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第357話

[初期状態]

(簡易)

【百合の星留(ホシル)】:古代のユリの化石


(鑑定)

【百合の星留(ホシル)】:古代のウミユリの化石。中品質。



[整形終了時]

(簡易)

【百合の星留(ホシル)】:古代のユリの化石。牙状。


(鑑定)

【百合の星留(ホシル)】:古代のウミユリの化石。中品質。牙状。



[仕上げ手前]

(簡易)

【百合の星留(ホシル)】:古代のユリの化石。牙状ビーズ。


(鑑定)

【百合の星留(ホシル)】:古代のウミユリの化石。中品質+。牙状ビーズ。ウミユリ部分を強調させカメオの様に見せる為に周囲を掘り込んである。



さあ、完成品の鑑定をしよう。


[研磨完了]

(簡易)

【百合の星留(ホシル)】:古代のユリの化石。牙状ビーズ。鎮魂可能。


(鑑定)

【百合の星留(ホシル)】:古代のウミユリの化石。中品質+。牙状ビーズ。ウミユリ部分を強調させカメオの様に見せる為に周囲を掘り込んである。鎮魂は二回、鎮魂後に追悼可能。百合花が御印の聖女ガブ=リヨルに祈りを捧げよ。



いきなり知らない情報が増えた。鎮魂はともかく追悼って何だ? 聖女ガブ=リヨルも初耳だ。なんというかこのガブリエルじゃなくてがぶり寄りって相撲の技っぽい名前の聖女って一体何者???


勾玉の名称は【朱雀嘴型(フェニクスビーク)(仮)】としておく。【朱雀(フェニクス)】の嘴が魔獣素材として流通しているなら別の名前を考えればいいだけだ。石物語を付けるにしてもラルフロ=レーンさんに色々と確認してからの方がそれっぽいのを書けるだろう。職校の事務方さんにはこの鑑定結果まで見せてもいいし、物語を書くのが間に合えばそれも見せればいいか。取り敢えず終わった。今夜は枕を高くして寝よう。



「終わった〜〜!!」


(「ますたー あそぶの?」)


(「今日はもう寝たいかな。そうだ、ボクがベッドにうつ伏せになるからアンディーが背中を踏んだり落下していいよ。頭に落ちない様にしてね」)


(「あそぶの」)



カーバンクル式マッサージです。巣箱(ケージ)の天板から何度もベチベチと俺の背中に落下するアンディー。これ、アンディー的に面白いのか面白くないのかは全くの謎です。



「アンディー、オヤツを食べようか」


ムキュウ!!



夜食だな。深夜ではないから自分を許す。オヤツと言ってもリンゴとキャベツだけどな。ベッドに腰掛けた俺の腿の上にアンディーが収まる。前世で電車の座席に座ってリュックを腿の上に置いたって感じだ。尤もこのリュックは動くけど。


研磨も終わりオヤツも食べたので気も緩んだのか睡魔が襲い掛かる。俺とアンディーの手にだけJSS(浄化清浄殺菌)トリプルコンボを掛けておく。リンゴを食べなきゃトリプルコンボの必要はなかったけどな。いかん、眠い……。



「アン ディー……、 ボク  眠 く、て、…」



異世界初寝落ち。朝起きたらお腹の上に座布団が…ではなくアンディーが皮膜を広げて乗っかっていた。寝冷えを防いでくれていた模様。


ドワーフは種族特性で朝に強かった。目覚まし無しでも五時から六時には勝手に目が覚める。前々からドワーフの朝は早い……と思っていたけど、ご先祖様が単に朝っぱらから採掘したいとか製作したいとかで、そんな生活を続けていたら子孫にも受け継がれた特性らしい。どんなに深酒しててもその時間になれば目が覚めるし、大抵は酔いも覚めてる。ホーク=エーツさんは酒が抜けずに目が覚めちゃうのか……それは辛いな。


髭を整えながら 「浮け、浮け、浮け……浮いてよ!!」 と前世で大ヒットした汎用ヒト型ロボットに乗り込むアニメの主人公のセリフの真似をしてみる。続くセリフは 「今浮かなきゃ何もならないんだ!!」 からの 「今やらなきゃ髭が塗れちゃうんだよ! もうそんなの嫌なんだよ!!」 か……。湯船の中でないとイマイチ盛り上がらない。


こんな髭の空間魔法とか時空魔法で次元収納の習得に繋がるのか眉唾なんだけどね。




{ ――― お腹にマジックバッグのある青いタヌキは数ミリだけど浮遊していますよ ――― }



ヤーデさん、どこからその情報を持ってきてるんですか? まさか青いタヌキ大百科を読破済みなの??? でも言われてみたら確かに空間魔法とマジックバッグの組み合わせだよ。



朝ご飯を食べてきた。表向きは休みの日だからなのか、オートミール粥と茹でたジャガイモだった。アンディーを背中装備にして出かけることに。しがみついてくれてる時は気にしなくていいけど、いつもそうだと疲れちゃわないか?



(「アンディー、背中にずっといて疲れない?」)


(「あたち へいきなの」)


(「疲れたら言ってね」)


(「わかったの」)



商業ギルドの集合時間にはまだ早いのでラルフロ=レーンさんの工房に寄っていく。今は九時なので訪問してもギリ失礼ではないハズ。



「おはようございます。ラルフロ=レーンさんはご在宅ですか?」


「おーう、いるぞ。誰だ?」


「ミーシャ=ニイトラックバーグです。朝早くすみません」


「出来たのか?」


「途中までのを確認してもらいたくて来ました」


「いいぜ、入ってきな」



しかし相変わらずゴチャゴチャした店舗兼工房だな。本当に大事なものは次元収納してるんだろうけど。



「先日お預かりした【終わりかけ】三石と【百合の星留(ホシル)】なんですけど、九割方研磨し終わったので一回確認して貰おうと思いまして」


「いいぜ、見せてみな」


「これが【終わりかけ】三石と研磨ノートと石物語です。【百合の星留(ホシル)】の方は研磨ノートは書いたんですが、確認したいことがあって石物語はまだ書いてません」


「そうかい、そうかい……って、石物語ぃ!?」


「はい。研磨中に物語性のある事柄が起きたので、事実は研磨ノートに記載し、それをベースに物語を書いてみました」


「ミーシャ、やっぱりお前、面白いわ」



堪えきれず大笑いするラルフロ=レーンさんに合わせて俺は苦笑いするしかなかった。

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