第308話
ラルフロ=レーンさんから預かった色味の悪いロードライトと化石をチェックしますか…。それとアンディーが二つに分割してくれたカーバンクル石・三号も。
(簡易)
【愛の囁き】1:心変わり中
【愛の囁き】2:心変わり中
【愛の囁き】3:心変わり中
(鑑定)
【愛の囁き】1:心変わり中。中品質
【愛の囁き】2:心変わり中。低品質
【愛の囁き】3:心変わり中。低品質
(簡易)
【百合の星留】:古代のユリの化石
(鑑定)
【百合の星留】:古代のウミユリの化石。中品質。
(簡易)
【カーバンクル石】1:分割されたカーバンクル石・右
【カーバンクル石】2:分割されたカーバンクル石・左
(鑑定)
【カーバンクル石】1:カーバンクルの従魔アンディーの能力により分割された。右側。
【カーバンクル石】2:カーバンクルの従魔アンディーの能力により分割された。左側。
まぁ、原石なのでこんな感じか。それよりアンディーが割ってくれた石に出ている右側・左側って何か意味があるんだろうなぁ。ピアスみたいにニコイチで使う場合の左右指定とか?
ムキュウ キュウ
(「アンディーは石が気になるの?」)
(「これ やまの 石」)
正解。ちょっと試してみるか。『次元収納』の中からワギュの【運魔石】を取り出して見せてみる。
(「アンディー、これは?」)
(「これ うまの 石」)
正解。よし、【スライムの死核】と手元に残してある琥珀も見せてみよう。
(「これ すらいむ」)
(「これ きの 石」)
琥珀、アンディーの中だと樹の石って扱いなんだ。確かに樹脂が変化したものだから間違ってはいない。
ちょっと不埒な考えが浮かんでしまった。尿管結石はどんな判定をされるんだろうか…って。
学園のカリキュラムを確認してみたら、【アルケミート】に関係しそうな授業は年が明けてから。ただ、俺の場合はその授業を受ける為の魔術の授業の単位が足りない。でも、正規の学園生なので授業を聞くことは可能。扱い的には単位不足の生徒が進級は出来ないけど残りの授業に参加できるのと同じ様な感じ。途中から編入してくる生徒もいるので、単位取得の為の出席数にはカウントされないけど授業には参加させてくれる訳だね。
畜産を生業としている氏族の子女が【アルケミート】の為だけに学園に入学したりしてるって言ってたよ。錬成前の肉質が錬成後にも響くので、より良い【プラントオーク】を育てる為に必要な【アルケミート】の知識や技術を学びに来るのだと。
「ミーシャ=ニイトラックバーグ、従魔のいる生徒は特別授業が追加される」
「はい。分かりました。どんな授業なんですか?」
「テイマーの心得や従魔の扱い方を学んだり、従魔との連携戦闘、従魔の繁殖、死後の手続きについてなど多岐に渡っている。本来ならばテイマーギルドで学ぶべき内容なのだが、知っての通り我等ドワーフは積極的に従魔を連れて戦闘に行かないからな。テイマーギルドの無い都市も多い。それでも戦闘に巻き込まれた時の為の対処法は知っておくべきだし、悪意を持った者が従魔を奪おうとしてくるかもしれない」
「そうですね」
「冒険者ギルドでも受講出来る。従魔の種類によっては学園ではなく冒険者ギルド行きになるがね」
「ボクの場合はどうなりますか?」
「ミーシャ=ニイトラックバーグの従魔は?」
「従魔扱いの【運魔】が二頭。グライダー・カーバンクルが一匹。今月末に孵化する予定のコカコッコのヒナが一羽です」
「多いな」
「色々あって増えましたので」
「【運魔】は冒険者ギルドの方がいいだろう。いや、馬車ギルドに相談した方がいいかもしれない。移動中や輸送中に襲われた時の対処法を学ぶ事になるからな。ミーシャ=ニイトラックバーグは騎乗したまま戦闘はしないのだろう? 魔法も撃たないのかね?」
「しません!!」
キッパリと否定。ポニーに乗って戦闘とか無理ゲーです。自慢じゃないけどまだ一人でポニーに乗れませんからね。騎乗練習もしていないから『襷着る』だってまだ生えてこないし。つまり、騎乗して戦闘する場合は冒険者ギルド行きって事だな。
「今、一頭が仕事で遠征してるので、【運魔】との訓練は戻ってきてからになりますね」
「ヒナも産まれてから…いや、若鳥になってからだな」
「となれば、グライダー・カーバンクルのアンディーとの連携だけですか?」
「普通は従魔は一頭だからそう悩まなくて済むが、複数持ちなら連れて歩く組み合わせ毎に練習が必要だ」
うっわー、面倒くさい!! でも大事な “ 仲魔(=家族) ” を守る為なら仕方ないのだ。
「商用従魔については時々商業ギルドで運用に関する講習会が開かれている。戦闘用従魔の場合は冒険者ギルドで申し込めば随時指導や説明が受けられる。その他、魔術関連や愛玩用は魔術師ギルドに行けば相談に乗ってもらえる」
「ボクのアンディーは学園で講習、もしくは魔術師ギルドに連れていく枠ですか?」
「カーバンクルはそうだね」
「昨日、従魔の待機場所で見かけた【眠り猫】と【手持ち豚】はどこに含まれますか?」
「【眠り猫】は愛玩用兼戦闘用の従魔だ。ただし魔法攻撃がメインなので魔術師ギルド。【手持ち豚】はダンジョンに連れても行くが基本は鉱山用だから商業ギルドだな。【手持ち豚】を護りながらの行動を学ぶなら冒険者ギルドだ」
「それを聞いたらボクの場合は全ギルドに行ったほうがいいような気がしてきました……」
「【手持ち豚】と言えばコンビ従魔の【加護の鳥】は見たかね?」
「それは見ていません」
「時期的に出張中かもしれんな」
【加護の鳥】は坑道や火山で有毒ガスから守ってくれる鳥姿の従魔。パッと見は鳥籠の中にいるカナリアなんだとか。そして出張している現場はよりによって炭焼き窯のある辺りだったよ。気付かなかったけど居たんだな。




