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第177話


デザートに【藪イチゴ】を食べながら『地底()』の皆から冒険談を教えてもらう。



「ゴブリン討伐ってよくある依頼なんですか?」


「そうだね、間引きの為というよりは魔石採りの為かな?」


「ゴブリン、コボルト、ホーンラビット、フォレストウルフ、オークは魔石採り用依頼の常連種だね」


「他にも魔物の小型種は魔石採り用に依頼は出るけど、幸か不幸か、ここ『ネオ=ラグーン領』ではゴブリン、コボルト、ホーンラビットの討伐依頼がメインで、時々オークかな。ヒト族基準だと全然稼げないんだけど、危険な思いをしないで任務をこなせる訳だから有り難いと思うよ」


「ドワーフの冒険者は討伐したゴブリンから魔石を採るだけで、討伐証明の部位を持ってこないって聞いたんですけど、ヒト族がドワーフが無視したゴブリンの耳なんかを持ち帰って、ヒト族の冒険者ギルドに虚偽の討伐数を報告とかしないんですか?」


「それねー、無理なんだよ」


「何故かドワーフ領に出没するゴブリンは色が青くて、ヒト族の討伐対象のゴブリンとは一目で違いが分かるから、耳や鼻を拾って持って帰っても向こうの任務遂行基準を満たせないんだ」


「ヒト族の冒険者ギルドで青ゴブリンを討伐数に認めてもらうには、魔石と一緒に討伐証明部位を提出する必要があるんだよ」


「だから、私達がドワーフの冒険者ギルドでこなしたゴブリン討伐依頼はヒト族の基準から外れているから、ヒト族の冒険者ランクの査定外にされてるぞ」


「猫の人の住む領内のホーンラビットがヒト族の討伐対象外やし、犬の人の住む領内のフォレストウルフも討伐対象外やな。あとは…そうやな、『サイレント=ヒル領』の南端のリザードマンの住むエリアのミニドラゴンや。実は結構あるねん」


「食用とか、魔石用、後は同族枠なんかが外されてる感じっすよ」


「ここだと滅多にオークも出てこないからね。職人さんが魔物素材が必要な時は領外から仕入れるか、本気の討伐の出来る冒険者に依頼だよ」


「アリサのお父さんがガチ勢だっけ?」


「チーウのお義姉さんもガチ勢だよね」



アリサお姉ちゃんのお父さんはロビン=ランドさんだっけ。チーウさんのお義姉さんはカー=エーツさんという(ドワーフ)なのか。どっちの奥さんなんだろう?



「あの……」


「ん? 兄貴達の話かな? カー義姉(ねえ)さんはジョー兄の奥さんだよ。カーン兄は独り者でフラフラしてる。 “ 恋も商いも流れる様に… ” が信条だって言ってるよ。ホーク兄はあの通りだし。カー義姉(ねえ)さんは総本家の出だからジョー兄も頭が上がらないんだ」


「総本家って、あの鉱帝カークェイを輩出した……」


「そう。今の当主がマッキー=エーツ。女傑マッキーだよ」


曾孫(ひまご)だっけ?」


「違う、玄孫(やしゃご)



マッキー=エーツはカークェイ=エーツの玄孫(やしゃご)で、ドワーフの冒険者ギルドの総代表(ギルマス)を務めている。あちこちにあるドワーフの冒険者ギルドを巡回しているので運が良いと遭遇できるのだとか。


「氏族内だとジョーカー夫婦って呼ばれているよ。ジョー兄は単身赴任と称してカー義姉(ねえ)さんから逃げてるだけなんだけど…」


「カー=エーツさん、強強(つよつよ)なのです」



ジョー=エーツさん、苦労されてたんですね……。どうりで、あの面白みのない『関所の集落(仮)』なんかに居ても楽しそうにしてた訳だよ。




ドワーフの冒険者生活は想像以上に平和でした。とは言え、俺はゴブリン討伐も遠慮したいです。



「ねぇ、さっきミーシャが集めてた豆なんだけど…」


「もしかして美味いとか?」


「ボクの探してる豆の先祖らしいです」


「ほな採って、品種改良コースやな」


「ミーシャちゃん、原種とはいえ考えてる料理はあるんでしょ?」


「はい、一応は……」


「乗ったぜ。集める一択だ」



モヤシときな粉は豆の数さえ集まれば早々に再現出来そうだ。きな粉が出来れば水飴に練り込んできな粉飴に出来るし、デンプンを使ってわらび餅を作り、そこにきな粉を掛けて食べる事も出来るぞ。まぁ、流石に納豆は難しいかもしれない。スチロール容器は無いから作るなら藁苞(わらつと)納豆だな。確か藁に納豆菌が関係していた様な……、稲藁を入手するところからか、。 “ 濁穀 (イコール) 米 ” な訳だから、【濁穀】をゲットして、稲藁いや【濁穀】藁? を入手して納豆を作る。そして炊き立て【濁穀】に小粒納豆をオンなんだな。



そしてかなりの量の【蔓野豆(ツルノマメ)】が集められた。


「一旦、集めた豆を全部出すっすよ」


「パンニングの皿の上でいいかな?」


チーウさんがパンニング皿をバックパックから取り出す。それ、砂金採取用の皿だよね?


拭き紙の上にパンニング皿を乗せ、全員、集めた【蔓野豆(ツルノマメ)】を乗せる。



「カビ豆分離!!」


イルマさんが、そう唱えると全体の二割程度の【蔓野豆(ツルノマメ)】がパンニング皿から拭き紙の上に転がり落ちる。



「今の呪文は?」


「光魔法の『カビた物体を分離する魔法』っすよ。単に『浄化』しても一度カビの生えた豆って美味しくないんで。でも、自分らは食べたくないだけで、除けたカビ豆を『浄化』『解毒』したら撒く事は出来るっす」


そのまま流れるように『浄化』『解毒』とが豆に掛けられ、綺麗な豆と元カビ豆とを分けて収納した。

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