表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/447

第35話

今回もジョー=エーツ視点の話です

「ジョー=エーツよ、ミーシャのいない今がチャンスだ。ミーシャの将来を後押しする為に会議をしようではないか」



マリイン=リッジがジョッキを片手にそう切り出してきた。



「あの()は可能性の塊だ。今や農作物を与えたらどう改造するのか気になって仕方がない。我らドワーフの食事情をどこまで改善してくれるのか。物によっては他種族向けの輸出品になるやもしれぬし…」



(しょう)鍛冶師としてもミーシャより溢れ出る道具のアイディアを無駄にしたくない。この先二百年、どこまで新しい道具を生み出すのかが気になって、死ぬに死ねなくなるではないか」



この中ではガルフ=トングが一番ミーシャに驚かされてるハズだ。それこそ、ここ半月で何個の新作道具を作り上げたかだ。ガルフ=トングに言わせれば既存の道具や考え方をアレンジした物になるそうだが、それでも二百歳近い鍛冶師が知らない気付かない技術や発想なのだからな。まだ数点、ミーシャのくれたヒント由来の道具を試作中なのだという。



「俺は久々に(しょう)鍛冶師に嫉妬したな」



苦笑いしながらそう語るリンド=バーグ。そりゃそうだろう、あれだけ新発想の台所用刃物を作るところを目の当たりにしたんだから。



「ファイン=ロックはどうだ?何か気になる点はあったのか?」



「そうだな。土魔法『土器』の使い方が凄いな。あれは本来、簡単に使い捨てする食器を作るだけの魔法のハズなんだがな。建築や採掘をさせてみたら、きっと面白いことをやってくれるに違いない」




それは俺も思う。それこそ『エイドパス鉱山』で採掘させてみたい。



「そしてパイク=ラックの意見は……」



「久々に同族(ドワーフ)に秘匿魔法で殺されかけたわ!!お前らもお前らじゃ、いい歳したドワーフが大騒ぎじゃと……」



パイク=ラック、それは酒が絡むんだから仕方ないだろ。



「『渓流鰮』の件といい、今回の【茄子花芋】の芋麺といい、冷やしエールといい、知ってる知識や浮んだ知恵を 同族(ドワーフ)に伝授してくれるのなら一向にかまわぬが、他種族、特にヒト族の手に輝く原石(ミーシャ)を渡したくはないのぅ。皆もそう思うじゃろ?」



一同頷く。



「それこそミーシャは面白い()なんだが、それだからこそこの集落には置いておけないんだよなぁ。この集落がもう少し『領都』寄りな場所、もしくは『エイドパス鉱山』そばにあるんだったらよかったんだが…。ここだと才能を伸ばしてやることも出来ないし、ミーシャの噂を聞きつけた賊から護ってやることも難しい」



様々な意見が上がる中、パイク=ラックが持論を語る。



「やはりのぅ、儂としてはミーシャは『スワロー』で学ばせるのが一番じゃと思うのじゃよ。職校に入らず職人の道へ進まなかったとしても、各職人にアイディアを伝えればミーシャ発案の道具は世に出る訳じゃろ?それに、もしかしたら魔法系に才があり、新たな秘匿魔法や魔道具が発現するかもしれぬし。儂的には『汎用魔法』を極めさせてみたいものじゃな」



皆、納得した様に頷く。俺も頷くが、やはりミーシャを『エイドパス鉱山』に潜らせてみたいという思いは譲れない。



「明日にでもミーシャが将来的にどうしたい、どうなりたいか聞いてみることにしよう」




六人で尚も語るが、エールが尽きたところで今夜はお開きとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ