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第389話

パイクお義祖父さまの家に向う前に冒険者ギルドに寄ることにした。アリサお姉ちゃんが 「 【魔増(マゾ)(そう)】 が欲しいの? それなら冒険者ギルドでも売ってるよ」 と教えてくれたのだ。職校に置いてあるのは生徒や講師、職員の救護用なので売ってはもらえなかった。


冒険者ギルドに行ったら支部長さんが出てきた。アンディーに用があるとの事。何とアンディー、俺を助けたことにより従魔の登録ランクが上がっていました。従魔証が金色の物に変更です!!


従魔証は最初は等しく(スチール)級から始まり、主人と長年連れ添ったり手助けするうちに青銅(ブロンズ)級、(シルバー)級とランクアップしていくのだ。どんな従魔でも主人と仲良くやっていれば(シルバー)級には必ずなれる。主人の生命を助ければ(ゴールド)級、戦闘能力が著しく高く戦闘で主人を多大に補佐していれば白閃鉱(オリハルコン)級や金剛鉱(アダマンタイト)級に昇格する。回復系で数多の人々を助けていたら輝銀(ミスリル)級に昇格だ。


と言う訳で、アンディーは(ゴールド)級に昇格していた。特典は野草クッキーや干し肉と言った従魔用オヤツの配給制限が撤廃され、従魔の入店制限や入室制限が大幅に緩和されるのだ。後、『無礼(ぶれい)コール』で従魔の名前を確認した時に(ゴールド)級以上だと、それも表示されるんだって。



ムキュウ ムキュウ

(「まぞのくさ まぞのくさ」)


「すみません、【魔増(マゾ)(そう)】 を売ってください」


「了解いたしました。一束、銀貨二枚になります」



これ、安いのか高いのか分からない。受付嬢から【魔増(マゾ)(そう)】 を受け取りアンディーに手渡すとモグモグムシャムシャと食べ始めた。さすが従魔大好き野草クッキーの成分だけはある。



ムキュウ

(「ますたー あげるの」)


「これ、ボクにくれるの? ありがとうね」


キュウキュウ

(「ますたー たべよ」)


「ボクも食べていいの?」


ムキュウ!!

(「おいちいの」)



冒険者ギルドの受付嬢が、あらあら困ったわね…な表情をしながら苦笑いを浮かべているし。普通は食わないよね。


でも野草クッキーも【魔増(マゾ)(ひずむ)ジュース】も普通にイケたからなあ。多分平気でしょ。チョットだけ生葉の味にも興味があったので食べてみる事にした。口にすると苦い様な甘い様な、生の茶葉ってこんな感じ? な食味だった。これって普通にイケるんじゃない? ……と思ったら後から独特の苦味と青臭さが襲ってきた。【魔増(マゾ)(そう)】、恐ろしい子!!



「アンディーさんからのプレゼントを召し上がるなんて、偉いご主人様ですね」


「あ、まぁ、食べられますよ。後からくる苦味もアクセントと言うか、野趣溢れると言うか……」


「無理はなさらずに」


「そうですか?」



あ、いかん。冒険者ギルドの受付嬢さんがドン引きしてるぞ。そしてこのシチュエーションって何回目だ?




アリサお姉ちゃんとは冒険者ギルドで分かれ、フィオナお祖母さまと一緒にパイクお祖父さまの待つ家に向かった。家に入ったらめちゃくちゃ心配されてしまった訳で。非常に申し訳ない。



「ミーシャ、体調は大丈夫かのう?」


「はい。パイクお義祖父さま、ご心配をおかけしました」


ムキュウムキュウ

(「まぞのくさ のんだの げんき なったの」)


「おお、アンディーが大手柄じゃったそうじゃな」


「はい。アンディーのお陰で軽傷で済みました」


「アンディーちゃんは(ゴールド)級に昇格してましたわ」


「おお、それは騎士格なのじゃよ。命掛けで主人を守った従魔に与えられるんじゃ」


ムキュウ キュ?

(「あたち すごい?」)


「あ、それで立ち入り制限が緩和されるんですね」


「そうじゃよ」



アンディー、知らないうちに俺より冒険者としてのランクが上になってました。(ゴールド)級の従魔はそう沢山いないのだとか。そして騎士を主人から引き離すのはナンセンスと言う事もあって、(ゴールド)級の従魔は主人から取り上げられたりしなくなるのだという。これでアンディーが金や権力に物を言わせて略奪されなくなったという事だな。物理的な誘拐はその限りではないのだろうけど。



今日は『紐屋』の生パスタを使って刻み野菜たっぷりのスープパスタにするんだって。後、アッシュちゃんがピーマンの肉詰めを作ってくれるらしい。そう言えばアッシュちゃんが登録したオブラートこと食べられる紙は利用研究が始まった模様。


倒れたとはいえお風呂には入りたかったのだけど、心配させるのもなんなので今日はスキルで……あ、それだと魔力消費しちゃうのか。お風呂は諦めるしかないか。寝る直前にサッと『浄化』だけでも……。



「ミーシャねぇね、倒れたと聞きました。大丈夫ですか? 痛いところはないですか?」


「アッシュちゃん、ボクは大丈夫だよ。【魔増(マゾ)(ひずむ)ジュース】も飲んだしね」


「アッシュよ、ミーシャはじゃな急激に魔力消費をしてしまってのう、それで倒れてしまったのじゃよ。アッシュも気を付けるのじゃよ」


「皆通る道ですわよ」


「そうなんですね。ボクがやらかしただけかと思ってました」


「私もよく倒れたものですわ」


「ばぁばもですか?」


「そうですわよ。倒れるたびに飲まされる【魔増(マゾ)(ひずむ)ジュース】が苦痛でしたわ」


「あれを飲まぬ為に魔力消費の調整を覚えたものじゃな」



えっ…、アレって魔力が回復するから喜んで飲む物じゃなかったんだ……。ヤバいぞ俺、アレのおかわりを要求してしまった。



「 “ 淑女(レディ)の日 ” との兼ね合いもありますからね。アッシュにもそろそろお話しする時期かしらね」


「 “ 淑女(レディ)の日 ” は少しだけ母様から教わりました」


「魔力欠乏の昏倒は親が子に無理やり体験させるものではないしのう…」


「倒れるも何も良い事がないですものね。総魔力量は普通に魔力を使って日々を過ごしていた方が確実に増えますもの」



それってマジか!? よくある魔力切れが総魔力量の底上げをするとかじゃないんだ。地味で地道な利用が正解ってノリが筋トレみたいだな。そういえばパイクお義祖父さまはエールを冷やしすぎて総魔力量が増えたって言ってたし。じゃあ、総魔力量を増やそうと企んで魔力切れからの【魔増(マゾ)(ひずむ)】プレイはガチでマジのドMさんだぞ。危なかったわ。俺さぁ……マジで【魔増(マゾ)(ひずむ)】プレイをやろうとしてましたよ。

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