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第384話

なし崩し的にハーレー=ポーターさんの研究室に入るのがフリーパスになってしまった。俺が魔道具や魔導回路や魔法陣に詳しくないからこんな感じで終わったけど、もし語りあえるだけの知識が俺にあればめっちゃ盛り上がるんだろうなぁと思ったよ。


ハーレー=ポーターさんにはまだまだ質問してみたい事が沢山あるけど、深入りは禁物な気がするので今日はこの辺りで勘弁しといてやる。あの人は俺が転生者だとかは特に関係なく単純に楽しみたくて前世由来の魔道具開発に協力してくれそうではあるが。その為にも魔道具開発の権威になってもらわないとな。製作したら権威認定されそうな魔道具向けの家電を探してみよう。俺的には隠れ蓑大作戦です。



今日はもうやる事が無い。とはいえまだ夕飯の時間には早いので、冒険者ギルドにアンディーを連れていってオヤツを食べさせようかなぁ…と。玄関ロビーの学生向けの掲示板に



[ スワロー地区長より『スワロー』土木工事のお知らせがあります。今冬より大規模開発が始まります。土木、建築、農業等、土地開発やインフラに関係する項目を専攻している学生さんは是非ともご参加下さい ]


[『スワロー』大規模開発事業は普段学んだ事をいかんなく発揮出来る恰好の場になります。是非とも実践の場として活用して下さい。 校長]



と貼り出されていた。俺の家・建築計画って事ですな。授業中に現場で実地作業が出来るって事は、学生は実際の作業が体験出来、現場は作業員数が見込めるって事だよな。賃金も見習いだからってピンハネされないだろうし。興味はあるけど俺が役に立ちそうな現場は無さそうです。せいぜい土魔法で地均しをするぐらいだよ。



事務員さんに「帰りに庇護養親宅に顔を出して下さい」と伝言された。庇護養親だからパイクお義祖父さまの方だな。何か緊急事態でも起きたのか?


アンディーを連れてパイクお義祖父さま家に向かう。野草クッキーは明日までお預けだな。まぁ、量を買って餌用マジックバッグに入れておけばいい話なんだけどね。



「パイクお義祖父さま、ミーシャです」


「おお、ミーシャか。実は三毛皇(みけおう)閣下からの手紙にじゃな、ミーシャに会ってみたいと書いてあったのじゃよ」


「えっ!?」


「贈り物の数々にいたく感動したらしくてのう、ミーシャに直接会って礼がしたいとのことじゃ」



それ、単に異世界談議がしたいだけだと思うんだけど…。異世界談議というか同窓会的な感じかな?



「ええと……、パイクお義祖父さまボクはどうすればいいのでしょうか?」


「ミーシャが嫌でなければ会ってさしあげればよいのではないかのう?」


「嫌ではないですけれど、ボクが偉い方に会うのは緊張します」


三毛皇(みけおう)閣下は今でこそ猫の人のトップなのじゃが、とても朗らかで気さくなお方なのじゃよ。猫の人達は元から皆庶民じゃからのう。お偉方も同胞を取りまとめる為、仕方なく役職に付いているだけなのじゃよ」


「そうなんですね」


「虎の人や獅子の人、狼の人なんかには王族がいるのじゃよ」


「でもボクは学生ですし、三毛皇(みけおう)様の領地にお伺いするにしても時間が取れるかどうか…」



出来れば上手く誤魔化したい。まぁ、いつまでも逃げてはいられないのは分かっているけど。



「それなら気にしなくてもよいそうじゃ。ミーシャが良ければ直々に出向かれるそうじゃ」


「え……、いいんですか?」


「猫の人は移動術に長けているからのう。三毛皇(みけおう)閣下は黒猫族じゃから簡単に移動されるじゃろうし」



えっ!? 三毛皇(みけおう)さんって三毛猫じゃないの??? 黒猫なのに三毛皇(みけおう)を名乗るのって詐欺じゃないの!?



「こちらに来られるとして、セキュリティ的には問題ないんですか?」


「謁見の場は商業ギルドか冒険者ギルド錬金術ギルドを使えば問題ないじゃろう。それに暴漢に襲われても黒猫族ならサッと逃げるじゃろうしのう」



俺のセキュリティはザルですか、そうですか。商業ギルドは登録に関する機密も扱うから情報の秘匿的には問題なく、冒険者ギルドは荒事に対応可、錬金術ギルドも機密の塊だろうから何れのギルド施設を選んでもセキュリティ的には大丈夫なのか。



「そうじゃ、ミーシャ宛にも手紙がきておったのじゃ」


「ありがとうございます」


気になる手紙の内容は、



「 外遊スタイル三択問題


壱:縮緬問屋のご隠居

弐:旗本の三男坊

参:遊び人


どれにしましょうかね? by.ミケヲ」



と日本語で書いてあった。う〜ん、前世の時代劇の三大お忍びスタイルだよ。三毛皇(みけおう)さん、これって絶対面白がってやってるよね? 



「 肆:変身魔法少女でお願いします


by.ミーシャ=ニイトラックバーグ 」



こう返してみるか。さて、どうなる!?



パイクお義祖父さまの意見では、猫の人は【黒猫印の配送便】の関係で商業ギルドとは何かしらの行き来があるので会談の場は商業ギルドが良いのではないかとの事だった。パイクお義祖父さまは三毛皇みけおうさんとは何度も会われているそうなので、その点では若干ではあるが不安は拭われるな。緊張するのは偉い人に会うからではなく前世が日本人に会うからだよ。三毛皇みけおうさん調べだと現在存在している日本人転生者は俺と三毛皇(みけおう)さんの二人だけみたいだし。


どの時代に現役だったんだろう? 昭和? 平成? まさか明治ではないよね、少なくとも平成は知ってそうな感じだ。


気は重いけど仕方ないか。三毛皇(みけおう)さんが転生者バレしてるんなら俺の発案品の隠れ蓑として利用させてもらおうかな。異世界の話からヒントを貰ったので形にしてみました的な扱いにするよ。それをハーレー=ポーターさんに丸投げすれば万事OKと言うものよ。

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