表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

197/472

第192話

今日は卵料理を食べに行く日! 先にパイク=ラックさんの家に行って木賊(とくさ)を受け取り、寮の部屋に置いてきた。途中、廊下でオロール先生と遭遇したら (共)「【ホヤッキー】磨きに使えるよ」 と言われてしまったし。


寮には午後十一時までに戻る申請をしてきた。パイク=ラックさんとリンド=バーグさんに届いている情報によると、 「数日内に “ 大会議 ” というギルド合同で登録案件に関して話し合うイベントがあるので、それが終了したらコソコソと冷やしエールを飲まなくてもよくなるハズだからな」 だと。パイク=ラックさんは【鉱夫飴】事業の説明とエールを冷やす係で出席する。どうもガルフ=トングさんも『関所の集落(仮)』から呼び出されるとかなんとか。あの(ドワーフ)には色々試作させちゃったからなぁ…ゴメンナサイ。タワシ製作の実演をするみたいです。



卵料理店『卵な道(ランナウェイ)』に到着。商業ギルド・農業ギルドによる『コカコッコの祝福(ブレス)卵』取り扱い認定店なので生卵でも安心して食べる事ができる…けど、この世界の住人達はあまり生卵は得意でない模様。それでも生で食べても安心なのは店のウリ文句。ここのお店の名物料は『祝福(ブレス)卵のとろとろスクランブルエッグ』。それと、半熟ゆで卵にお店手作りのフレッシュマヨネーズを掛けた『うふふ』。どちらもレシピ的には超簡単なのに自作したら遥かに劣る出来になるということで、皆この二つを目当てに来店していると言っても過言ではない。



「それではミーシャの入校を祝して乾杯しようではないか。うれしいのう」


パイク=ラックさんの乾杯の音頭で “ とりあえず温い(ぬる〜い)エール ” で乾杯。例の如く個室を取ってあるので二杯目からはこっそり冷やしエールを飲む手筈になっている。


「パイク=ラックさんとリンド=バーグさんのお陰で何の問題もなく入校・入学出来ました」


「入…学じゃと?」


「あ、ボク、学園にも入学させられました」


「フォッフォッフォッ、ミーシャらしいのぅ…。学園(あそこ)は図書館が充実しているのじゃよ。職校の蔵書と被る書物も多いが、勇者伝や神書等は写本でないものも置いてあるから、話のネタに読んでおくのも手じゃよ。まぁ、()()と呼ばれておるくらいじゃから本当にネタ枠なんじゃが……」



出たぞ、異世界あるある “ 大図書館に置かれている勇者関連(推定=日本語表記)の文献 ” 。しかも先に異世界転生してきた元日本人の書いた日記なんでしょ? もしくは黒歴史ノート…。死後、研鑽ノートの右側に書いた(ポエム)が葬式で読まれるだけならまだしも、後生大事に図書館に奉じられるとかどんな拷問だよ…。そして写本を作るのも難しいよね。 “ 鬱 ” という漢字なんか写すだけで書体が崩れて文章の意味が謎になりそう…。平仮名だって、例えば “ おれおれさぎ ” みたいな文字も写すときに間違われそうだ。そう思っていたらヒエログリフ記述でした、残念!! なーんてオチだったらどうしよう。



「ちゃんと受けたい講義を決めておかないと数年間無駄にするからな」


「はい、後期のカリキュラム表を見てそう感じました。ただ座学を受けるだけならそうでもないんですが、実技日程や修行期間を考えたら結構タイトだなぁ…と」


「特に後期入校組はそうだな。()がネックなんだよ」


()()()でワザと半年遅らせる若者もおるくらいじゃからのう」



あ、やっぱり炭焼きが後期日程のトラップ枠なんだ。俺の講義選択を話したら、「小鍛冶師の指導員にキサゲや魔獣素材研磨用の小ノミについても習っておけば後々楽だぞ」とアドバイスされました。



スクランブルエッグは前世で食べていたのとは大違いで、半熟卵のカルボナーラソースというか甘くないカスタードというか、そんな料理だった。つまり、前世のそれは炒り玉子だったんだなぁ……。さっと炙ったパンに乗せて食べると美味しい。軽く潰した【茄子花芋】添えて食べても美味しいな。勿論、ベーコンやソーセージを添えても美味しい訳で、これは自作するより食べに来た方が良いに決まってる。


「美味しい!!」


「ミーシャは僻地の出だと聞いていたから火の通っていない卵は無理かと思っていたんだがな」


「そこはほら、木の中にいる芋虫を食べる事を考えたら全然平気です」


「そうじゃな。拭き紙の茎も食べるくらいじゃしな」


ははははは…、と笑い声が溢れる。そうか、生卵より蕗の方がゲテモノ扱いなのか…。


半熟卵を二つ割りにして、フレッシュマヨネーズを掛けた料理も単純なのに美味い。好みで岩塩やドライハーブや【長胡椒(ヒハー)】を振り掛けてもいいって。


どっちも美味いんだけどね…、醤油を掛けたくなるのは元日本人の性!?



「これはマヨネーズですよね」


「ここの手作りなんだって」


「【長細瓜】に付けて食べたいです」


「細切り野菜もメニューにあるわよ。頼もうか」



キッシュやオムレツといった料理もあるし、茹で卵を刻んでマヨネーズで和えた(ディップ)をトマトに添えたりサンドイッチにしたり…と、前世を思い起こす料理が出てくる。目玉焼きだって目玉をしっかり加熱したものもあれば半熟のものもある。まぁ前世モノでメニューに無い料理もあるんだけどね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ