた布団に忍ばせても効果はございます」



まぁ、(シラミ)を潰すと言っても物理的に潰す訳ではない模様。それでも、(ノミ)(シラミ)を排除してくれるだけ有り難い。



「寝床(シラミ)を寄せ付けない効果が一番喜ばれますからね。抜け落ちた羽根も大切に使ってあげて下さい。それに【手持ち豚】も居るので安心ですね」



ありがとう、スキル『動物王国』!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ