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第368話

集塵の魔道具、買ってもらえなかったよ。逆に買われても困るんだけどね。あの魔道具、ジャミ禁って呼ぶんだな。


よくよく考えたらロクに休んでいない事に気付いた。入校してから…ではなく、この世界に転生してからほぼ無休だ。転生先が楽しくて休んでいないからだけど認識したらドッと疲れが回ってきた気がする。そうか…俺、ブラック転生だったのか。悔い改めよう。



ムキュウ?



そう、無休。



(「ますたー だいじょぶ?」)


(「大丈夫だよ。ボク、ずっと動き回ってたから、たまにはお休みを取らなきゃ…って」)


(「ごはん あそぶの ねるの  げんきげんき」)


(「そうだね」)




たまには甘い物でも舐めるか。帰りがけに【初ね、蜜】というハチミツ専門の店に寄ることにした。蜜蜜にしてやんよ、って事ですか? ここの名物は巣蜜。紅茶を飲みながら巣蜜を噛るというか舐めるというか、ハチミツのそういった楽しみ方が出来るお店だ。勿論、ハチミツも売っているし蜜蝋も売っている。蜂の子も売っているけど食用なのか餌用なのか……。人気のメニューは黒パンにチーズを乗せてハチミツを垂らしたもの、それに赤ワインを合わせる。幼ドワーフや御婦人方に人気があるのがヨーグルトにハチミツを垂らしたもの。これは白ワインと合うのでデートの時の定番メニューだ。俺はパンにハチミツを垂らしたものを一・二時間放置してハチミツがジャリジャリになったものを食べるのが好きです。それに合わせるのは勿論牛乳ですよ。



巣蜜を頼み、飲み物は紅茶と水を注文。アンディーとデートです。仲良く巣蜜を噛りながら俺は紅茶、アンディーには水ね。



ムキュウムキュウムキュウ

(「ますたー あまいの!!」)


「アンディー、美味しいね」


キュウキュウ



もしかして、野草クッキーにハチミツ付けても美味いんじゃないのかな?




リンド=バーグさんの家に顔出ししていこう。オロール先生がもう少ししたら戻って来る話もしておかないとね。オロール先生が戻ってきたら三人でトマホーク会議をするのだろう。



「ミーシャ、久し振りだな。明日の夜は忙しいか?」


「リンド=バーグさん、こんにちは。明日の夜は特に用事はないですね」


「明日、アリサが帰ってくるからな。三人で飯でもどうだ?」


「あ、炭焼き実習の護衛任務ですもんね。そうだ、明日が初回の窯開け日です」


「アリサも(ここ)に時々は顔出しはしてたんだがな。護衛任務中は自宅で寝泊まりする訳にいかないから俺は男やもめ状態だったな」



とは言うものの、(おお)鍛冶師は作業を始めたら十日程度は作業以外は手抜き生活になるものなので、アリサお姉ちゃんが不在でも特に困るわけでもない模様。



「ボクも明日は窯開けに参加して、ラルフロ=レーンさんに研磨した裸石(ルース)を納品したらフリーです」


「なら打ち上げだな」


「はい!!」


「店はどこにするか…」


「出来ればアンディーも入れるお店があれば嬉しいんですが」


「冒険者御用達の店にするか。【野生生活(ワイルドライフ)】なら従魔も席に着ける」


「アンディー、よかったね」


ムキュッ


「それで、オロール先生から手紙が届いたんですけど、少しだけラパンの為の用事を済ませて、それから戻ると書いてありました」


「オロール女史が戻ったらトマホークの相談だな」


「ボク、全然作業が進んでないんですけどね」


「まぁ、女史が旅に出てからまだ二週間程だ」



そうだ、リンド=バーグさんに集塵の魔道具について聞いてみよう。



「リンド=バーグさん、集塵の魔道具って値段を知ってます?」


「アレか? 職校に置いてある魔道具で、『砂嵐(ジャミジャミ)』を打ち込んだら弁償させられるやつ」


「はい、それです。ボク、あれが欲しいなぁ…って思いまして」


「あれはサイズと仕様にもよるが、金貨三百枚から買えるな。高いものは金貨七百枚くらいだ。職校の採石場のは大体金貨五百枚だ」



高っっ!! 想像してた通りだけどやっぱりいいお値段がするんだ。



「今日、ラルフロ=レーンさんが冗談半分で 「デートしてくれたら工具でも魔道具でも買ってやるぞ」 と言ってきたので、ボクは集塵の魔道具が欲しいですって答えたんです。そうしたらジャミ禁はゴメンナサイと謝られました」


「あー、成る程な。ジャミ禁とか懐かしいな。ジャミ禁はラルフロ=レーンのトラウマだから…」


「そうなんですか? ラルフロ=レーンさん、まさか……」


「そのまさかだ。あいつ、職校の集塵の魔道具に冗談半分で『砂嵐(ジャミジャミ)』を打ち込んで壊したからな。勿論、弁償させられた。注意書きが無かったから減免されたが、それでも確か金貨四百枚は支払ったハズだ。それ以降あの魔道具には『砂嵐(ジャミジャミ)』を打たない様に注意書きが着いたんだ」


「そうだったんですね。あの集塵の魔道具って個人所有出来ますか?」


「金さえあれば問題ないぞ。特に個人所有が禁止されている魔道具でもないからな。…ってミーシャはあれを買うつもりなのか!?」


「はい。将来的には所有したいと思っています」


「そうか………、頑張れよ」



えっ!? 集塵の魔道具って個人所有すること自体がレアなの!? なら頑張って買うことにしよう。だってほら、家に置いておくとラルフロ=レーンさん避けになりそうだし。

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