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第401話

ミケヲさんへの “ オ・モ・テ・ナ・シ ” は大成功。本来なら宴会が修了した時点で俺はお役目御免で解放される予定だったのだが、ミケヲさんの要望で談話の時間が設けられることになった。因みに、ミケヲさんとネロさん、キャンパさんはセキュリティの関係で商業ギルドに宿泊する。そしてホーク=エーツさんが追加メンバーとして呼ばれた。多分イカさんウインナーのせいだな。



「ホーク=エーツです。記録係として同席いたします」


「遅くにすまないね」


「俺は専任ですので、念の為残っていましたから。まさか本当に呼ばれるとは思いませんでしたが」


「専任?」


「はい。俺はミーシャ=ニイトラックバーグの専任なので」


「先ずはミーシャ=ニイトラックバーグは本日をもって従名誉猫獣人の称号を名乗る事になった。記載しておく様に」


「はい、従名誉猫獣人……って!?」


「吾輩が先程な」


「それと、新規登録だ。先ずはこれを見て欲しい」



そう言いながら商業ギルド支部長さんが小さなポーチからイカさんウインナーを取り出した。まさか一つ隠していたとは…。



「支部長、これ…はイカですか? それにしてはソーセージ臭がしますが」


「これはウインナーの飾り切りだ。冒険者ウケしそうな形状だ」


「あ……、そう言う事ですか」


「ホーク=エーツ書記官は反応が薄いのだな」


「僭越ながら三毛皇(みけおう)様、俺はミーシャ=ニイトラックバーグの専任であって書記官ではありません」


「それは失礼した。あまりに淡々としているので吾輩、凄腕の書記官かと思った次第だ」


「それは、もう慣れましたので。この程度で慌てていたらミーシャ=ニイトラックバーグの専任は務まりません」



尤もらしい答弁に 「ぷっ…」 と、小さく押し殺した笑い声がどこからともなく聞こえてきた。誰だよ、失礼な。普段だったらカーン=エーツさんが犯人な事が多いのだけど、今ここにいないので犯人は多分ミケヲさんだ。



「それはそうと、ボクは三毛皇(みけおう)様にお伺いしたい事があります。今後ボクは三毛皇(みけおう)様とお呼びすべきなのか、パイクお義祖父さまと同じ様に三毛皇(みけおう)閣下とお呼びすべきなのかお教えください」


「それはミーシャ=ニイトラックバーグの好きな呼び名で構わぬぞ。それこそミケヲさんでもミケちゃんでも」


「ご冗談を」


「ミーシャよ、儂が三毛皇(みけおう)閣下を閣下呼びし始めたのはじゃな、そもそもが儂の趣味じゃからな」


「えっ!? パイクお義祖父さま、それは本当ですか?」


「本当じゃよ」


「なので吾輩、どう呼ばれても構わぬな」


「パイク=ラックが三毛皇(みけおう)様の事を閣下とお呼びしているのだから、名誉猫獣人ならびに従名誉猫獣人は三毛皇(みけおう)様の事を閣下と呼びかけると言うことにしてみてはどうだろう?」


「商業ギルド支部長、その理由は?」


「理由も何も、三毛皇(みけおう)様より賜った称号持ちは、三毛皇(みけおう)様の事を閣下と呼び掛けるという決まり事を今作り上げただけでございます」


「それは名案じゃな。そもそも儂とミーシャしか居らぬ訳じゃしのう」



と言う訳で、俺がミケヲさんへ呼び掛ける時の呼称は閣下に決定された。程よい特別感を醸し出すので他種族にもアピール出来るんだな。



「それよりミーシャ=ニイトラックバーグ、吾輩には前世の記憶があるという話は聞いていたかな?」


「風の噂では聞いたことがあります」


「その吾輩の前世の記憶の中にだ、リモンチェッロという酒が有るのだよ。レモンと言う柑橘類、『ハポン=ヤポン』では【リモー】と呼ばれている果実に似た実なのだが、それで作られた酒、吾輩はそれが飲みたくてね。瓜二つとまではいかなくていい、似たものを作っては貰えぬかね?」


三毛皇(みけおう)閣下、ボクがですか?」


「【渓流(いわし)】のヒレ酒、冷やしエール、【血祭り(ブラッディ・フェスタ)】等を提案したそうではないか。何かヒントが浮かんだら吾輩に教えて欲しい」


「分かりました。前向きに検討します」


「【リモー】風味で甘かったという記憶がある」


三毛皇(みけおう)閣下、情報ありがとうございます」


「うむ、慌てなくて構わぬぞ」



…って、いきなりリモンチェッロを強請るのかよ。確かレモンの皮のエキスの移ったリキュールだったハズ。



「甘いお酒でしたか」


「そのままではキツかったので、水や炭酸水(トニック)で割って飲んだものだ。氷菓、凍らせた牛乳に掛けたりもしたな」



バニラアイスのリモンチェッロ掛けか!! それは俺も食いたい。



三毛皇(みけおう)様、炭酸水(トニック)と言うのは?」


「弾ける水だ」


「新しい酒はドワーフとしては是非とも飲んでみたいものですな」


「甘い酒と言う事ですとヒト族を中心に販路も有りそうですね」



ホーク=エーツさんが興味津々って表情をしているけど、それは結構キツイお酒だから飲んじゃ駄目です。飲みやすく薄めたとしても最終的に量を飲んでしまいポンコツになる姿が見えます。


あ、甘いお酒って事ならアルチュールさんのお嫁さんにいいかもしれない。薄めて飲めば醤油入れ一本分でもかなり楽しめるだろうしな。



「後でスキルを確認してみて欲しい。多分、猫獣人関連の物が増えているはずだ」



楽しみでもあり不安でもあり。


結局、今夜も屋根裏部屋で寝る事にした。まぁ地下室を試す時間来なかったからではあるが。カビとか湿度の問題が無ければ地下室でもいいんだよ。多分、ドワーフ的には薄暗さが落ち着く空間だと思うし。明日はリンド=バーグさんの家に泊まる日だよ。

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