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第445話

ミケヲさんが去り、カーン=エーツさんは慌ただしく走って行った。帰りに八百屋さんで餌用の野菜と果物を補充して帰ろうかな。よく考えたら、アンディーとカトリーヌを連れて食堂に入れるんだよな。アンディーは金級の権利でカトリーヌは【手持ち豚】だからってだけなんだけど。折角だから外食するか。まぁテイクアウトでもいいんだけど。


ミケヲさんからコッソリ手渡されたメモ書きを確認しないといけないじゃないか。ただのお礼文ならいいけど、今後の打ち合わせの日時なんかが書いてあったら事だし。そして外で中身を見る勇気は無い。



(「アンディー、晩ごはんはいつもの部屋とお外のご飯とどっちがいい?」)


(「おへや くだもの たべるの」)



そうか、アンディーは寮の部屋で果物が食べたいんだな。だったらサンドイッチなんかを買って部屋で食べよう。串焼肉とかもいいし。



プープー



カトリーヌが通りがかったソーセージ屋さんの前で何かを訴えかけてくるのでスライムバッグから取り出してみた。豚肉のソーセージ屋さんの前でクンクンと漂う匂いを嗅ぎながらご機嫌に尻尾を揺らして何かを語りかけてくる【手持ち豚】ってシュールだな。



「カトリーヌ、ソーセージが欲しいの?」


プープー プープー



そうですか、カトリーヌはソーセージをご所望ですか。豚を煙で燻すという点では豚肉ソーセージも【手持ち豚も】同じという事か?



「すみません、お勧めのソーセージを二本下さい」


「おや、豚さんだね。うちのソーセージが気になるのかい?」


プープー プープー



うん、お店の人が驚きもしてない。【手持ち豚】はソーセージを食べるという事でいいのかな? 後でホーク=エーツさんに質問してみよう。




部屋に戻ってきたので二匹を解放する。カトリーヌの寝床は土魔法『土器』で適当なサイズの物を作ってみた。早く手提げの籠ケージに入れてみたい。流石に今日は部屋の探検はしないんだな。



(「ますたー たわち かちて」)


「はい、どうぞ」


ムキュウ

(ぶたさん たわち するの)


プピッ



アンディーがカトリーヌをブラッシングしているよ。これは可愛い。いつまでも見ていられる。ほぁ〜〜癒やされる。俺もブラッシングに混ざりたい。



ムキュウムキュウ

(ますたー ねこさん おてまみ)


「あ、ありがとう。確認してるあいだブラッシングをお願いね」



ミケヲさんメモを取り出す。書かれていたのは以下の内容だった。




「 ミーシャへ


ウン十年振りの柳川鍋、吾輩、泣きそうになった。感動した!!


コタツがどうなるか楽しみだ。べっ、別に吾輩、七色に光り輝くゲーミングコタツとか期待……なんかしてないんだからねっっ!!



本題はだ、吾輩ミーシャの事を時々でいいから茶室に招待したい訳よ。毎回レディの寝室に忍び込むのはマナー違反だからね、何か良い連絡手段はないかと考えている。しばらくの間は手紙のやり取りで決めようではないか。



また連絡する。  ミケヲ 」



良かった、メモが爆発もしなければ今夜電撃訪問してくる内容でもなかった。それよりゲーミングコタツって何よ。中のヒーターが七色に光るとかか? あれは赤いからこそコタツ感があるというものだろうに。まぁいいや、後で手紙でも送ろう。



先に夕飯を済ませて風呂に行ってからのアマゾナイト研磨だな。さっさと仕上げて納品してしまおう。アリサお姉ちゃん用の強化石研磨もあるし、それより何より文様や強化石なんかの合同講義が楽しみだ。カーン=エーツさんの講義は……まぁそれも興味はあるという事で。



「カトリーヌ、まだブラッシングする? それともご飯がいい?」


プープー プープー


(「ごはん ごはん」)



アンディーがカトリーヌから離れると俺の背中に貼り付く。カトリーヌは俺の足元に頭を擦り付けてきた。



「ご飯にしようね。野菜と果物と、ソーセージ。ボクはサンドイッチで、野草クッキーは食後のオヤツだよ」


土魔法『土器』で作ったお皿に果物とソーセージを切り分けた物を乗せる。キャベツの葉を数枚剥がし四つに切る。カトリーヌ用に餌を入れる容器も作ってみた。あ、カトリーヌが居ると餌用の器が沢山要るんだ。アンディーは基本手渡しで良かったもんなぁ……。


カトリーヌが野菜、果物、ソーセージと三角食いしてる!! アンディーは気に入った物を延々と食べる系。これは個体差なのか種族差なのか。


そしてこのソーセージが凄く美味しい。今ここにエールが無いことを激しく悔やむ。次にソーセージ屋さんに行ったら併設されてる酒場で食べてやるぞ。



プピプピッ



カトリーヌはソーセージを食みながら尻尾を振りまくる。めっちゃご機嫌だな。アンディーは草食なので興味はあってもソーセージには手を出してこない。何も付いてないパンは食べるけどね。ってそうだ、パンは皆が食べられる食事だな。


美味しく夕飯をいただいた後は、水を飲みながらオヤツの野草クッキータイムだ。ここに紅茶があればいいのか。お勧めの店があるかラルフロ=レーンさんに聞いてみねば。



プー プー プー



幸せそうな表情をしたカトリーヌがポッカリと口を開け、ほんのりと色付いて見える煙を吐き出し始めた。えっ、何これ……スモーク臭なの!? ソーセージを食べたからスモーク臭ってこと!?


いや……嫌いじゃないけど、この匂いはお腹が空くじゃないか。まさか、ソーセージを食べさせるとスモーク臭を発生させるとは思わなかった。つまりだ、ソーセージ屋の店先で看板娘の【手持ち豚】がソーセージを食べる。【手持ち豚】がスモーク臭を発生させる。お客さんが寄ってくる。って事でOK?


しかしこれは、これから寝る部屋の匂いじゃないな。消臭する程でもないけど。



そうだ、カトリーヌを鑑定してみるか。カトリーヌが拒否したら止めよう。



「カトリーヌ、ボク、君のことを鑑定してもいい?」


プープー



尻尾サインはOKか。じゃあ鑑定しよう。


(鑑定)

カトリーヌ: 【手持ち豚】。ミーシャ=ニイトラックバーグの従魔。雌。プリマ系品種。


摂食した物に準じた煙を吐く。その為、共通語では【香り豚(フォンローン)】と呼ばれている。極稀に毒化した個体が発生することが有り毒煙を吐き出す様になるので【加護の鳥】とセット飼いが推奨される。



カトリーヌ情報ってこんなだったんだ、そして【手持ち豚】が【加護の鳥】とコンビを組んでる理由がよく分かりました。

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