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第337話

いきなり降って湧いた土地の入手話には驚いたぞ。一番の理由は母体樹(ぼたいじゅ)の植樹なんだろうけど。何となく予想はしていたけど、俺のせいで『スワロー』の面積が拡張するとか何とか言われてしまったよ。流石は異世界、重機は無くとも土魔法で開墾は出来るので年が明けたらサクッと土木工事をしてしまうらしい。それもあって検脈師が来ていたのかもしれないな。



それより、フィオナお義祖母さまが元・魔道具開発局所属でそこから退職後に独自の飾り結びを生み出していたのと、商業ギルド支部長との関係には驚かされたよ。飾り結びだけど水引細工にも発展しないかな? 水引細工で鶴亀とかもあるし、魔導の力が通ったら動くかもしれない。もしかするとゴーレムの一種になるかもしれないぞ。


んっ!? あっ………他愛もない素材=正方形の紙一枚を折り畳んで立体を作る工作を思い出してしまった。前世日本の誇れる工作、折り紙だよ。変わり折りなんかに詳しくなくても基本中の基本、鶴ぐらいは折れるし。何というかこれもゴーレム化しそうだな。俺が言うのもなんだが危険な匂いがするな。


問題はいつネタを提供するか…だよなぁ。水引細工は紙縒(こよ)りを蝶結びに結んだりしたのを見せればいいかな。実のところ、難しいのも簡単なのも作り方がよく分からないんだよな。それこそフィオナお義祖母さまに伝えたら飾り結びから派生させてくれないかなぁ。



取り敢えず、今伝えるのは危険なので伝える時期を選ばねば。取り敢えず、紙縒(こよ)り作りから始めておくか。確か撚った紙に糊を付けてたハズ。糊はデンプン糊でいいよね。つまり必要なのは細断した芭蕉紙とデンプン糊………うん、これって材料が【鉱夫飴】と大して変わらないじゃないか。



農業ギルドに母体樹(ぼたいじゅ)の枝の報告をした後はパイクお義祖父さまとフィオナお義祖母さまと一旦別れる。野菜を仕入れに市場を巡るぞ。茶葉の取扱い店を見つけたので寄っていかないと。コーヒーは見掛けないからドワーフはコーヒーに興味が無いのかもしれない。買い物を終えたらアンディーを迎えに行って、その後は職校に顔出しだよ。それからラルフロ=レーンさんに納品する鉱石を研磨。そうだ、乾燥木賊(とくさ)を買っておかなきゃ。それと、美味しそうな穀類とか豆類とかが有ればコカコッコと鶏達に差し入れもしたいな。



“ 『鶏遭遇豆(とりあえず)』入荷しました ” と書かれた張り紙を発見した。なにそのビールを頼むときの枕詞みたいな名前の豆。鶏料理に合うのか、鶏が好んで食べるからその名前なのか知りたい。


豆の専門店【ママの豆・豆のママ】に入ると様々な豆がガラス瓶に収められていた。と言っても前世でお馴染みの大豆や小豆は見当たらない。前世で見たことがある豆も、見たことが無いような豆もある。真っ先に目に飛び込んでくるのは毎度お馴染【目出度(メンデルス)(・ビーンズ)】。緑色の乾燥豆と赤茶色の乾燥豆がある。乾燥豆ってまぁ豆を売っているお店としては当たり前なんだけど、たまに未成熟の豆を鞘ごと売っていたり、鞘から外したての未成熟の豆を売る事もあるので、俺の中であえてそう表現する事にした。ほら、生の豆って前世だったら枝豆とかキヌサヤとかグリーンピースとかそら豆とかを売ってるみたいな感じだよ。


取り敢えず鑑定だな。『対物簡易鑑定』でサッと見ておくか。興味のある表示が出たら詳細を見よう。



(簡易)

目出度(メンデルス)(・ビーンズ)】・緑:前世のグリーンピースを乾燥させたもの。


目出度(メンデルス)(・ビーンズ)】・赤茶:前世の完熟したエンドウ豆を乾燥させたもの。みつ豆や豆大福でお馴染み。




おお、確かにエンドウ豆なんだな。その隣の瓶には『インゲ豆』って書いてある。これは一体どんな豆? 見た目はいんげん豆っぽいよな。



(簡易)

【インゲ豆】:前世のいんげん豆。ヒト族のインゲ氏が発見したので【インゲ豆】と呼ばれている。豆の色は様々ある。



赤インゲ、青インゲ、白インゲ、茶インゲ、斑インゲ、黒インゲ……。インゲ豆の色多すぎ問題。確かに前世でも皮がカラフルな豆があったな。これらは多分それなんだろう。


そしてインゲさんが発見したからインゲ豆って分かりやすいネーミングだ。


で、インゲ豆に似ているけど小さい粒の【サササゲ豆】。小豆に似ているけど多分違う。【カラリ豆】という名前の扁平な豆もある。前世のレンズ豆っぽいな。



(簡易)

【サササゲ豆】:前世のササゲ豆。ササの葉に似た鞘が蔓から下がってなるのでそう名付けられた。


【カラリ豆】:前世のレンズ豆。豆のサイズで【カラリ豆】、【大カラリ豆】、【特大カラリ豆】の三種類がある。一粒あたりの重さがほぼ同じなので分銅としても使われる。



そして出ました【鶏遭遇豆(とりあえず)】。



(簡易)

鶏遭遇豆(とりあえず)】:鶏が好んで食べる豆。この豆が生えている場所で野生の鶏を捕獲出来る事が多いのでそう名付けられた。前世のひよこ豆に似ている。食用可。



おっ、これが前世のひよこ豆にも似た【鶏遭遇豆(とりあえず)】か。食用可なら持っていって一緒に食べようかな。



「すみません、この【鶏遭遇豆(とりあえず)】を二キログラム欲しいんですが」


「あら、いらっしゃい。沢山買ってくれるのは嬉しいけどね、【鶏遭遇豆(とりあえず)】はドワーフは食べない豆だよ。それとも鶏でも飼ってるのかい?」



えっ、マジで!? だって『対物簡易鑑定』には食用可って出てたぞ。



「あ、はい。養鶏場に仲良しのコカコッコが居るので、そこの鶏とコカコッコに差し入れするんです」


「まぁ、そうなのかい。だったら一カップ分をおまけしておくよ。また買いに来ておくれ。与え方は知ってるかい?」


「ボク、初めて差し入れするので教えてください」


「一〜二時間くらい水に浸した物を与えるんだよ。ヒヨコにあげるならサッと煮た方がいいよ」


「教えていただきありがとうございます」


「水に浸してある【鶏遭遇豆(とりあえず)】もあるけどね」


「本当ですか? 在庫ってどれくらいあります?」


「それなりだよ。買うかい? でも全部持てるかね?」


「三キログラム分お願いします。獣魔の餌を入れるマジックバッグに入れていきます」


「はいよ、毎度あり。また来ておくれよ」


「ありがとうございます」



差し入れの豆も手に入れた事だし養鶏場に向かいますか。

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