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第251話

オロール先生とラパンも見送れたし野外実習に向かおう。帰りは明日のために玉子とサラダ用の野菜を買っておかないといけないかな?




「…という訳で、拭き草は茎の利用方が見つかったので今後は栽培奨励作物になる。冒険者ギルドの採取任務の納品物リストにも載るので、任務を受注していなくても野外採取した場合は葉だけでなく茎も持ち帰るように」


「先生、茎は何に使うんですか?」


「お前ら驚くなよ。拭き草の茎は茹でれば食える」



ザワ、ザワザワ……… 「マジ?」「マジで?」「食えるってことは食堂でも出てくるのか?」



あ、ザワザワしてる。初見の反応だ。



「ミーシャ=ニイトラックバーグ、君は反応が薄いなぁ…」



あっ、ヤバい…。


「ボク、ビックリしちゃって、茎をどんな風に食べるのか考えてたので……」


まさか、情報提供者が俺なのでその話は知ってますとは言えないし。



「そのうち最近追加された新案登録内容を伝える講義があるから詳しい話はそこで聞いてくれ。拭き草の茎は加工されてヒト族向けに販売するそうだから、俺達の口に入るかまでは分からんなぁ…」


「ヒト族は尻拭き草の一部を食べるのは平気なんですか?」


「ヒト族は拭き草で尻を拭かないからそれは問題無いぞ」



そうだよなぁ…、よくよく考えたら前世だったらトイレットペーパーの芯を紙コップにするくらいのインパクトだぞ。いきなり聞かされたらドン引きするわ。



「それに関わってくるんだが、樹液から砂糖が作れる木の種類がいくつか有るので少しずつ植樹の優先順位も変更していくみたいだ。今回はとにかく細かい追加登録が多いんだよ。新規の仕事も確実に増える。つまり……」


ゴクリ…… 皆の息を呑む音が聞こえてくる。


「つまり、そこから派生する仕事や商品が爆発的に増えるという事だ。いいか、これは大チャンスだ。改良版を作り上げて登録し、認可されたら派生登録の権利料が入ってくる。内容によっては毎月毎年、権利金が入ってくるからな」



いきなり始まる不労所得の話に皆は興味半分、懐疑半分。



「先生は権利とか持ってるんですか?」


「有るぞ。俺は全部で三つだな。そのなかの一つが『炭焼き液』だ。これは俺の師匠が最初に登録したんだが、俺は派生の方で登録を掛けた訳だ。まぁ入ってくるのは微々たる金だが、毎月のエール代の足しにはなってるぞ」


「マジかー」「いいなー」「登録リストに名前を載せたい」



皆、羨望というか憧れが口から出てる。俺は目立ちたくないから名前は載らなくていいけど。というか全部載ったら多分ヤバい。



俺の参加しているの炭焼き講義は初心者向けの簡単なコースなので生徒が切る木も幹の細いものが選ばれている。本格的な炭焼き職人を目指すコースとは雲泥の差なんだって。六の日にその本格コースの授業風景を見学させてもらえることになった。リアルに斧で木を切るドワーフが見れるのかと思うとワクワクしてくる。ヘイヘイホーっすよ。


まぁ今日もやる事は草刈りとか枝払いとか柴刈りといった地味〜な作業な訳で。山である程度サイズを整えてから運んだ方が楽だしゴミも持ち帰らなくて済む。ゴミと言っても草の根っことか枝から落とした葉っぱとかだけど。邪魔にならない位置に土魔法『掘坑路(クッコウロ)』 で少し深めに穴を掘り『土饅頭』で埋め戻す。『土饅頭』は地表に盛り土をするのが一般的な使い方だけど、掘った穴の埋め戻しにも使える。『土踏(どとう)る』か重力魔法の『圧方(アッポー)』で土を固めておかないと地盤が緩むので注意だった。『土踏(どとう)る』は後で覚えておかないと駄目か…。



「広い場所で深く穴を掘った場合なら枯れ草を穴の中で燃やしても良いけど、山火事になったら大事になる。山で火を使うときは必ず水魔法の使える奴が居る時にしろよ。『汎用魔法』で消せるなんて思うな。山火事を出したら最低でも髭剃(ていし)二年は喰らうからな!!」



出たっ、髭剃りの刑。髭剃(ていし)二年の罪が重いのかどうかはよく分からないけど、山火事を出すと投獄されることだけは分かった。


薪用の枝は太さごとに纏めて商業ギルドに持って行く。別に揃えてなくても薪は目方で取り引なので問題は無いのだけど、揃えてある方が少しだけ割高に買い取ってもらえる。薪の乾燥度合いは鑑定されると分かるので濡れた薪を持ち込んでも高く買い取っては貰えない。



今日は集めた枝を実際に商業ギルドに持ち込んで代金を貰っていいと言われた。ここでの作業内容がモロに買い取り価格に反映する訳だ。皆、真面目に作業してるよ。俺は薪には手を出さず、馬車組合用の飼い葉集めだけどね。折角だから草の種類を選別してみようかな。【鶏餌(けいじ)草】だけでも選り分けてみるか。そしてジョーブ君は拭き草と【ポキポキ草】を中心に採取してるんだけど。あれは分かって採ってる系だな。


拭き草は葉と茎を切り分けて運ぶ。葉は纏めて重ねてからクルクル巻いて紐で縛っておく。茎も纏めて紐で縛る。【ポキポキ草】は売る用というより食堂のおばちゃん達への差し入れらしい。ジョーブ君、意外とやり手だな。


鶏餌(けいじ)草】と【紫萌肥しアルファー・アルファー】をコカコッコに差し入れに行こうと思う。



今日は商業ギルドに素材を持ち込んだら現地解散という事になった。俺は商業ギルドに行く用事は無いので馬車組合に直行だ。そこで飼い葉を納品したらコカコッコに渡す分を買い取る形で処理してもらう。馬車組合といえば残されたワギュなんだけど、様子を聞いてみたら牝馬達と仲良く交流している模様。【運魔(ウマ)】も女子会するんだ…。

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