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第232話

講義や実技の合間をみてコカコッコの蹴爪を裁断した。何というか、アクリルブロックと淡水パールを足して二で割った様な感じ…と言えばいいのか? オパールより遥かに柔らかく膠の棒よりずっと硬い。これをヌルヌルスルスルと切っていた学園の講師って凄いんだなぁ…。まぁ、力を入れすぎず一定速度で真っ直ぐゆっくりと糸鋸を動かせばいいという事は分っているんだけど。それより、この蹴爪を切っても刃こぼれしていない『(ソーン)山荒(・ポーキュパイン)』の棘の方がヤバいな。大事に使おう。


ちなみに、前世で淡水パールを二つ割りしたことがあるんだけど、二度とやらねーって思った。大きなポテト型、ポテト型というのは俵型というかカプセル薬みたいな形の事なんだけど、その淡水パールを糸鋸を使って横方向で中心で二つに切ったんだ。ちょうど真ん中で横に孔が貫通したビーズだったので二つ割りにして半球の淡水パール二つにしようと思った訳ね。切断面はちゃんと研磨して整えたよ。ピアス用の半球の淡水パールにしたらセット売り出来ていいんじゃないかと思って切った訳だけど、手間やら何やらを考えたらコスパが悪かったので、その一組分しか作らなかったという話だ。その時に細い糸鋸の刃、それこそ貴金属板や鼈甲(べっこう)を切る時に使う細さの物を使ったんだけど、いやあ…折りまくった。流石に一ダースは折らなかったけど。おのれ炭酸カルシウム。


なので、コカコッコの蹴爪は普通に切れる素材だと俺の脳が勘違いしてしまった模様。ちゃんとボタン二つ分を切断できたのでよかった。貴重な材料が無駄にならなくて済んだし。切断時に出た微粉末は木賊(とくさ)に与えてしまった。与えなかった株と比較しないといけないな。取り敢えず切断した蹴爪の鑑定だ。微粉末を鑑定してみたけどコカコッコの蹴爪の粉としか出なかったので今回は木賊(とくさ)用の肥料の他には活用しない方向で。



(簡易):スライスしたコカコッコの蹴爪。ボタン、ビーズ、スタッズ等に加工可。

(鑑定):スライスしたコカコッコの蹴爪。素材状態=良。耐毒(弱)。耐石化(弱)。



鑑定結果はそれぞれを別の紙に記入。元々の蹴爪の全体像も簡単に描いておき、そこから切断したことも書いておく。切断時に使ったのが『(ソーン)山荒(・ポーキュパイン)』だという事も書いておくか。二個あるから別々に書かなきゃいけないのが手間っちゃ手間なのだが。


オロール先生が休講予定の期間は、炭焼きの為の授業や針打ちの実習等でカリキュラムが忙しくなる時期と重なりそうなので、今のうちに蹴爪を処理しておかないと。



切断面を木賊(とくさ)で研磨する。クルクルと回しながら鋸目を消すように研磨だ。ボタン二つ分と蹴爪本体の切断面、計五面を整える。研磨時に出てくる微粉末は切断時の微粉末を与えた木賊(とくさ)の株に追加で与えておく。断面はだいぶ艷やかに整ったので次は側面を研磨していく。色味は薄い鼈甲色というか少し白濁したコンソメスープ色というか。まぁ爪の一種だからね。角とか蹄とか、そんな素材のボタンに見えなくもない。普通に角や蹄で作ったボタンと混ぜて服に縫い付けたら、違和感無く耐毒(弱)・耐石化(弱)効果の付いた装備を身につけられる訳か。ちょっと一回確認の為に鑑定しておこう。



(簡易):スライスしたコカコッコの蹴爪。ボタン用。

(鑑定):スライスしたコカコッコの蹴爪。素材状態=良、調整済み。耐毒(弱)。耐石化(弱)。



微妙に変わったな。追記して更に整えよう。側面を整えてやるとボタンらしくなってくる。まだ孔はあけてないけど。色味と何となく違う柄を見ながらどちらを四つ穴ボタンにするかを考えてみる。柄が何となくマーブルっぽく見える方を二つ穴にしようかな。メモ用紙の上にスライス蹴爪を置いて周りを『黒墨棒(ペンシル)』でなぞって形を写す。それを見ながら四つ折りして孔を開ける位置を決め、『黒墨棒(ペンシル)』で黒円を付けておく。スライス蹴爪の上に戻し裏側から黒円の位置を良く擦れば『黒墨棒(ペンシル)』の印が写るので、そこに『魔墨(イカスミ)』を付けておけば孔開けの準備完了。


螺旋錐(ドリル)針鼠(・ヘッジホッグ)』の棘を工具に取り付ける。前世のピンバイスと違って使い勝手には少し癖がある。何度か【ホヤッキー】や【魔(にかわ)】に孔を開けてみて試したから多分大丈夫。それでも怖いのは怖いので二つ穴の方から作業しよう。

丁寧にゆっくりと、少しだけ蹴爪に当たる棘に力を込める。引っ掛かりを感じたら力を抜く。そんな事を繰り返しながら孔を開けていく。素材の特性上、粘りというか靭性はあるハズなのでいきなりパキッと割れたりはしないと思いたい。 そういう点ではバサルトタートルの甲羅の研磨は難しい。またバサルトタートルの甲羅も研摩したいな。



集中し過ぎで疲れてきた……、ミス防止の為に休憩を入れる。背伸びをして水を飲む。水飴を一舐めしたら気持ちもリフレッシュだ。折角だから部屋を換気して『汎用魔法』JSS(浄化清浄殺菌)トリプルコンボをかける。『消臭』が生えてこないか試しているものの中々生える気配がない。孔を開け終わったら鑑定をかけて、お風呂と夕食だな。オロール先生に蒲焼きの日の予定が空いているかを聞いてみないといけない。



(簡易):スライスしたコカコッコの蹴爪で作られた『二つ穴ボタン』。

(鑑定):スライスしたコカコッコの蹴爪で作られた『二つ穴ボタン』。素材状態=良、調整済み。耐毒(弱)。耐石化(弱)。


(簡易):スライスしたコカコッコの蹴爪で作られた『四つ穴ボタン』。

(鑑定):スライスしたコカコッコの蹴爪で作られた『四つ穴ボタン』。素材状態=良、調整済み。耐毒(弱)。耐石化(弱)。



うん、問題無し。続きは明日だな。キサゲを買ってこよう。本来は金属に使う工具なんだけど、ボタン穴のバリ取りに使いたい。コカコッコの蹴爪は生体由来素材だからギリ使えると思う。


そしてオロール先生も蒲焼きパーティーに参加が決定した。パーティーと言うほどの量はないので焼き鳥も焼くことは確定だな。蒲焼きと焼き鳥(タレ味)で冷やしエールで決まりだっっ!!

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