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第147.7話 (閑話)

閑話、二本目です。時系列としては現在投稿中の内容より少し先の話なので、リンド=バーグさんの奥さんのアリサ=ランドさんが登場しています。

ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン………


『スワロー』の街に鐘の音が鳴り響く。


ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン………



「十、十一、十二………」


じょっ、除夜の鐘なの!? 鳴り止まないんだけど……



「おっ、品評会の鐘の音じゃな」


「もうそんな時期か…」


「これを聞くのは久しぶりね」


今日はリンド=バーグさんとパイク=ラックさん、後、リンド=バーグさんの奥さんのアリサ=ランドさんと一緒にリンド=バーグさんの自宅で食事会です。食事会と言っても俺の作った料理とパイク=ラックさんの冷やしたエールが食卓に出てるんですがね。



「リンド=バーグさん、品評会というのは何ですか?」


「鍛冶師のイキり合戦だ」


リンド=バーグさんが真面目な顔でボソッと答える。


プッ…… 


あ、アリサ=ランドさんが吹いた。どう言う意味なの?


「リンド=バーグ、ミーシャが困惑しておるのじゃ。ちゃんと答えんか」


「だから鍛冶師のイキり合戦なんだよ。今年はこの鉱石からこういう金属を鋳造してこんな鐘を作りました、ドヤッ!! という報告会だ。誰の鐘が一番良い音を出せるかのイキり合戦だよ」


何だか嫌そうだな。リンド=バーグさんはこの品評会が嫌いなのか?


「リンド=バーグさんは品評会が嫌いなんですか?」


「リンドは品評会好きじゃないよね」


「技術を披露するのは悪いことではないがな」


「ボクも一人の職人の卵として、リンド=バーグさんがどこにダメ出ししているのか気になります」


だって理由がしりたいじゃない。ここは頑張って聞き出さないと。



「まず断っておくのは、鐘の鋳造が悪いという訳ではない…と。そして気に食わない理由は各鍛冶師に機能しない作品を作らせて競わせるという点だ。武器職人が鐘作ってどうする? 小間物職人が鐘作ってどうする? しかもあの鐘、鳴らした後は鋳溶かすんだぞ。無駄だろ?」


リンド=バーグさんは何時になく興奮し声が荒くなる。確かに無駄というかなんというか…。


「リンド、落ち着こう。はい、エール」


「すまん……」


「確かにジャンル違いですよね……鐘」


「普段やらない仕事に着手するのは技術の向上には良いことではあるんだがな。だからって鳴らさなくてもいいだろ? そもそもドワーフにとって鐘はだな…」


「鎧だもんね」


確かにスッポリ収まりそうだよね……って、昔のドワーフって鐘を鎧代わりに装備してたの!?


「その昔、一人のドワーフが街に迫る危機を知らせるために着ていた鎧を脱いで大木に吊るすの。そして武器のバトルハンマーで鎧を叩いたんだって。するとその音で街に危機が伝わり街が救われた…という英雄伝説があるんだよ」


「それで鐘なんですね」


「実はこれから派生した創作話があってじゃな、野営中に魔獣が襲ってきたので咄嗟に鍋を空にして叩き、その音で魔獣を追い払ったという話もあるのじゃよ」


「こっちは(しょう)鍛冶師用の設定よね」


「どちらにしろ鎧も鍋も大事にされてない話だからな」


あ、危機を脱するためとは言え、大事な作品を叩き潰す話だもんなあ…鍛冶師的には面白くないよね。


「で、それに乗っかって鐘自慢大会をするのが気に食わない」


「仕方ないじゃない。大鍛冶師に鍋を作らせたり小鍛冶師にフルフェイスヘルムを作らせて品評会とかするのって無理だよ。だからって解体ナイフで品評会しないでしょ?」


「それはそうなんだが…」


…ん!?


「リンドが嫌なら参加しなくていいんだよ」


「……………」


「鐘を作ったら、私が叩いて鐘の音を鳴らしてあげるよ」


「ダメだろアリサ…、前に同じ事を言って鐘を叩き潰して一回しか鳴らせなかっただろ。それも叩き潰しじゃなくてあれは装甲破壊(アーマーブレイク)だ」


「えっ、そうだっけ?」



何でも、『鈍器峰釘(どんきほうてい)』や『粉砕乙女(クラッシュギャルズ)』に加え、『貫通打撃(かんつうパンチ)』やランダム補正の『筋肉乱数(きんにくルーレット)』まで入ってしまい、オリハルコン合金の鐘がただの金属塊になったのだとか。



(パイク=ラックさんが「しかも、鋳潰すことになる原因を作ったのはアリサ=ランドの一撃なんじゃ…」と小声でコッソリ教えてくれました)

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