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第428話

購入代金を支払いカトリーヌは俺の家族になった。カトリーヌを連れて歩く時はスライムバッグに入れるかハーネスを着けて手持ちするか。普通に考えてリードを引いてのお散歩は無理だ。公園とかなら可能だけどね。


と言う訳で追加のスライムバッグを購入。養豚施設で売られている物には豚の絵が描かれていた。一目で【手持ち豚】を入れる用ってのが分かる仕様が良い。別にスライムと同梱させても問題ないそうだけど、それだったらアンディーと収まってもらった方が良い様な気がする。でもバッグごと盗まれたら困るのでアンディーは背中か。


だって、アンディー入りのスライムバッグ、知らないで盗んだら犯人がヤバイ事になるもん。金級の騎士様を盗んじゃったら……ねぇ。


だったらコカちゃん(仮)と一緒の方がいいか。まぁ、豚と鶏を一緒にした為に鳥インフルエンザが変異しましたって事は起きないと思うけど。とは言え、コカちゃん(仮)の殺菌効果(ウイルス石化効果か?)を信じるしかない訳だけど。



「ミーシャ、実際のところ何回目なんだ?」


「えっ? どういう意味ですか?」


「ほら、従魔の前で草を食べた回数だよ」


「魔獣の数で言ったら四回です」


「それで、ミーシャの手持ちの従魔の種類は?」


「【運魔(ウマ)】、【グライダー・カーバンクル】、【コカコッコ】が来週お迎え予定で、今【手持ち豚】が増えました」


「全部じゃねぇか」


「そうですね…。【魔増(マゾ)(そう)】だったら魔獣の種類を問わず仲良くなれると思いますけど」


「いや、そう言う訳じゃなくて…だ」



モヤッとした雰囲気のまま冒険者ギルドに向かった。


カトリーヌは正式に俺の従魔として登録された。時と場合によりレンタル依頼が来るみたいだけど、知らない相手に貸さないといった指定はできるので知人指定にしておいた。知らない相手に俺のカトリーヌは貸せない。出来れば知り合いにも貸したくないけど。


【手持ち豚】の寿命は概ね二十年。十五才になるぐらいまでに繁殖させて次世代に繋ぐのが一般的だ。そのうちお婿さんを貰う事になるのか……。


ジョー=エーツさんと別れて俺は職校へ。職校でもカトリーヌの登録をしておく。待機場所とか寮内への持ち込みの関係ね。



「差し支えなければ寮内の駆虫依頼をお願いしてもよいでしょうか?」


「駆虫ですか?」


「はい。一部屋あたり銀貨一枚のお支払いになります」



学生が月に銀貨二枚で学生寮に駆虫を依頼し、職校が銀貨一枚、【手持ち豚】が銀貨一枚を受け取る形になるのか。



「カトリーヌ、お仕事する?」


プー プー


「しなくてもいいよ」


………。



カトリーヌは短い尻尾をぴょこぴょこと振りながらYESと思しき反応を見せる。多分OKなんだろう。



「カトリーヌがいいみたいなので請けます。あまり沢山は回さないで下さい」


「休憩込みで一日に四部屋程度です。野外実習の時は連れて行くと防虫手当が出ますので忘れずに申請して下さい」



おお、働く従魔さん!! これはもしかして、ダニ担当はカトリーヌでヒル担当はコカちゃん(仮)になるとか?


まぁ、カトリーヌの稼ぎは全部餌に回してあげよう。



ムキュウ?  プー  二匹が何やら会話している。可愛いなぁ、見ているだけで癒される。何か大事な事を忘れていた様な……ドジョウだったか卵だったか……、あっ、ドジョウだ!! ドジョウを割くのをリンド=バーグさんにお願いするのを忘れていた。前回はガルフ=トングさんが割いてくれたんだったな。リンド=バーグさんも【蛇魚】割き包丁の試作時に少し割く練習をしたって言ってた。まぁ、解体ナイフで開きにすれば…って、俺には無理っぽいんだけど。アリサお姉ちゃんも怪しい。となるとリンド=バーグさんに頼むしかないよなぁ。ホーク=エーツさんが練習してくれないかなぁ? 他人を当てにせず俺自身で捌ける様になるのが一番なのか。


これは早目に依頼しに行った方がいいな。午後二時から砕石場の使用の申請を出しておき、今のうちにリンド=バーグさんに頭を下げてこよう。



…ってお願いに行ったら衝撃の事実が判明。アリサお姉ちゃんは何と、【蛇魚】の仲間食べたさにヒョロ長系の魚の解体技術を会得していました。ウナギ捌けるんだ、すげぇ……。一回コツを掴んだ後、そこから先は回数をこなしていたらスキルが生えたんだって。練習の関係上、ドジョウばかり捌いたせいで魚種毎にスキル精度の差がでちゃったそうだけど、それでも前世だったらウナギ職人さんが一年ぐらい修行したくらいのレベルで捌ける模様。



「その気になったらジャイアントイールも捌けるよ」


「それを捌くには専用の特大の裂き用包丁が要るぞ」


「リンドに発注しちゃおうか? 流石にサイズ的に(おお)鍛冶師の仕事でしょ?」


「頼まなくていいからな」


「残念。折角、夫婦包丁で名を上げて貰おうかと思ってたのに……」


「俺はイロモノ夫婦刃物職人じゃないんだぞ」



ヤバイ、リンド=バーグさんがイロモノ鍛冶師への道を歩み始めたぞ……。

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