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第353話

[恋人探しの『くじ引き(ロット)クッキー』大作戦]がいきなり勃発した。作戦司令部は商業ギルド『スワロー』支部・小会議室。総司令は……えっ、俺なの!? 実働部隊がカーン=エーツさんで後方支援がホーク=エーツさんの三人部隊。一人部隊(ワンマンアーミー)でなくて良かったけど。


クッキーを押し付ける金型は職校に発注し、マークを隠すシールは学園に発注する事になる模様。クッキー作りも職校かな…。ってもはや三人部隊じゃないし。


「クッキーの整形は髭無し(幼ドワーフ)に回してもいいと思う。印を付けた紙にシールを貼り付けるのも…かな」


流石にクッキーを合体させるのは衛生上の関係で髭無し(幼ドワーフ)には作業させられないけどね。浄化や殺菌をかけてから水飴を使って合体させるのでスキル持ちも必要だし。


明日、試作品を作る事にして必要な材料をギルドに使用申請しておいた。水飴以外、特に変わった材料が無いというのも有り難い。



「ミーシャはんと連むとめっちゃ面白(おもろ)いわ。お礼に『エイドパス鉱山』に招待したいわー」


「それ、ジョー兄貴も言ってたよ」



久々にエーツ氏族の鉄板ネタ、『エイドパス鉱山』の名を聞いたよ。一度鉱石掘り体験をしに行きたいものよ。採掘→研磨→販売、男のロマンっすよ。





明日は十時に商業ギルドに集合ということになったよ。俺、パイクお義祖父さまにグリーティングカードを渡したら学生寮に戻って勾玉の仕上げ作業をするんだ……。そしてアルチュールさんが持ってきてくれた【蔓野豆(ツルノマメ)】でモヤシ化計画を発動させる!! 肉モヤシ炒めがいいかなぁ、モヤシスープがいいかなぁ、茹でモヤシをポン酢で食べるのも美味いし、春雨と茹でモヤシと千切りハムの甘酢味サラダでもいい。


ああそうだ、いっそ【アルケミート】の薄切り肉を奮発して醤油と水飴を使ってモヤシ入りスキヤキでもいいじゃないか!! 溶き【コカコッコの祝福(ブレス)卵】を絡めて食べたらそこはパラダイス!!


茹でモヤシ増し増し味噌ラーメンが喰いたいなぁ……。餃子も付けたい。だったらエールも居るな。出来ればBGMは兎さんチームvs虎さんチームの伝統の一戦を希望だ。それが無理なら燕さんチームと青竜さんチームの戦いでも、鷹さんチームと白獅子さんチームでもいい。



なーんて妄想のせいかお腹が空いた。そういえば、出張先で無性にソロ飯がしたくなる漫画の主人公っていたよね。今の俺はそんな気分です。



パイクお義祖父さまにグリーティングカードを手渡したので今日の任務は完了。 “ 北斗の()” こと俺の身分証を出して納品記録を正式に記録してもらう。面倒臭さがらなければ職校の単位に繋がるからね。何事も地道な努力が大事って事だね。



(「ますたー あそぼ」)


(「三十分くらいならいいよ」)


(「じゅうま こうえん あそぶの」)



従魔公園(テイマーパーク)というのは非戦闘従魔や高齢テイマーが契約している従魔を遊ばせる事のできる公園の事。ガチの戦闘系従魔は冒険者に運動依頼を頼めばいいけどね。サイズにもよるけど暴れなければ戦闘系従魔が利用しても怒られる事はない。


従魔持ち同士の情報交換が出来たり、運が良ければ繁殖個体の譲渡や従魔のお見合いなんかも出来たりする……のが売り文句だ。ドッグランの延長みたいな施設って事かな。


と言う訳で、今から公園デビューしてきます。他の利用者と仲良くなったらママ友ならぬテイマー友なのか?


従魔公園(テイマーパーク)は馬車組合のすぐ近くにある。と言うか、従魔を運動させて問題ないのが【運魔(ウマ)】の訓練場ぐらいしかないからなんだけど。小型種や非戦闘従魔が【運魔(ウマ)】に蹴られない様に少しだけ離れた場所になってるけど馬車ギルドが管轄する土地ってことでした。


流石に九の日の夕方に従魔を遊ばせる(ドワーフ)はそういないわ。良く言えば貸し切りだ。早速、気に入った遊具を見つけたアンディーが遊び始めた。


カラカラカラカラ カラカラカラカラ……


大振りな回し車を見つけたアンディーは早速中に乗り込み走り始めた。走るムササビ、勢いよく回転を始める回し車。そのうち器用に尻尾を掴むと輪になり、そのまま回転し続ける。輪っかの中にもう一つ輪っかがあるよ。


回し車の次はシーソーか。一人でシーソーって器用というかなんというか。アンディーがシーソーに乗ると重さで下がってくるので、底に着く前にピョーンと飛び出して反対側の座面に着地。逆側もアンディーの重さで下がってくるので底に着く前に又もピョーンと飛び出す。それを繰り返している。ムササビ限定の遊び方だな。


背の高い木も生えているし砂場もある。ブランコもあるので普通に公園だ。ドワーフ用のトイレと従魔用のトイレが併設されている辺りが従魔公園(テイマーパーク)


冒険者ギルドにも訓練スペースはあるけど、実は『スワロー』の冒険者ギルドには大規模訓練場が無いので、従魔と一緒に大掛かりな訓練をしたい場合は隣町の『スリーストライプ』に出向かないといけなかったりする。俺の場合はラパンとワギュとの連携が中心になるので馬車組合の訓練場で問題なかった。それまでに『襷着る(タスキル)』を…と思ってたけど、ワギュに 「ミーシャちゃんはラパンから『襷着る(タスキル)』を教わった方がいいと思うよ」 と言われてしまったので取得保留中ですよ。


俺はベンチに座って餌用マジックバッグからリンゴを取り出す。晩飯前にオヤツを食べるのもなぁ…と思いながらもアンディーと公園でオヤツをシェアするという魅力には抗えなかった。



「アンディー、おいで。オヤツを食べよう」


ムキュウ キュッキュ

(「あたち ごはん する」)


「【玉菜(キャベツ)】も食べるんだね」



寮の部屋にアンディーを残して俺は晩飯です。今夜のメニューはジャガイモと玉ねぎと挽き肉を塩と【長胡椒(ヒハー)】で味付けしたものをオムレツの具にしたものだ。シンプルだけどお腹に溜まる。そしてエールも進む。追加注文でマヨネーズを貰う(ドワーフ)もチラホラ。俺はオムレツにはケチャップ派です。



あ……オムレツにケチャップでハートと言えば、前世ではメジャーなメイド喫茶文化じゃないですか。『ハニー・バニー』のイベントにも流用出来そうな予感。そうだな、明日カーン=エーツさんに伝えてみるか。

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