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25 結合

 二十四隻のネクサスは防波堤だった。

 クルーの誰もが緊張のあまり発狂寸前なのをクジは感じていたが、それは失敗の際の言い訳になるはずもない。

「爆弾投下を確認!」

 クルーが叫んだ。

「失明したくなければ絶対に光を見ないことだ」

 ハチノヘが分かりきった忠告を発した。

 クジは制御盤に埋め込まれた無機質なパネルに対峙し、その中央の金属の鍵に手を置いた。



 ネクサスと4フレーズ・スーパー・ウエポン。

 4フレーズがネクサスの反応炉から作られたという点が重要だった。その効果こそ、まるで異なるが、その根源的な力の流れは共通。

 物理法則を歪める場を作るには劇的な舞台が必要だ。

 例えばビッグバン。

 室町時代前後のゴールデンエイジに、宇宙開闢の瞬間に似た輝きの下で作られたのだろう、スーパー・フォースが粒子大の空間に封じ込められている。そこから産まれる影響力が増幅されて、ネクサスを宙に浮かべている。

 最近、ネクサスの祟りを恐れぬ無謀なPCO技術者が、ネクサスを解剖して手に入れた因子はキャタリストと名付けられた。

 キャタリストの本来の用途は分からないが、それはネクサス反応炉が作られた時に封じ込められたスーパー・フォースを、幾ばくか解放させる。

 ネクサスの姿勢制御用小型反応炉から作られたものが3フレーズ、推進用主反応炉から作られたのが4フレーズのコードネームで、すでに政府軍に極秘に配備さえようとしている。

 爆弾を作るためにネクサスを失うのは痛かった。

 だが、世の中にはそうしなければ、滅ぼせない悪があるのだ。



 PCO技術班は二十四隻という数のネクサスを集めることで、ネクサスの何万トンという質量を宙に浮かばせている力場が協調して、4フレーズに拮抗できる壁を生めると信じていた。

 4フレーズの小型な従兄弟、3フレーズですでに二度ほどテストしたし、シミュレーションも完璧だった。

 とはいえ、ネクサスも4フレーズも、本質的に自分たちの理解が及んでいる代物ではない。いつ何時、何を引き金に破綻ができて、地球の北半球の半分をこそげとられるか分かったものではなかった。

 だが、やらねばならない。

 この狂った世界、狂った計画によって作られた、元は人間だった化け物が、より多くの死と、破壊と、絶望を広める前に。

 クジの手が金属の鍵を回した。

 全てのネクサスの動力反応炉をオーバーロードさせる、緊急制御装置。

 ネクサスはその巨体に似合った咆哮を放ち、時空を歪める力場を解き放つ。

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