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第402話

「それではパイクお義祖父さまフィオナお義祖母さま、また泊まりに来ます」



朝食を済ませリンド=バーグさんの家へ向う。折角、強化石の原石を手にしていると言うのに手が出せないのは軽い拷問。俺にとっては【魔増(マゾ)(そう)】を口にするよりも拷問様です。




「それで、チーウもバールの様な物の魅力に取り憑かれたみたいで。常に私の物を貸すわけにもいかないからね。制作依頼を出すって言ってたからリンド宜しく」


「おはようございます」


「あ、ミーシャちゃんおはよう」


「お仕事のお話ですか?」


「そうそう。チーウがね、バールの様な物の制作依頼を出すって話をしてたよ」



あ、この前の対ミノタウロス戦闘術の練習の時に使ってたもんなぁ。得意な得物でなくても使えるってのは凄い事だと思う。



「ミーシャ、我が家には貸せる部屋が屋根裏か半地下の仮眠室しか無いんだがどうする?」



ここでも空き部屋は屋根裏or地下室なのかよ。半地下の仮眠室を見せてもらったけど、リンド=バーグさんが鍛冶の時に仮眠する部屋だった。まだ夫婦二人の生活なので部屋数が少なくても構わないのだとか。家族が増えたら増築するか、この家を作業場にして近所に家を借りるかする予定なんだな。



「それでこの家に拘りは無いんですか?」


「特には無いな。小ぢんまりしていて好きではあるが、家族が増えたら手狭な場所だ」


「普段は私も居なかったりするからね。家族が増えたら私は暫く仕事もお休みだ」


「その時はラルフロ=レーンの工房から遠い家を借りようじゃないか」



仲良さそうなのに何故か遠巻きにされるラルフロ=レーンさん。子供の教育に良くないとか言ってた。まぁ娘さんが生まれたら近付けたくはない気持ちは分かるけど。あそこにはカーン=エーツさんも入り浸るしな。



「そうだミーシャちゃん、【スキルオーブ】を使ってみない? 魔力不足で倒れて【魔増(マゾ)(ひずむ)ジュース】を飲んだ後にスキルの確認をするのはお約束なんだぞ」


「そうなんですか?」


「確かに確認した方がいい。何か覚えているか、覚えていなくても何かしらが生える兆候が見える」



そう言われたらチェックしないと。髭が浮かせられるかもしれない。



「そうだ、アリサお姉ちゃん達って髭をどうやって浮かせてます? ボク、まだ浮かないんです」


「えっ? 私は『髭段借(ひげだんしゃく)』だよ」


「俺は『髭箪笥(ひげだんす)』だ」



何そのギャグっぽい名前のスキル。どちらも空間に仮のスペースを作ってそこに髭を収めて浮かせる魔法で、つまり時空魔法。名前の響きと違ってかなり高度な髭魔法だった。



「風魔法が使えるなら『髭反離(ひげそり)』なんかは簡単に覚えられるんだけどなぁ」


「何故そんなに種類が多いんですか?」


「私もよく分からない。学園だと何か知ってるかもしれないけどね。何か一つ覚えられたらいい訳だから便利だとは思うけど」



謎が謎を呼ぶ髭魔法。エルフはエルフで森の中で髪が纏まる魔法とか木のある方向が分かるスキルとかが複数あるそうな。後はヴィーゼ・ラウファーという子供のような姿の亜人種がいる。それは草原をちょこまかと走り回っている系ね。ドワーフを更に小さくした様に見える種族だ。灰色の魔法使いを知っていたり指輪を持っていたりはしていないと思う。そのヴィーゼ・ラウファーは瞬発力に関するスキルや魔法を複数持ちだ。ちなみにスキルで種族名を逆翻訳したら “ 草むらを駆け抜ける者 ” と出た。



髭魔法取得に関するヒントは空間に棚を作る、そしてそこに髭を乗せる。空間に棚を作って髭を乗せるだけの簡単な魔法です……ってか? いや、それってどう考えても簡単じゃないだろ。



髭魔法は一旦置いておいて【スキルオーブ】を使うことにした。わくわくドキドキ。何か生えてないかな……『エアダスター』とか『鉄分除去』とか『カビ除去』とか『鉱石鑑定』とか『無礼(ぶれい)コール』とか。いくらなんでもラジオ体操の知識とかが生えてたら怒るぞ。


【時空魔法】

猫車魔(ねこぐるま)


【汎用魔法】

『カビ感知(微)』

『鉄???』


【???】

『???』


☆その他スキル☆

『動物王国 1(自),5(+1)/6256』

無礼(ぶれい)コール(基)』

猫騙魂(ねこだましい)



増えてる。何が出現するか謎の表示もある。


取り敢えず『無礼(ぶれい)コール』は生えたらしい。多分、アンディーやアルチュールさんを見まくったからだ。そして猫関連が二つ。パイクお義祖父さまに聞いたら分かるだろう。そして動物王国が本人分が追加なのかよ。


それでですよ、『鉄???』って何!? 鉄ちゃん? 鉄仮面? 鉄板焼? 鉄の爪? 鉄観音茶? それとも……鉄コの部屋? 岩塩関係で発生したのだろうけど、また試して【魔増(マゾ)(ひずむ)ジュース】のお世話になって皆を心配させるのは避けたい。


いや待って、『猫車魔(ねこぐるま)』って時空魔法だ。これからどうにかして次元収納に繋げられない?



「あの……、結構スキルも魔法も増えたんですけど、魔力枯渇で倒れたのとは直接関係ないみたいです」


「そうなの?」


「それとボク、訳あって従名誉猫獣人になっちゃって、その効果で黒猫印の転送陣を使っても転送酔いしない様になりました」


「マジか…、それって羨ましいかも」


「多分、カーン=エーツに狡い狡いと愚痴られて絡まれる」


「え〜〜」



気になったのでパイクお義祖父さまに猫スキルの事を聞きに行ったら、『猫車魔(ねこぐるま)』は転送酔いしなくなるスキルだと言われた。本来は転送陣を使う為の時空魔法なのだけど、俺もパイクお義祖父さまも生粋の猫獣人ではないので副次効果だけ発動するのだという。時空魔法なのに本人がその魔法を発動させられない為にスキル状態で転送酔いしない効果だけがパッシブで残る特異な現象だったよ。時空魔法って出たから期待したのに……。


猫騙魂(ねこだましい)』は偽の猫獣人って事なんだとか。

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