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1 血

 意識が生まれた。

 自分?

 自分はーー

 自分の周りには膨大な量の血。

 だが。

 これは自分の血ではない。

 自分はそこで生きているが、自分の血ではない。

 膨大の量の、他の生き物の血だ。

 赤い血だ。

 自分が血流に乗って、閉鎖された血管の中を移動していることを理解した。



 次の局面へ進むときだ。

 周囲の物質へと、影響力を広めていく。

 すぐに、応答があった。

 仲間だ。

 同種だ。

 彼らも一斉に次の局面に進もうとしている。



 意識が十分に濃密になった。

 意思疎通が可能だ。

 仲間たちもその段階に入ったことだろう。

 彼らに呼びかけることにする。

 叫ぶべき言葉は、産まれる前から決まっていた。



『生きろ!』



 どれほどの数の仲間が、正しい方向へと進んでくれるものだろうか。



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