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第111話

“ 心変わり ” または【黒薔薇石】こと、酸化して黒変したロードナイトを研磨することにした。確か水に弱かったハズだから木賊で研磨するのが安全かな。まぁ品質も高くないから気晴らし研磨というか遊びの研磨というか。流石に『汎用魔法』に『還元』はないと思う。酸化してしまった鉱石は元の姿には戻らないよね。逆に戻ったら大変だよ。



荒砥の木賊で表面を削る。荒れた表面を整える感じでゴリゴリと。時々『汎用魔法』の『微風』で鉱石粉を吹き飛ばし、揉んで柔らかくした藁で拭き取る。本当は拭き取り用のボロ布があればいいんだけど。それから指で触ってみたり光に当てて表面の傷を確認する。全体的に黒いけど、何となくピンク色の箇所があるのが確認できる。特に形に凝る必要もないので原石の形を生かすことにした。色が出そうな箇所があったらそこを狙って削り出してもいいしな。


うん、最初の荒砥は砥石がよかったかも…。木賊が目詰まりしてくる。でも、わざわざ砥石で研磨して砥石を目減りさせる必要もないし。変色ロードナイトと砥石、どちらを取るかといえばそれは勿論、砥石でしょ。


段々と滑らかさを帯びてきたので木賊を中砥に変更。細かい傷を消していく。奥の方に濃いピンクの部分がある様にも見えないのでこのまま磨いていくことにしよう。




うーん、 “ 愛の囁き ” が酸化で黒変して悲しむ…って、どう考えてもカットをハート型とかにしてそうだよね。単純にカットするならハートのカボッション。ダブルカボッションにしたら握り石にいい感じだけど、握れば握るほど手の水分で確実に劣化する。手の中で愛が消えてゆく。透明度があるお高い原石だったら気合い入れてハートシェイプカットかな? 不透明ならハートのダブルカット、ダブルローズカットとかダブルチェッカーカットとかも有りだ。


お高い透明石なら、それこそアクセサリーにした後、手の込んだアクセサリーボックスに仕舞い込んで極力酸化防止してたらいいんじゃない? ポーション瓶でお馴染みの魔導ガラスで作られたアクセサリーボックスなら劣化しにくそうだし。尤も、石の色は変わらなくても女心は変わるかもしれないけどね。変わるのが女心ではなくて、男側がいきなり婚約破棄を突き付けるとかもありそうだけれども。


ロードナイトを水晶で挟んでダブレットやトリプレット加工にする手もあるけれど、そこまで手間暇かけた作品をヒト族のカップルの心変わり判定ゲームに使われるのも嬉しくないかな。ダブレット加工はやったことがないから職校で教えてもらおう。



それこそ、ドワーフ的な【赤薔薇石】【黒薔薇石】の表現だったら、立体的な薔薇の花に彫って色彩変化を楽しんだり出来ると思うんだけど、ヒト族はそれでは駄目なんだろうなぁ…。ピンクの石を渡した恋人の頃から添い遂げて、黒くなったアクセサリーで葬儀に出るとかいいと思うんだけど。


とまぁ、考察は置いておいて。妄想しながら手は動かしていたので更に木賊をチェンジ。仕上げ砥に。だいぶ艶々してきたぞ。

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