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第254話

最初にやるのは温泉玉子作りだ。ただ、本当の激熱源泉に浸けて加熱した茹で玉子も存在しており、それは単なる固茹で玉子。なので別な名前を考えておかないといけなかった。風呂玉子という名前にするのも微妙。名前のせいで本当にお風呂のお湯に浸けられた不衛生だしな。という訳で【のぼせ玉子】にしてみた。



「最初に蝋の溶ける温度に生の玉子を浸します。これは茹で玉子の一種なので殻のままで三十分ほど浸します」


「表示される色は赤で、数字で言ったら六くらいの温度じゃな」



水が沸騰する温度を十としていて、蝋が溶けるのが六って事だな。パイク=ラックさんはお湯に指を突っ込むと六十度くらいの温度は分かるそうだけど、アッシュちゃんが真似したら困るのでちゃんと温度計を使っていた。



お湯を沸かし、二重箱に鍋を置き玉子を三個入れて蓋をしたら後は放置するだけ。多分、温泉玉子になってくれるハズ。ミモザサラダ用の固茹で卵も別鍋で作っておく。


サラダ用に買ってきた野菜は【王芹(セレリィ)】、【玉チシャレッタ】、【葉チシャレッタ】、【(あか)茄子】。


王芹(セレリィ)】は前世のセロリで【玉チシャレッタ】は前世の丸いレタスで【葉チシャレッタ】は前世のリーフレタスだった。【チシャレッタ】がレタスという事で、【房チシャレッタ】、【羽チシャレッタ】【茎チシャレッタ】といった品種も有り、鑑定結果はそれぞれ前世のサニーレタス、ロメインレタス、山クラゲだった。それより山クラゲってレタスの仲間だったの!? 前世で近くのスーパーの惣菜コーナーで売られていた中華クラゲと山クラゲの惣菜が好きだったんだけど………まさかのレタスの仲間だったことを異世界で知ったよ。



野菜は水洗いして砂などの汚れを落とす。【玉チシャレッタ】と【葉チシャレッタ】は手でちぎり、芯の部分は食べやすいように千切りにしておく。【王芹(セレリィ)】は茎の部分の筋を削いでから薄くスライス。葉は使わないので除けておく。【(あか)茄子】は角切りにしておく。刃物の扱いだけ気を付ければアッシュちゃんでも難なくお手伝いできる作業内容だ。


細かく刻んだベーコンをカリカリに焼くのは火を使うので、次からは火を使う時は大人に傍に付いてもらうことという約束をしてもらった。竃で直火だから結構危険だし。まぁ、その時はパイク=ラックさんが張り付いてくれることだろう。



「野菜を押さえる左のお手々は猫さんです」



うん、可愛い。怪我をしたら覚えるとか言うけど、出来れば痛い思いはしてもらいたくないよね。包丁で指を切って流血とか、たとえ回復魔法の有る世界でも極力体験したくないというか怪我しない様に作業するのが一番だよ。


【茄子花芋】は皮に付いた土を水洗いして落とす。皮が緑変していたり芽が出てないか確認してもらい、ピーラーこと【シュパー】で皮を剥いてもらう。これを使えばデコボコした芋を誰でも安全に皮剥きが出来るからね。



「【茄子花芋】は日光に当たると緑色になるんだけど、それを食べると中毒しちゃうので注意してね。後、芽にも毒があるからね」


「そうなったお芋は食べられないですか?」


「緑のお芋は皮を厚く剥けばいいし、芽が出た時は包丁の先を使ってくり抜けば大丈夫だよ。でも不安だったら使っちゃ駄目だからね」


「お芋が勿体ないです」


「その時は畑に持っていって農業の(ドワーフ)に植えてもらえばいいよ。秋になったら地面の下にお芋が沢山出来るんだ」


「ヒト族やエルフがよく中毒になるんじゃよ」


「じいじ、どうすれば安全ですか?」


「保存する時には穴蔵に仕舞っておくのじゃよ。儂らドワーフと一緒じゃな」



皮を剥き終わった【茄子花芋】を一口大に切り水から茹でる。ゆであがったら茹で汁を半分捨て【バーサーカッター】に入れてドロドロにする。まぁ濾さなくてもいいよね。肉や骨から取った出汁を分けてもらいドロドロ芋を飲みやすい濃度になるまで伸ばす。牛乳は無かったのでバターを一欠片入れ、塩と【長胡椒(ヒハー)】で味を整えれば完成。



「今使った【シュパー】も【バーサーカッター】も辺境でミーシャが発案し、ガルフ=トングとリンド=バーグ、二人の鍛冶師が形にしたんじゃよ」


「ミーシャねえね、凄いです。鍛冶師さん達も凄いです」



シーザーサラダのドレッシングは普通のポーション瓶にマヨネーズ、【リモー】汁、食用油、塩、【長胡椒(ヒハー)】を入れて良〜く振ればOK。ミモザサラダ用の茹で玉子は荒目の(ふるい)に乗せ木ベラで押し出せば程よくバラバラになって下に落ちる。



「玉子がお花みたいです。これをサラダに乗せるんですね」



アッシュちゃんが喜んでいる間にパンを刻み『汎用魔法』の『除湿』で乾燥させてクルトンを作る。ついでにセロリの葉っぱも少しだけ乾燥させ揉んでパラパラにする。ポタージュのトッピング用のドライパセリもどきって事で。チーズも擦り下ろす。後はドキドキの温泉玉子の確認だ。


お皿を借りて温泉玉子を割ってみる。ドロリと白濁した白身にもっちりプルプルな黄身。理想的な温泉玉子が出来上がっていた。そのまま醤油をかけて食べたくなるのをグッと我慢する。



「ミーシャ、それは成功、失敗どっちなのじゃ?」


「成功です」



サラダ用の野菜を二つに分け、温泉玉子を乗せたシーザーサラダとミモザサラダにする。ドレッシングは一緒だけど。ミモザサラダはマヨネーズ掛けでもいいしな。


ワートを用意しポタージュを温めクルトンを乗せれば今日のお昼ご飯の完成だ。勿論、パイク=ラックさんがいるので冷やしワートにしてもらうぞ。

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