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第31話

春雨を作るための道具も揃ったので『関所の集落(仮)』共同の洗い場に集まり、皆で協力して【茄子花芋】の皮を剥き、擦り下ろす。この前ガルフ=トングさんに作ってもらったピーラーが役に立ってます。擦り下ろされた【茄子花芋】は俺が『汎用魔法』JSS(浄化清浄殺菌)のトリプルコンボで清潔にしておいた布袋に入れ、水中でデンプンを揉み出す。デンプン混じりの水は沈殿槽の桶に貯められ、デンプンが沈殿したところで栓を抜いて上澄み液を排水。新しい水を入れ撹拌してから再度沈殿させ上澄み液を排水させることを繰り返す。そして出来上がったデンプン! そこそこ白い。


搾り滓は大麦粉を水で溶いたものと混ぜてクレープっぽく焼く事にしたので回収。それでも余る様ならスープの具にしてしまおう。



中央広場に土魔法で作られた竈に蒸し器を準備し、蒸気の上がった蒸し器に『汎用魔法』 JSS(浄化清浄殺菌)トリプルコンボで清潔にしておいた布を敷き、湿ったデンプンを入れる。二十〜三十分も蒸せばデンプン餅の出来上がり。そのまま食べたら硬〜いわらび餅かな? 取り出して干し笊の上で粗熱を取る。風魔法の使える(ドワーフ)にデンプン餅に風を掛けてもらい半乾きにし、それを心太(ところてん)突きもとい春雨突きに入るサイズに切り分ける。


切り分けた物を春雨突きに入れ、突き棒で押し出すと格子状の刃を通過した生春雨が登場です!!


全部を春雨突きに通し、今夜食べる分を取り分け、残りは干し笊の上で更に風魔法を掛けてもらい完全に乾燥させる。保存食にもなるよ、って伝えたところで凄く沢山作ったわけでもないから今日明日には食べ尽くされる未来しか見えないんだけどね。



回収出来ずに沈殿槽桶に残ったデンプンは小鍋に寄せておいた。餡掛けにも使えるけど俺の目的は水飴を作ることなので。借りた家にこっそり持ち帰り、加熱して重湯というか味無し葛湯を作る。そこに昨日作っておいた『対物簡易鑑定』で確認済みの乾燥発芽大麦の粉末を混ぜて蓋をし、容器を麦わらで囲んで保温しておく。時々温め直さないとダメだな。麦わらはクッションというか寝具の詰め物に使うし、縄を()ったりするのにも使うので各家にそれなりの量が置かれている。そうなると炊飯器の保温機能って便利だったんだなぁ、角煮とか作れるんだよな。俺は作ったことはなかったけれども。



気晴らしを兼ねて昨日までに研磨した石類を触る。よーしお前ら後で艶々にしてやるからなー、と石に向かってつい語りかけてしまう。少しアブナイな、俺(苦笑)。磨かれて磨りガラス状になっている【魔石滓】を『汎用魔法』の『水滴』で濡らし、光に翳して眺めて癒されようと思って手にしたら、何をどう間違ったのか【魔石滓】に直接魔力を流してしまった。



魔力を流してしまった……ら、濡れてないのに透明度が上がって光ってない!?



えっ!? どういうこと!!!!????



魔石って使い捨てじゃなかったの!? まさかチャージ出来るの!?



これってもしかしなくてもヤバイ発見なんじゃ……。嬉しさを通り越して背中に嫌な汗が流れる。うん、見なかった。俺、何も見てませんよー、よー よー (エコー)




深呼吸して、水を飲んで、落ち着いたら春雨作業に戻ろう。





夕方に春雨試食会をするので追加食材を提供してもらった。時間のあるうちに下拵えをしておこう。畑で取れた【菊の葉】、どうやら前世の春菊みたいな野菜と、【食用マンドラゴラ】これはどう見ても前世のニンジン。あと【(から)茄子】、これは前世のピーマン?を手渡された。【菊の葉】は葉を毟って茎と分ける。【食用マンドラゴラ】と【(から)茄子】は細切りにしておく。



ジョー=エーツさんが数日前に狩ってきた野ウサギの肉を持ってきてくれた。そう言えば軒先に吊るされてたよ。念の為『汎用魔法』の『浄化』『殺菌』のダブルアタックをこっそり掛けておき、後は粗めに刻んでおく。骨もあったので軽く炙ってからスープ用に出汁を取った。



『関所の集落(仮)』の皆には重要伝達事項として「今日の料理にはエールが合うと思います」って伝えておきました。

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