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第414話

大豆に似た感じの豆を入手した嬉しさのあまり、お風呂の洗い場で転びかけた。髭を浮かせる魔法、髭散舞(ひげざんまい)なんてどうだろう? 多分この世界に蔓延る日本語っポイノリの怪しげな感じの名付けの諸々は上様基準な気がするからなぁ。とは言え、知られていない魔法を生み出そうとして、また魔力を大量消費して倒れるかもしれない。それだけは避けたいものだ。お風呂にアンディーは連れてこれないしね。 [ 髭魔法大全 ] とか [ 髭魔法の全て ] とかの書物は無いものか。



晩ご飯は【プラントオーク】のスペアリブの入った野菜スープだった。月の中間あたりにお肉が多目のメニューが出てくる模様。エールが進む。マヨトーストシリーズはやっと注文の混乱が収まったみたいだ。一週目は大混乱を通り越して殺伐とした雰囲気だった模様。今週はマヨトーストに出遅れた炭焼き実習参加組がガッついているかな。仕入れも大変だけど売り上げも凄いみたいでそれは何より。来月になったら街の食堂や酒場が騒がしくなるに違いない。


スペアリブ入り野菜スープにマヨトースト、そしてエール。うーん、堪んないなぁ。アンディーも一緒になって何も塗らないトーストとキャベツの芯を齧っている。そうだ、パイクお義祖父さまにアンディーの補助椅子を頼むんだった。


寝る前に【増筋(ぞうきん)豆】を十粒取りコップに入れ水に浸ける。発芽実験だ。こっちは机の上でいいかな。あ……これだとパイクお義祖父さまの家に泊まりに行かれないのでは? まぁ、十粒程度だから土器でコップを作って持ち運んでもいいのか。そもそも連泊したら折角復活させたモヤシの管理が出来ないな。





強化石の資料は一番詳しい物は錬金術ギルドと魔道具協会に置いてあり、次いで学園、簡易版が職校に置いてある事が分かった。俺が閲覧するなら学園の資料からチェックするのが良さそうかな? 来週、学園講師の出張講義で二の日に魔法学、三の日に魔導文様学、四の日に強化石の講義が開催される事が掲示板に貼り出されていた。


パイクお祖父さまの家に向かう前に学園に寄って強化石の資料の閲覧申請を出しておき、許可が出たら後で自習しにいこう。出張講義の前に予習しておきたい。


アリサお姉ちゃんには勉強してから研磨する旨を伝えなきゃな。研磨開始まではしっかりスケッチしてデータを記録しておかなきゃ。数も多いんだし。




「パイクお義祖父さま、おはようございます」


三毛皇(みけおう)閣下より下賜された紋章じゃが、何か説明があったのかのう?」


「はい。読んだら消える書簡が入っていまして、そちらには三毛皇(みけおう)閣下が前世で生活されていた異世界の都市で、猫に由来する道具を絵にしてみたと書いてありました。それで、とても便利な道具なので後日子細を伝えるので再現して欲しいとも書かれてありました」


「ほうほう、それはミーシャも随分と期待されておるのじゃな」


「緊張します」


「デザインや仕様だけ書き上げ、残りは職人に任せる訳じゃし、そこまで緊張しなくてもよいと思うのじゃが」


「でも、それは三毛皇(みけおう)閣下に献上する品なので」


「それもそうじゃな」



まぁ、仕様も構造も知ってますけどね。尤も魔道具仕様にするやり方は一切知らないけど。



「[ 土木作業用一輪車 俗称:ネコ車 ] という物と、 [ 猫をダメにする暖炉に果物を添えて 命名:ネコロノミカン ] という物だそうです。後で三毛皇(みけおう)閣下に詳細を伺います」


「土木用一輪車は仕様にもよるじゃろうが、ドワーフの間で人気が出そうじゃのう」


「はい、ボクもそう思います。パイクお義祖父さま、これって手押し車っぽいですよね。もしかしたら魔道具でない可能性もありませんか?」


三毛皇(みけおう)閣下は魔法の存在しない世界の出身じゃそうじゃし、そうかもしれんのう」


「腕力さえあれば誰でも使える道具でしょうか?」


「期待してしまうのう」



はい、それはただの手押し車です。むしろ魔道具にどう魔改造するか知りたいです。



「もう一つは暖炉とあるのじゃが」


「[ 猫をダメにする暖炉に果物を添えて 命名:ネコロノミカン ] ですね。この四角いテーブルみたいな物が暖炉なのかな? その上に果物を乗せてますし」


「 [ 猫 炉 の ミカン ] じゃろうか? ミカンと言う物が果物なのかのう?」


三毛皇(みけおう)閣下から詳しく聞いておきます」



勿論コタツも知ってるけどさぁ……。コタツで食べる蜜柑は美味しいよね。冷凍蜜柑も捨て難いけど、あ……冷凍って事はパイクお義祖父さまの秘匿魔法が関係してくるんじゃ。ミケヲさん、それも分かっててネタにしてきてるな。



「それはそうと、体調の方は大丈夫かのう?」


「はい。大丈夫です。来週、学園の講師が魔法学等の出張講義をしに来てくださるので、それで色々学んでから新しい魔法を取得していこうと思っています」


「無理は禁物じゃよ」


「はい。心掛けます」



本当は恐ろしい『汎用魔法』。あると便利というお気楽ワードに騙されてました。実は魔法ア・ラ・カルトだった事実。 魔力枯渇からの底上げが無い世界、基礎値を考慮しないのであれば最終的な魔力量は寿命の長い種族の方が有利に決まってる。となると古代エルフは魔力に限らず能力値の基礎値が高いんだろうなぁ……。

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