表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/482

第122話

酒精(アルコール)のトマジュー割り、二度目なわりには手慣れた仕草で楽しみ始めているぞ。前回と比較して明らかに違うのは、すべてのトマトを一気にジュースにした事だな。何を何杯飲めるか確認してるし。しっかり “ 完熟 ” ジュースと “ 追熟 ” ジュースを分けてる辺り、抜け目ないというか、しっかりしているというか。それほど沢山無いけどどう振り分けて飲むのか気になる。


「では、この【(あか)茄子】ジュースで楽しもうじゃないか。用意はいいか、野郎ども!!」


「オーー!!」✕ 七人


「今からお前らを『血祭り(ブラッディ・フェスタ)』にあげてやる!!」


「イェーーーィ!!」✕ 七人



ジョー=エーツさんがノリノリで音頭を取る。今から三人が(トマジュー)の洗礼を受けるのか…(笑)


「いいかホーク、こうやってジョッキの中の冷やしエールに【(あか)茄子】ジュースを注いで軽くステア(かき混ぜる)だ」


ふむふむと頷きながらレッドアイを見つめるホーク=エーツさん。まだ仕事モードしてるし。


「これが『血祭り(ブラッディ・フェスタ)』だ。ささ、グイーッとグイーッと。百聞は一飲に如かずってな。レオナルド=ダービーもダン=カーンも味わってくれ」


また変な諺を言っているぞ。これがジョー=エーツさんのオヤジギャグ的なエセ諺なのか本当に使われている諺なのかを知りたい。


グビッ 「んんーー!?」


ゴクッ 「うぉっ!!」


ゴクッゴクッ 「フォーーー!! ヤバい!! 正に『血祭り(ブラッディ・フェスタ)』だ!!!!」


残り五人はニヤニヤしてるし。五人ともレッドアイを飲みたいんだろうけど未体験の三人に優先して譲ってる辺り、(トマジュー)の沼に落としたいんだろうなぁ。優しいんだか優しくないんだか。


「この芋麺をクレープで包んで揚げたものも美味い」


「これを頬張りながら飲むエールがこれまた美味いぞ!!」


「ミーシャ、これは何と言う料理なんじゃ?」



「芋麺の包み揚げかな?皆さんでいい呼び名を付けて下さい」


酢豚の野菜を硬いもの(食用マンドラゴラ)から順に素揚げしながらそう答える。



()巻き揚げか?」


木乃伊(マミー)揚げなのか」


「 “ おくるみ(スワドル) ” 揚げ? 赤ん坊に着せる産着(おくるみ)


「『スワドル揚げ』がいいんじゃない?」


「では『おくるみ(スワドル)揚げ』で登録しとくー。何年かしたらヒト族が『鉱滓(スラグ)包み』を『討伐証明(ゴブリン・イヤー)』って呼んで、『おくるみ(スワドル)揚げ』を『ミイラ揚げ』って呼んでそう〜〜」


あっ、ホーク=エーツさんが酔っ払い始めた。それより餃子と春巻きをヒト族が変な名前にする未来予想は止めて!!


「言われそうじゃな」


パイク=ラックさんもダメ押ししないで下さい。



「兄貴、『血祭り(ブラッディ・フェスタ)』お代わり!!」


「どれ、儂の割る(ジュース)を分けてやろう」


「パイク=ラック、いいのか?」


「明日は移動じゃからな。それに三人には《《しっかり》》味わってもらわないといかんじゃろ? 儂は『 血の雨(ブラッディ・レイン)(仮称)』を試せさえすればよいのじゃよ」


「俺は追熟を使ったバージョンの味を確認したいから『血祭り(ブラッディ・フェスタ)』と『血の海ブラッディ・オーシャン』を一杯ずつ貰うね」



マリイン=リッジさん、試飲するんだな。確認は大事だよね。飲む(ドワーフ)で完熟派と追熟派と好き好きが分かれるのかもしれないし、単純に完熟使用が勝つのかもしれないし。



猪肉を二度揚げする。油から引き揚げ余分な油を落としたら、揚げ野菜と一緒にフライパンに移し軽く炒める。あらかじめ合わせておいた【シークワ】の搾り汁、【粗相豆】、煮詰めておいたトマトソース、水飴を『生命之水(蒸留酒)』少々で伸ばしておく。後は水溶きデンプンも用意。流石に一気に全量は作れないので二回に分けて作るよ。


フライパンの中の酢豚の具に合わせタレを絡める。ジャーッという音と共に独特の酸味のある香りが広がる。うん、これ、町中華屋さんのカウンターで漂ってくる匂いだ。揚げられた猪肉に纏わりつくデンプン衣が軽く溶け何とな〜くトロミがついてくる。具全体に合わせタレが回ったところで味の確認。少し岩塩を振り塩味を足したところで水溶きデンプンの投入!! 下手にフライパンを煽ると酢豚落下の悲劇が怖いので、俺は大人しくかき混ぜる方式を取ります。大事なのはデンプンが過熱されてしっかりとしたトロミになることです。


完成した酢豚を大皿に移してやると全員の目が酢豚に釘付けになる。甘酸っぱい匂いと艶々と輝く甘酢餡。ぶっちゃけ今すぐ俺が食べたい。



「『揚げ猪肉と揚げ野菜の甘酢餡掛け』、まず半分です。すぐにもう半分を作ります。これに合わせるのはキンキンに冷えたエール一択です!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ