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第179話

オロール先生は相変わらずエールを強請ってくるので諦めて奢ることにした。まぁ、【秋津(ダンブリ)腕輪(わっか)】の代金って事でいいよね?




(共)「ミーシャ、夕飯後に予定がなければ私の部屋においで。美味しいリンゴを食べさせてあげるよ」


(共)「ありがとうございます」



美味しいリンゴですと!? ユニークスキル『異世界言語(X−リンガル)』さんが仕事してくれてる上での “ リンゴ ” と訳されているのなら、前世のリンゴと同じでいいんだよね?



(共)「俗称、『死神の果実』だけど、普通に美味いし食べても死にやしないからね」



『死神の果実』……、怪しさ大爆発なんだけど…(汗)




警戒していたけど、オロール先生の部屋で出された果物は普通に前世のリンゴと同じだった。



(共)「ジューシーで甘酸っぱくて美味しいです。でも何でリンゴが『死神の果実』なんて呼ばれてるんですか?」


(共)「まぁ、古代エルフの死霊術や降霊術と、エルフは長命だから数多くの生命を看取ってきてるところから付いた “ イメージ=死神 ” だとは思うよ。古代エルフもエルフもリンゴは大好きだからね」


(共)「リンゴからしたら迷惑な話ですね」


(共)「ははは、そうだね。そうそう、リンゴは品種毎に様々な死神の名前が付けられているよ…。これは『ジョナサン』、こっちは『マッキントッシュ』で、これは何だったか……あ、『グラベンシュタイン』か……」



オロール先生が空間収納から取り出したリンゴを『対物簡易鑑定』していく。前世の『紅玉(ジョナサン)』、『(マッキントッシュ)』『生娘(グラベンシュタイン)』なのか…。紅玉ってジョナサンって名前だったの!?


次々出てくる。『緑星(セントローレンス)』、『国光(ロールスジャネット)』、『紅魁レッドアストラカン』。だけど、俺の知ってる品種が出てこない!!



(共)「そうそう、リンゴは『死神の果実』だけど、ドワーフが【茄子花芋】と呼んでいる芋はヒト族には『死神の芋』と呼ばれているのは知ってたかい?」


(共)「え……」


(共)「直訳すると “ 土の中の死神の果実 ” になるとか…」



ヤバいな、ヒト族がデンプンを『死神の白い粉』と呼ぶ未来が見えるぞ。



(共)「ところでボクがオロール先生の部屋に入り浸って、非常勤とは言え講師と仲良くなるのって職校的にマズくないんですか?」


(共)「あ、多分大丈夫だ。特定の講師と仲良くなったところで、生徒の評価は手に付いた技術と脳に焼き付けた知識で決まるからね。その他の加点は作業中の態度や、納期内に作品を提出しているか、外の仕事を請けたか…等だから、ヒト族の学校じゃあるまいし講師の依怙贔屓や生徒の出自なんかは意味をなさないよ」


(共)「良かったです。オロール先生が教える刺し子ってどういった仕事なんですか?」



いや、前世の刺し子はどんなものかは知ってるよ。布巾に並縫いで柄を付ける手仕事だよね。



(共)「私の伝える刺し子はだね、正式には魔導糸を使い魔法陣を魔導布に刺していく魔導刺繍なんだよ」


(共)「まっ、魔導刺繍!?」


(共)「()い取る図案は開始位置から終了位置まで糸が途切れないんだよ。だから意味のある図案を組み合わせて刺していけば、完成時には “ みなし魔法陣 ” として機能させられるのさ」


(共)「でも()うには糸を切り使いしなきゃ…ですよね?」


(共)「そりゃそうさ。そこは、刺してる糸が短くなったら魔法で継ぐんだよ。そうして繋いでやれば途切れていない一本の糸になるからね。尤も、魔導糸でなきゃ繋がらないけどね。私が教えるのは基礎だから、授業中は普通の麻布か綿布に綿糸で練習してもらう。手が覚えるくらいまで()えば本物を()えるようになるよ」


(共)「ちょっと理解が……」


(共)「そうだね、実物を見てもらったほうが早いか」



オロール先生が次元収納を探っている…。また変な物を出してくるんじゃ?



(共)「これだ。私の戦闘服だよ」



オロール先生が取り出したのは戦闘服一式を着せてあるマネキンだった。ねぇ、何でこのマネキン、独特の柄の戦闘服の上にホタテのビキニが付いてるの?????



(共)「どうだい、いい戦闘服だろ?」



マネキンを前に自慢げなオロール先生だけど、俺の目はホタテビキニに釘付けです。ホタテビキニって、前世のTVでバラエティ番組のネタ枠アイテムじゃないですか!!



(共)「ホッ…ホタテ……いや、オロール先生、何で戦闘服に貝のビキニが!!」


(共)「ん? 【ホヤッキー】は天然の魔導素材だろ? 形といいサイズといい、胸と股間の防具に最高じゃないか」



前世で見たことがある物を目の当たりにしてパニックを起こすくらいなら『対物簡易鑑定』をしろ…ということなのか。


【ホヤッキー】: 前世で言うホタテ貝の貝殻部分のこと。名前の由来はホタテ貝を殻から外す行為 “ ほやき ” から来ている。魔導素材。そのままビキニアーマーに使えるので重宝されているが、見た目が見た目なので着用する者は少ない。小さい【ホヤッキー】は皿に、大き過ぎる【ホヤッキー】は鍋代わりに使われる。



あ……リアルガチで、ホタテビキニはビキニアーマーだったよ……。

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