表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

186/478

第181話

翌日、初採集の報告と鎧一式の損傷確認をしてもらう為、リンド=バーグさんの工房に顔出しした。どこも破損してなくてもメンテに出す癖をつける為に必要な行為だから仕方ないよね。



「ミーシャ、質の良い【ホヤッキー】だけど何処で手に入れた?」


「あっ、そっ、それは……、オロール先生に頂きました」


勢い余ってホタテビキニ素材も一緒に提出してしまった…。



「いいなー。私も欲しいなぁ…」


「アリサは使わないだろ?」


「要人警護の時に服の下に装着するとか、狂鉄の鉱脈に行くときとかに使えるよ」


「いやいや、ヒト族の警護もしなけりゃ狂鉄の鉱脈にも行かないだろ?」


「え〜〜、【翡緋色金(ヒヒイロカネ)】を魔導鍍金(メッキ)したいのに……」


「俺は【翡緋色金(ヒヒイロカネ)】なんか持ってないぞ」



翡緋色金(ヒヒイロカネ)】は伝説級のレア金属。普段は赤く見えるけど、魔力の流れ具合や角度によって緑色掛かって見えるんだっけ?


狂鉄の鉱脈は前世の表現で言うと “ 一面、強い磁力を帯びた鉄鉱石で占められている鉱脈 ” だ。鉄鎧で入ると岩盤に貼り付いて身動きが取れなくなる、別名:戦闘職殺しの鉱脈。磁石に付かない金属なら問題ないので採掘用具は何とか用意出来る。精錬したら普通の鉄になるので鉱石的に利用云々で特に問題はない。ドワーフは狂鉄鉱石を鉄くず集めや砂鉄集めに使い、ヒト族は戦争の時に狂鉄鉱石を地面に撒いて敵の進軍阻止のトラップ用に使うのだとか。


「オロール先生はまだ【ホヤッキー】を持ってるそうなので、アリサお姉ちゃん用のも貰えますよ」


「やった!! ミーシャちゃんに加工してもらおう。魔導鍍金(メッキ)はリンド? それともラルフロ=レーンに頼むの?」


「俺がやってもいいが、錬金術師の工房を使わせてもらうことになるな」



ちょっと待って、話が飛躍し過ぎなんだけど。



「オロール女史が【ホヤッキー】を多数持ってきているのなら、職校の授業で加工実習があるかもしれないぞ。俺が職校生の時は研磨出来なかったから、正直ミーシャが羨ましい」



そんな、ホタテビキニを羨ましがられても……。



「リンド、【ホヤッキー】も夫婦装備が無かったっけ?」



そっ、揃いのホタテビキニ……。嫌だ、めっちゃ嫌だ。



「あー…、有るな」



ナンダッテー…… マジでお揃い装備があるの? 本気なの!?



「あ、ミーシャちゃん、その顔は信用してないな? 女性用は甲高の上側の貝殻、男性用は平たい下側の貝殻を使うんだよ。二枚貝はペアの象徴でしょ? その二枚貝を三つも使って夫婦装備を作るんだよ。防御力だけでなくロマンも有ってとても素敵だよね」



マジかー。マジなのか……。有るのはロマンじゃなくて羞恥心なのでは。



女性用は胸と股間のいわゆるビキニスタイルで、男性用は左胸と左肩と股間の変形ビキニスタイル。股間と言うと語弊があるな、鎧の前垂れか。



「ミーシャちゃん、直接着用するものじゃないからね。部分鎧のパーツだからね」



そっ、そうだった。ホタテビキニというパワーワードのせいで我を失いかけていたよ。



「いや、マーマン種なら直接装備するだろ?」



俺はリンド=バーグさんのそんな一言でトドメを刺された。




【ホヤッキー】は置いておいて、鎧一式の破損確認をしてもらう。リンド=バーグさんがプロの目線で、セルフメンテと故障箇所が見つかった場合の対処法やら何やらを俺に教えてくれる。職校でも座学があるけど、自分自身の鎧のチェック法は知っておいて損はないもんね。



「布は(ほつ)れたり擦れたりするから、特殊な処理がされていなければ買い替えだな。物によっては補修するが、継ぎ当てした様に見せない仕事をするものだ。始めから擦れる箇所は縫い糸を外して補修出来るように作られているが、まぁ、クロースアーマーや鎧下は消耗品扱いだ」


「昨夜、オロール先生が戦闘服を見せてくれたんです。あれは今言った物とは全くの別物ですよね?」


「古代エルフの刺し子の戦闘服は最強クラスの防具であり芸術品だ。習っておいて損はないからな」


「他に、異国渡りの邪眼避けの装飾が施されたローブも見せてもらいました。ボク、刺繍や装飾の入った布鎧や戦闘服を作ってみたくなりました」


「いいんじゃないか? 色々試してみればいい。非鉄鎧も一定数の需要はあるし、付加価値は職人の武器になる。極められなくとも私物の鎧は作れるだろ?」


「はい、宝石やスライムの死核を縫い付けてみたいと思いました」


「ミーシャ……、何か企んだだろ?」


「えっ、ええ、 まぁ……」



ヤバい、リンド=バーグさんにエルフに売りつけるドレスの妄想がバレた!?



「そっかー、ミーシャちゃんってば、私とリンドの夫婦装備を作ってみたくなったんだね」



へっ!? アリサお姉ちゃん、何を言ってるのか分からないんだけど……。



「いや、ボク、そんな事は全く……」


「隠さなくてもいいんだぞ。古代エルフ式戦闘服に【ホヤッキー】を付けた夫婦装備を私とリンド用に作ってくれるんだよね? もし夫婦装備が認められて職人認定されたら【ホヤッキー】付き戦闘服の専門職人になれるね」




いやいやいやいや、ならないから!! 俺ホタテビキニ職人とか、マジで無理だから!!



「アリサ、それは随分と飛躍しすぎじゃないか? ミーシャはまだ【ホヤッキー】も磨いてないのに」


「いや、ミーシャちゃんならなれるって!!」


「【ホヤッキー】付き戦闘服の専門職人は多分居ないだろうから、顧客を独占出来るな」



ホタテビキニ専門職人とか、俺の将来を勝手に決めるのは、やーめーてー!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ