第18話
「ボク、山菜を取りにいってきます」
そう言うと『関所の集落(仮)』から出掛ける。どこまで怪しまれてるか時間が経ては経つほど不安になる。色々とやらかし済なので、反省がてら今後の身の振り方を考える時間が欲しかった。
余計なことに巻き込まれずバレずに過ごすには、ぶっちゃけ引きこもるしかない。まぁ、無理だよね。
もう少し大きい町にあるであろうドワーフのドワーフによるドワーフのためのギルド、所謂、冒険者ギルドとか生産者ギルドとか商業ギルドとか、そういった機関がどれだけ他種族に対して閉鎖的なのかそれともガッツリ相互依存なのかも分かっていないし。
まぁ、ヒト族とは持ちつ持たれつの関係なんだろうとは予想している。もしドワーフが他種族に対して排他的で思考が頑固だとしても、鎖国するレベルで閉鎖的ではないだろう。
この世界にどれだけ異世界転生者が来ていたのか分からないのが不安すぎる。しかも元日本人の転生者が。
あっ、あれだよ、あれ、過去に転生者が存在していたとしても、その転生者が勇者として活躍してなかったら『何処かの世界から流れ着いちゃった人』で済まされるかもしれない。風変わりな知識をお持ちの変人認定で済むならどれだけ楽なことか…。
白い空間で得ていた知識を『記録保管所アーカイブ』から引っ張り出す。勇者はいるけど転生勇者かまでは判断しかねる。異世界から勇者を召喚して…とかは無いらしい。
魔族領に何人もの魔王はいるけど、ヒト族を筆頭の人類(獣人、エルフ、ドワーフなど)に対して大々的に侵略戦争を仕掛けてくる訳でもなく、破壊神が世界を終わらせようともしていないし、神々が覇権争いの抗争もしていない。それだけを聞くと、比較的平和な世界ではないかと思ってしまう。でも安全平和な世界ではないだろう。だって俺、平和ボケした元日本人だから感覚がちょっと…ねぇ。
でも、俺が初代転生勇者に担ぎ出されて、対魔王戦争の旗艦にされるかもしれない。
俺から始まる転生勇者。
そんなラノベタイトルみたいな人生は勘弁して欲しいなぁ。
まぁ、ヒト族の街に行ってヒト族に深く関わろうとしなければいいんじゃないか?と思うのは短絡的か?ドワーフ領内で目立たない様に暮らせれば…。やっぱりこれも短絡的というか楽観的というか。同族に売られなければ何とかなるんじゃないか……。なんて他力本願な。俺、生前から強い人間じゃなかったからなぁ。
あぁ、胃が痛い……。




