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第212話

お金が稼げるっていうのは勿論請ける理由の一つだけど、ボタン加工は初めてなので試したかったのも事実だ。コカコッコの蹴爪以外の素材でもボタンに使える素材がありそうだよなぁ。それこそスライムの死核とか魔銘木なんかで作ってもよさそう。



「ん? 色んな素材でボタンを作ってみたくなったんじゃねぇのか? 作るのはいいけどいざ衣装に取り付けるって時には “ 相性 ” に気を付けろよ」


「 “ 相性 ” ですか?」


「そう、 “ 相性 ” 。一番分かりやすい例だと『気分高揚』の効果のあるボタンと『鎮静』の効果のあるボタンを並べて付けないって感じだな」



あ、そういう事か。SLGのユニット配置で “ この配置ではユニットの保有する効果が発動しません ” とか言われちゃうやつだな。



「それは効果同士がケンカしそうです」


「まぁ、そういうこった。さっきの例に追加するが、『気分高揚』と『鎮静』の間に『平静』を挟むとどっちの効果も発動するんだぞ」


「えっ?」


「どっちを優先するんだ? ってなるよなぁ…」



『気分高揚』なのかい? 『鎮静』なのかい? どっちなんだい!!



「ミーシャ、ラルフロ=レーンに騙されるなよ。単純に、組み合わせと配置次第で “ 相性 ” が悪くても効果をコントロール出来るって話だからな」


「あっ、はい。そうですよね…」


「逆に “ 相性 ” のいい組み合わせにもう一つ挟んで三角関係とか不協和音に変化させる事も出来るから気を付けろよ。分かんなかったら聞きに来い」


「勉強してみて、どうしても分からなかった時は聞きに来ます」



なんだろう、前世のパワーストーンの相性がどうとかいう設定を思い出したよ。当時はぶっちゃけ、そんな訳ないだろ!!って信用してなかったけど、異世界だと素材同士の相性が発動するんだな。



「次は琥珀なんですけど…」


研磨の記録ノートと琥珀を揃えて見てもらうことにした。


「あ、これはアタリだな。()が入ってるな……何の種類なのかまでは分からんか」



あ、やっぱり一号って虫入り琥珀だったんだ。



「それ、虫だったんですね。小さい羽虫かな?」


「羽虫じゃねぇぞ。それは呼び出したら……そうだな、グリフォンよりは小さいか。鷲くらいのサイズが出てくるんじゃねぇのか?」


「???」



呼び出しとか理解が付いていかない!! 中に入ってるのって虫じゃないの!?



「あの…その…、ボク理解が。どういう事なのか教えて下さい」


「そうか、()入り琥珀の説明から要るのか。琥珀ってのは特殊な素材だ。元々は太古の樹脂が固まって出来るのは知ってるか?」


「はい。それは知っています」


「普通は松とか杉とか桜とか、様々な樹の樹脂が変化する訳なんだが、魔銘木の樹脂も琥珀化する訳よ。で、魔銘木の樹脂は魔獣や何かを捕獲する性質がある」



えっ!? なにその性質。



「捕獲ですか?」


「そう、捕獲する。しかも琥珀の体積より遥かに大きい生物を捕獲出来る。尤も、人為的に捕獲するんだが。そして琥珀に取り込まれた生物は、パット見で()にしか見えなくなるんだよ」


「人為的って、一種の魔道具扱いなんです?」


「魔道具よりは捕縛魔法に近いのか…まぁ、捕獲する訳だ。そして中に封じ込めた生物を単発で使役出来る」



なにそのモンスターゲットだぜ的な能力。異世界の琥珀ってチート素材なのか?



「その中にいる魔獣を解放するのってボクでも出来ますか?」


「出来る。ちゃんと段取りを踏めば誰でも出せる。逆に捕獲するのは誰でも出来ないけどな」


「ミーシャ、それは何処で手に入れたんじゃ?」


「これは学園の購買部のワゴンセールで見つけました。今月の特売品でした」


「処分方法が学園らしい。そしてそれを何も知らない生徒が引き当てるのかよ」


「これ、どうすれば……」


「その琥珀は戦闘用というか護身用だから、ミーシャ=ニイトラックバーグには不要だろ?」


「ですよねぇ…」


「鐘割り嫁も使わないだろうし」


「アリサに召喚魔獣が必要なクエストは俺がさせないからな」


「となれば俺が買い取るか、学園に卸すか、どちらかだろ?」


「どちらがいいんですか?」


「俺的にはこっちに売ってもらいたいところだが、ネタとして面白いのは学園に卸しに行く…だな」


「そうなんですか?」


「それは多分、学園側の廃棄ミスだ。ダブってたり消費期限が切れそうな素材は特売品にするんだが、()入り琥珀は正規で売ることはあっても絶対に特売品には並ばないからな。持っていったら備品担当が相当焦るハズだ」


「そういえば購入履歴は学生証を照会すれば分かりますもんね」



まさかの倉庫の棚卸しで管理係のチェックミスからの特売品行きだったとか? それは確かに始末書モンだわ。



「ちょい待てちょい待て、残り二つも俺に確認させろ。何か気になった事は…あ、書いてあるな。三号が日光の光源下で青く光って見えた……。これ、鑑定したか?」



やばっ、そこまでちゃんと確認してなかった…。



「えっ、琥珀だって売られていたので、ボクが出来る範囲での詳細な鑑定はしてないです」


「おいおい、それは駄目だろ。また、ゴミか宝か無鑑定で判断出来るほど経験積んでないんだろ? 鑑定してみてスキルの力不足で情報が出ないなら仕方ないけどな。後、研磨前と研磨後で鑑定結果が変わるときがあるから気を付けろよ」


「はいっ」



多分、ラルフロ=レーンさんには何かの結果が見えてる訳だ。取り敢えず『対物簡易鑑定』と『対物鑑定 (中)』を両方かけてみよう。

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