表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

178/454

第173話

早起きしてツインテールをキュッと縛り、髭を整える。今日は三つ編み気分。最近流行りの髭エクステはまだ試していない。装備に着替えたけど、ヒル避けのゲートルは締め方がよく分かってないので冒険者ギルドでアリサお姉ちゃんに着け方を教えてもらわないと。




全員揃って準備も整ったのでいざ出発。今回は西門こと九時門から出発です。今回は冒険者として門を潜るので冒険者証を門番に見せる。何となくピリッとする感覚がしたので素性鑑定を掛けられているんだと思う。今回は北の林道のトイレのスライムの安否確認と食べられる草探しなのでポニーは借りるのを諦めた。そのうちワギュとラパンをレンタルして触れ合うつもりだ。



ちゃんと隊列を組んで移動する。先頭に斥候役のクララ=サザーランドさん、次に右翼(ライトウィング)のアリサお姉ちゃんと左翼(レフトウィング)のチーウ=エーツさん。三列目がオラオラ系なのに回復役のイルマ=ニーアさんと魔法支援のマヤ=リークさん。


パーティーで行動中の時はメンバー同士は名前を呼び捨てにしてるという事なので門を出た時から俺も皆を名前にさん付けで呼ぶことにする。あ、アリサお姉ちゃんは別です。



クララさんの武器は軽弩弓(ライト・ボウガン)。矢をセットする関係で一戦闘で一発しか撃てないけど斥候は積極的に前に出ないから別にいいんだとか。軽弩弓(ライト・ボウガン)を打った後は【二股銃(スリングショット)】で石を飛ばすとか、ダーツを投げるとかでサポートに回る。接近戦になったらメイスで殴るんだって。


アリサお姉ちゃんはバールのような物と戦斧(バトルアックス)。それも夫婦戦斧の大きい方(笑) メイン武器はバールのような物。殴り掛かる訳ですね。流石、『地底()』の特攻隊長。普段、戦斧(バトルアックス)はマジックバッグに仕舞ってある。


チーウさんはツルハシとシャベル。別に敵を刺殺し死体を穴掘って埋める為だからではなかった。戦闘にも使えて『エイドパス鉱山』も掘れるから…だとか。メイン武器はシャベル。先端は尖っているし、匙部分は研いであるのでサクッと切れる。シャベルで切り込む切込隊長。チーウさんもやっぱりツルハシはマジックバッグの中に仕舞っているのだという。


イルマさんはモーニングスター装備でマヤさんは(ロッド)。ただ、杖は杖でも仕込み杖。槍を逆に、つまり槍の穂先を地面に向けた状態で(ロッド)のフリして持っている状態だ。槍の石突部分に魔力を増幅させる宝玉が付いているので石突で突く動作は出来ないけれども。



で、俺は二列目と三列目の間に入れてもらっている。総選挙してないけどセンターポジションです。



各自ヒル避けの薬剤【(リーチ)一発】を手足に振り掛けてから残りはバックパックにぶら下げておく。ヒル対策をしても喰い付かれる時もある訳で、その時はヒルに塩をたっぷり振り掛けたり、『生命之水(蒸留酒)』を掛ける。それでも離れてくれない時は火の着いた煙草を押し付ける。外れたら『汎用魔法』の『浄化』か『清浄』、もしくは『注水』、『流水』など水系統の魔法やスキルを使って患部を洗ってから止血薬を使うか回復魔法のお世話になればOK。


そんなヒルの中でも魔力に反応してくる少し厄介な種類が『邪魔ビル』。それでも【ヒルと寄るの間に】や【(リーチ)一発】は忌避剤として効果がある。実は『邪魔ビル』は『魔ダニ』や『殺人(マーダー)ダニ』に噛まれて血を吸われた時に陥る “ ダニ性魔力欠乏状態 ” の治療に使われているので、冒険者は『邪魔ビル』を見つけたら捕獲している。


ちなみにその捕獲方法は、魔石滓に血を数滴垂らしたものをポーション瓶でお馴染みの魔導ガラス製の瓶に入れておくと、その魔石滓を魔力欠乏状態の血液と勘違いして寄ってくるので、瓶の中に入ったら蓋をするという方法だ。


一般的な魔力の使いすぎで陥る魔力欠乏状態も、酩酊状態から半快状態程度には戻せるのでヒト族の間ではスタンピードや戦争中にも『邪魔ビル』を使うそうだけどね。



林道に設置されているトイレの赤スライムは元気だった。あとは赤スライムの餌の乾燥牛糞と水を与えてトイレのチェック任務は完了。脱走されたら便槽には何も居ないけど、餓死していた場合はスライムの死核が残されているからトイレから赤スライムが居なくなった理由が判断できるのか。補充用の赤スライムを持っていなければ最寄りの街や宿場に着いてからスライム不在のトイレの場所を報告しなくてはいけない。極稀に野生のスライムが住み着いている時があるそうだけど、野生のスライムは糞便処理には向いていないのでその時は排除してやる。別に殺さなくていいので森にお帰りしてもらうだけでよい。勿論、赤スライム不在のトイレになるので報告案件にはなるけどね。



赤スライムに餌をあげたけど、ちゃんと餌だと分かるのか近付いて食べるの。それが意外と可愛いぞ。食べながら軽く発光するので『浄化』を発動させているんだな。これ、飼ってみたいかも…。大きく育てて特大赤スライムの死核を収穫してみたいなぁ。



「ミーシャちゃん、赤スライム見ながら笑ってるのはどうしてかな?」


「あっ、いや…、意外に可愛いなぁ…って。あと、トイレでなくても餌をあげたら(かめ)でも飼えるのかな? …って。大きく育てて大きな赤スライムの死核を取ってみたいです」


「乾燥牛糞だけだと大きく育たないよ」


「何故か街のトイレで育った個体じゃないと駄目なのです」


「多分、栄養が違うんじゃない?」



残念、赤スライムペット化計画は頓挫なのか…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ