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第331話

昨日約束した通り、翌日、パイクお義祖父様とフィオナお義祖母さまと一緒に商業ギルドに向かうことに。うん、呼び掛け方が変わるだけでなんだかとても新鮮な感じがするよ。


流石に昨夜は鉱石研磨をする余裕がなかった。お風呂に入る時間もなかったので魔法で処理したけどね。洗濯にしろ入浴にしろ魔法でクリーン処理は出来るわけだけど、元日本人してはやはりリアル処理したい訳ですよ。そんな訳で今俺が習得を目論んでいるのが土魔法でお湯を沸かす方法。地熱発電から発想というか、無理やり地中から熱源になりそうなネタを探しただけなんだけどね。その理論ならマグマとか砂風呂とか腐葉土の発酵熱とか、そこその引っ張れそうな気がしなくもない。間欠泉とか温泉とかを再現するには水魔法単独なのか、それとも土水の複合魔法なのかは謎。


将来、家を手に入れた時にはどうしてもお風呂が欲しい訳ですよ。風呂用の魔道具は有るみたいだけど、魔法で給湯のお風呂にもチョッピリ憧れてるんだよ。二十四時間風呂にするなら水質浄化の為にスライムが必須だけど、毎回お湯を張るのなら不要。どうせなら簡易浄化して獣魔用の浴槽に残り湯を流せば経済的かな。皆、水浴びが好きそうなイメージ。



「ミーシャさん、楽しそうに何を考えてらしたの?」


「あ、フィオナお義祖母さま、ボク、将来家を手に入れた時にはやっぱりお風呂が欲しいなぁ…って思ってるんです。魔道具に頼らないなら魔法でどんな給湯法があるか妄想…いや考えてました」


「恒温器具繋がりじゃな」


「そうですね。つい考えがいってしまいました」


「ミーシャさんは火魔法は習得してないのよね?」


「はい。土魔法で給湯を考えています。それこそ地熱とかマグマとか、地面の中もそれなりに熱源があるので何とかなるかなぁ…って」


「私は地熱でお風呂を沸かした(ドワーフ)の話は聞いた事は無いないけれど、光魔法で水を温めるやり方は知っているわ」


「原理としては太陽の熱で水を温める様にするって事ですか?」


「その通りですわ。虫眼鏡(ルーペ)の原理を使うから、光魔法のみ使用なら単純に二つ重ねる事になるわね。物理的な虫眼鏡(ルーペ)を併用するなら魔法一つでお湯を温められますわ」


「水に向けないと大変なことになるんじゃ」


「可燃物に照準を合わせたら条件次第で燃えちゃいますよね」


「どの魔法でも注意は必要ね。まして複合は……パイクさん、そうでしょう?」


「ゴッ…ゴホン、そうじゃな。危険じゃ…」



あつ、これ過去に何かあったやつだ。冷却の秘匿魔法以外にも絶対何かやらかしてる…。




「手慣れているのね」


「そりゃあミーシャは何度もやらかしておるからのう」


「恥ずかしいです」


「あら、恥ずかしくなんてないわよ。寧ろ誇れることですわ」


「普通はじゃな、自慢したりするもんじゃよ」


「え〜、面倒くさい……」



なーんて遣り取りを交わしながら発案の申請書類を埋めていく。『反省のポーズ』と『恒温板(調理用) 鉄板もしくは陶板』。



「おや〜、ミーシャはん、久しぶりやん」


「カーン=エーツさん、お久しぶりです。儲かりまっか?」


「ボチボチでんなぁ…。保護者付きで書類書いてるってことはや、また何か儲け話でも見つけたん?」


「どうでしょう?」


「あー、残念やわ。今日に限ってホークは休みや。こないに楽しそうな日に休まなあかんのよ」



と、久し振りに胡散臭い商人ことカーン=エーツさんが登場。これ、儲け話を察知するスキルでも持ってるんじゃないのか?



「カーン=エーツさんって儲け話をいち早く嗅ぎ付けるスキルとか持ってるんですか?」


「さぁて、どうやろね? それよりやけど、先日の【蛇魚】の仲間の香ばしい匂いのお礼を言わんと…」


「えっ? 蒲……タレ焼きの香りですか? ボクは知りませんよ」


「あれ、ホークの仕業なんかーい!!」


「カーン=エーツさん、一体何があったんです?」


「実はやね…」



カーン=エーツさんが先月末の蒲焼きパーティーの残り香を嗅がされた話を伝えてくる。ホーク=エーツさん、鬼だな。食い物の恨みは恐ろしいというのに。



「冷えたタレ焼きでも美味かったんやけど、どうせなら温かいやつがええねん」


「そうですよね。お土産に頂いた【大蛇魚】は好評でしたよ」


「驚かせよ思うて()うてきたのに、喜ばれるとは思わんかったわ」


「メッチャいい目利きをしてくれたとばかり思ってましたが」


「あら、そない言うてくれたら嬉しいわ」


「それより、マジックバッグに煙と言うか香ばしい匂いを入れられたじゃないですか。あれって商売になりません?」


「まさかー。火のないところに煙は立たず、屁のないところに匂いは立たずですやん。香水やないんやから匂いで商い出来まへんって」


「ほら、屋台というか出張販売というか、パンとかを売りに出店をする時にですよ、焼きたてのパンの匂いをマジックバッグに詰め込んでいって、売るときに匂いを小出しにしたら食欲も購買意欲もそそりませんか?」


「あら、それ面白(おもろ)いわ」


「全部が全部ハマらないにしても、有効利用とか出来そうな気がしません?」


「何か浮かびそうやわ。おおきに。ところで今日の申請は何やの?」


「今日の申請はじゃな、これから流行る『反省のポーズ』じゃよ」


「何ですねん、それ」


「まぁ、詳しくは登録申請が終わってからじゃよ」



それから商業ギルド支部長さんに二件の説明をし、『反省のポーズ』を実演したら即使用OK案件として登録が完了してしまった。表向き、俺の名前での登録一号だよ。パラパラポンチ絵はパート君と連名だし、まだ開発が始まったばかりだし。



「何ですのん、それ!! ええわー。ホンマええわー。それ、『啼哭(ていこく)過激団』のエイトはんにポーズ取らせたいわー!!」



どうやら反省ポーズが似合う方がどこかにいらっしゃる模様です。

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