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第123話

「これは見たことのない料理だぞ」


「デンプンがトロミになるのか?」


「この甘酸っぱいタレがデンプン効果で具によく絡まっているな」


「これまた冷やしエールとの相性がバツグンじゃ!!」


「ヤバい。全部ヤバ過ぎ。登録したらカーン兄貴に頼んで広めてもらわなきゃ」


「金になる話だ。カーン=エーツなら嬉々として働くぞ」



ハッハッハと笑い声が響き渡るなか、「エールお代わり!!」の声が繰り返されてる。そしてホーク=エーツさんがカーン=エーツって名前を出してたけど、まだお兄さんがいるの!? エーツ三兄弟なの? それともまだ他にもいるのか!?



「ホーク、兄貴にはよ〜く説明しておいてくれ。俺は兄貴にはあまり会いたくない」



カーン=エーツ  ジョー=エーツ  ホーク=エーツ  のエーツ三兄弟なのかな?



酢豚の追加分を出して、一旦休憩。俺も食べてこよう。生姜焼きとカラアゲは調理中に少し味見出来たけどタイミングが悪くて殆ど口に入らなかった。と言うより皆食べるの早すぎ。まぁ先行投資だと思って今夜は諦める。皆に生姜や醤油にハマってもらわないと。そして当たり前の様に【生薑草(ジンジャそう)】や【粗相豆】が畑に作付される様になって収穫量も増えれば、懐かしい料理も食べ放題になる未来が見えるぞ!!



「ボクにも冷やしエールを下さい」


「悪いなミーシャ。皆ガッツリ食うからミーシャの分がロクに残ってない」


「大丈夫です。味見で少しは口にしてますので」



本当はちっとも大丈夫じゃないです。ああ、俺の生姜焼き……。



「そうだマリイン=リッジさん、追熟した【(あか)茄子】ジュースで割ったお酒はどうでしたか?」


「少し若い感じかな? でも完熟の濃厚さが苦手な(ドワーフ)には追熟の方がいいと思うよ。まぁ酔っ払っちゃったらそこまで気にしなくなりそうだけど。それより俺はミーシャの柑橘類の使い方が気になるかな」


「ボクはそこまで意識してないです。酸味の強さとか風味の違いとかで “ これがいいかも ” って思ったままに使っただけです」



柑橘類より食酢が常備されてないのが問題です。



「俺達はそれこそ酒にしか合わせないからな」


「出来れば【涙目(サワー)酒】が欲しかったんですけどね」


「それは無理な相談だな」



「ハハハハハ!!」 「無理無理!!」 「酸っぱくなる前に胃に入ってるぞ」  皆の意見はドワーフ的には正論だ。やはりドワーフに食酢作りは難しい!?



「あっ、【白濁酒】ならお酢にしても悲しくならないかも」


「甘いなミーシャ。俺たちは酒が酸っぱくなるのが許せないんだよ。飲み残すのも酸っぱくするのも、それこそ酒の神様に失礼だろ?」


うっ、お酒の神様理論を出されてしまった。この世界(なか)にお酢の神様はいらっしゃいませんかーー???



そろそろラスト。川エビのかき揚げと【菊の葉】の天ぷらを作ろう。これで俺がこの『関所の集落(仮)』で作る料理は終了となる。



「ラストいきまーす。揚げ物ばかりでごめんなさい」



そう言うと揚げ鍋の油の温度を確認する。天ぷら衣を溶いたものを一滴油に落とす。ゆっくり底まで沈み、一呼吸した後に浮かんできたら多分適正温度だろう。確かかき揚げは揚げ油の温度は低めスタートって聞いたことがある。



「ミーシャ、揚げ物用のトングも有った方がいいのか?」



予想外にガルフ=トングさんが聞いてきた。今使っているのは鍛冶用火挟みで、取っ手部分が熱くならない様に木でカバーされているものだ。逆に油に突っ込む方を木製にして取っ手側を金属バネにした方がいい様な違うような…。前世が元日本人としてはそこは菜箸でも何ら問題は無いんだけど、多分ドワーフは菜箸使わないよね。


「有れば便利だと思いますよ。それこそドワーフ界隈中にこれらの料理を広めるのなら、便利道具は必須かと」



うおっ、川エビが纏まらない!! かき揚げを揚げるのはクソ難しいって聞いてたけど本当だった。【菊の葉】はまぁ何とかなる。仕方ないので広がって散らばった川エビの天ぷらと【菊の葉】の天ぷら、完成です。前世で言ったら “ 小エビのかき揚げと春菊の天ぷら ” 。天ぷら職人さんって凄かったんだ…。銀座の天ぷら屋さんとか凄いって聞くし。まぁ、俺は銀座には縁がなかったけどね。俺が口にしていたのは会社近くの蕎麦屋さんの天ぷら、もしくはスーパーのお惣菜コーナーの天ぷらですよ。

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