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第437話

【手持ち豚】用のクッキーを一通り買うことにした。野草クッキー、スパイスクッキーや、花弁クッキー、【増筋(ぞうきん)豆クッキー】に【魔増(マゾ)(そう)クッキー】、フスマクッキー。後はリラックス効果と安眠効果の煙を吐くクッキーね。



ムキュウ?

(「おいちいの?」)


「アンディーも気になるの?」


「もしかしたら他の従魔の口には合わないかもしれませんね」


「分かりました。アンディー、無理して食べちゃ駄目なクッキーもあるみたいだよ」


ムキュウキュウ

(「わかたの だいじょぶの たべるの」)


プピップー


キュウキュウ



よく分からない従魔同士のコミュニケーション。きっと残したら食べてあげるとかそんな会話なんだろう。


拭き草は食べる個体も居るということなので、きっとカトリーヌは食べるグループなんだろう。拭き草…というか蕗の葉はサッと湯がいてから油で炒めて味噌で味付けしたものなら前世で食べた事がある……んだけど、流石にドワーフ領内で蕗の葉を食べたらアウトだと思う。


紅茶か…。今度買ってみようかな。紅茶も緑茶も同じお茶の木の葉から作られる訳だから、お茶の木が入手出来たら新芽を摘んで揉んだら緑茶が出来るんだよね? いや、乾燥【魔増(マゾ)(そう)】でお茶を入れたら緑茶モドキに……なるのか? 試しに買うか。



「すみません、新鮮な【魔増(マゾ)(そう)】って今在庫はありますか?」


「はい。少量でしたら」


「下さい」


「まさか食べます?」


「いえ、餌用です」



嘘です。お茶として飲用します。俺、ミケヲさんの接待が終わったら葉を摘んで揉んでみるんだ……。



{ ――― それはお茶にはなりませんよ ――― }


{ ――― あら、何事もチャレンジよ。新たな食の扉を開きましょう ――― }



ヤーデさん、もう一人は……まさか地母神・レミ神!? いや、この神託って、忠告されてるのか応援されてるのか分からないんだけど……。



ムキュウ?

(「ますたー どちたの?」)


(「いや、神様の声が聞こえた気がしたから…」)



食材と餌類の代金を支払い、タワシの発注もした。タワシはガルフ=トングさんを筆頭に(しょう)鍛冶師でタワシの生産に立候補した人達が懸命に生産しているとの事。そのうちタワシの実演指導で職校に出張してきそうだ。


調理の準備に取り掛かる。『紐屋』の生パスタを人数分追加発注する事にした。今回はホーク=エーツさんにお使いをお願いしましたよ。


今日のメンバーは、俺、ミケヲさん、パイクお義祖父さま、キャンパさん、ネロさん。アリサお姉ちゃんは手伝ってくれたお礼も兼ねて食事に参加してもらおう。ホーク=エーツさんは書記というか立ち会い人。とは言え一人だけ食抜きなのも酷なのでご一緒してもらおう。



「やっほー、ミーシャちゃん。おはよう」


「アリサお姉ちゃん、おはようございます。【川底小枝(ヤナガー)】の処理、助かります」


「お姉ちゃんの解体技術をとくと見たまえ」



めっちゃ綺麗に処理してるんだけど……。柳川鍋のお店に就職出来るレベル。ドジョウを捌き過ぎた為にスキルが生えたので、セミオートで捌いてるんだって。



「ボクも準備が出来たら野菜を刻みます」



カトリーヌには普通のリードを装着して壁際に繋いでおく。アンディーはその近くに居てもらう。



「ミーシャちゃん、豚さん飼ったの?」


「はい。昨日お迎えしました。カトリーヌと言います」


プープー


「カトリーヌちゃん、宜しくね」


プキッ


「ミーシャちゃん、野草で欲しいのが有ったら教えてね。採りにいってあげるよ」


「その時は誘って下さい」


「カトリーヌちゃんの能力に期待しちゃうな」


「そうですね。野外での虫除け効果も知りたいですし」


プキップー


ムキュウ


「そうだアリサお姉ちゃん、今日は三毛皇(みけおう)閣下とのお昼ご飯に同席して下さい」


「えっ、いいの?」


「仕事料です。後で冒険者ギルドに【川底小枝(ヤナガー)】解体依頼の書類を出しておきます。アリサお姉ちゃんへの指名依頼にしますね」


「わっ、嬉しい。そして指名依頼はとても嬉しい」



護衛任務は炭焼きでポイントを稼げるからいいけれど、指名依頼はポイントを稼ぐのに大変みたいだ。平和だからポイントを稼ぎ辛いのは仕方ないんだけど。ホーク=エーツさんが生パスタを持ってきてくれたので、大変申し訳ないのだが冒険者ギルドに指名依頼票の提出をお願いした。



「カーン兄が戻って来ていたら専属業務だよ、って押し付けられたんだけどね」


「ホーク=エーツさん、ごめんなさい」


「えっ、専属? ホーク=エーツさんってミーシャちゃん担当外れたの?」


「いや、カー義姉さんの鶴の一声でカーン兄がミーシャの専属商人にされちゃったよ。きっと今頃どこかの商業ギルドで辞令を受け取って泣いてるんじゃない?」


「凄いなミーシャちゃん、専任スタッフが二人も付いてるんだ」


「今日も三毛皇(みけおう)様との会合で何か新しい登録案件を出してきそうだからなぁ」


「あ……、多分出ます」


「それって、料理? それとも魔道具?」


「多分、魔道具です。もしかしたら普通の道具かもしれませんけど」


「普通って事は、数日内に試作品を持って国内を駆け回る可能性があるのか。カーン兄も可哀想に……」



その可哀想って単語、ちっとも哀れみの感じられない言い方だったんだけど……。

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