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第366話

ホウロウ容器を二つ買っても金貨一枚にならなかった。まぁ口座から引き落とされてるからお財布の中身はどれくらい残っているのか全く分からないんだけどね。多分、勝手に増えてるだろうし。ラルフロ=レーンさんとかの依頼や魔導刺繍の手習いポーチの納品で小銭を貯めて普段使いの消耗品代やエール代に回せば毎月振り込まれる登録関係の権利金は目減りしないハズ。不労所得で家を買う資金や集塵の魔道具代を工面できればいい。いつになるかイマイチ分からないんだけどねぇ…。家には【プルモニア】の枝を植えて集塵の魔道具を置いて風呂を設置する。最低これだけは譲れない。出来れば(うまや)も。こんな事なら前世で南部曲り家を見に行っていればよかった。岩手旅行の記憶は盛岡市で椀子そばを食べた事くらいしか覚えていないんだよなぁ…。



商業ギルド支部長さんにもオロール先生から手紙が届いていた。内容はほぼ変わらず…だけど古代エルフ語の文面は無かった。業務上では真面目なんだな。やはりあの古代エルフ語の文面は悪戯…いや “ けやぐ ” つまりはトモダチ宛だった訳か。特大【つゆ豆】、つまり特大【粗相豆】の輸入に関する書面に条件や金額が書かれていたそうで、そこまで高額ではなかったので輸出の契約を結ぶ事になる模様。ただ、限定的という事で『スワロー』と『ブルー=フォレスト』領の北の都市『ランドバック』との間でのみ有効の契約が結ばれる運びとなった。


『ブルー=フォレスト』領の現在の長、ケヴィン=リュヌ=エル=マチュの出身地が『ランドバック』。別名 “ トマホーク・ペニンシュラ ” と呼ばれるトマホーク型のエリアの中心都市だ。補佐役のダミアン=アナナス=ビゴは領都『ブルーフォレスト』出身。今回の【つゆ豆】輸入に関してはこの二名が協力してくれる。西側エリアの『ゴールドウッド』には重鎮オーケイ= レッツ=ゴーンがいるのだがトップ二人とは違い融通が利かない頑固者で、その事もあってケヴィン=リュヌ=エル=マチュとの間で契約が結ばれた。


オロール先生曰く、「オレでも『ゴールドウッド』の古代エルフとだば喋られね…」つまり古代エルフ同士なのに言葉が通じないそうで。古代エルフ語の中でも特に難解な言語があるなんて……。俺のスキルは仕事をしてくれるのかが気になる。オロール先生は『フラットインサイド』出身なので『ブルーフォレスト』の東西の言葉が混じっているんだって。『ブルーフォレスト』内でもバイリンガル扱い。ちなみに『ブルーフォレスト』の原語は大まかに西エリア、東エリア、北エリアの三つがあり、東エリアと北エリアは割りと似た言葉らしい。なので、オロール先生は『ブルーフォレスト』内では全域で何となく言葉が通じる。そして【ホヤッキー】の一大産地。でも浜辺っ子ではなく『ナイトオーバーマウンテン』という山岳地帯の出身だった。でも【ホヤッキー】推しなんだな。




それはそうと、さっき冒険者ギルドからでてくる時の話なんだけど、こんな事があったよ。



ムキュウムキュウ

(「ぶぶさん ばいばいなの」)


プーウー



急にアンディーの鳴き声がしたかと思ったらそれに応えて手持ち豚さんも鳴き返してきた。アンディーは手を振り、豚さんは口から輪っかの煙を一つ出す。癒やされる。この可愛いさは見ていて癒やされる。家を買ったら【手持ち豚】を従魔としてお迎えしたい。



「アンディーさんはお行儀がいいのね。はい、野草クッキーをどうぞ」


ムキュウ キュウ

(「ありがとなの」)


「ありがとう、って言ってますよ」


「あら、どういたしまして」


ムキュウ

(「ますたー あげるの」)


「えっ、ボクに分けてくれるの?」



アンディーが受け取った野草クッキーを二つ割りして半分を俺に渡してきた。すかさず鑑定したら


(鑑定)

【野草クッキー】:様々な野草、雑草を刻んで圧縮乾燥させた従魔用おやつクッキー。ヒト族や亜人族が食べても問題はないが青臭い。魔力を回復させる効果のある薬草【魔増(マゾ)(そう)】が含まれているので食べると若干魔力が回復する。


と出た。うん、食えるな。



「アンディーありがとう。一緒に食べよう」


キュウ 



俺はアンディーから手渡された野草クッキーを口にする。奥歯で噛み砕き、ゆっくり咀嚼すると口内に独特の青臭さと何とも言えない苦味が広がる。これ、何処かで口にした事があるぞ……。んん〜……アレだ。前世の青汁のCMじゃないけど「不味〜い、もう一枚!!」ってコメントしたくなる味だ。でもこれ、お洒落なカフェで目を閉じて食べたら抹茶クッキー、いやドライベジタブルの抹茶掛けになるかもしれない。意識高い系女子なら喜びそうだ。ちょっと男子〜、クッキー残さないで!!


そして俺がクッキーを食べているのを見た冒険者ギルドの受付のお姉さんがドン引きしているぞ。



「平気ですか?」


「え…、まぁ、はい。少し独特ですが。そうだお姉さん、お金を払うのでさっきアンディーと遊んでくれた三頭にこの野草クッキーをあげてください」


「クッキー一枚が銅貨一枚です」


「ボクとアンディーの分も込みで、一頭に二枚ずつ渡してください」



キュルキュル

プープー

アーアー

ムキュウ



「皆がアンディーと遊んでくれたお礼だよ」


(「みんな ますたーに ありがと いってるの」)



全員でポリポリと野草クッキーを食べたけど、受付のお姉さんが言うにはテイマーでもそのクッキーはそうそう食べないとの事。


そしてなんとなく魔力が回復した気がした。

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